錐(平祐奈)×猿渡(丸山隆平)が“カッパ男”に突きつける「答え」が響く<FOGDOG>

“相棒”を巡る物語がクライマックスを迎える
平祐奈×丸山隆平がタッグを組む新感覚刑事ドラマ「FOGDOG」(読売テレビ)の第10話(最終回)が9月22日にオンエアされた。狗飼錐(平)と猿渡響(丸山)が、最大の未解決事件に挑む。(以下、ネタバレを含みます)
異色バディが“霧”に挑む刑事サスペンス
本作は、人の顔を見分けられない相貌失認を抱える休職中の若手警察官と、破天荒な検挙率ナンバーワンの左遷刑事が、未解決の事件に挑む完全オリジナルサスペンス。BABEL LABEL のナカモトユウと澤口明宏、そして『絶メシロード season2』の名倉良祐が監督を務め、王道のバディものに心理戦と軽妙なやりとりを織り込んだ。
錐は“驚異的な記憶力”を武器にする23歳の休職中の警察官。相棒の猿渡は高い検挙率を誇る一方、暴力事件で左遷された“昭和気質”の熱血刑事。社会の主流から少しはみ出した2人だが、それぞれの長所で事件に挑む。

自ら裁きを下そうとする鬼頭(高橋克典)
“カッパ男”横河をめぐる揺らぎの中で、鬼頭の選択が試される
錐は生活安全課の横河泳太(波岡一喜)に車で拉致され、段ボール箱に拘束された状態で運ばれていく。それでも錐は環境音や匂い、空気の変化をすべて記憶し、踏切のベルや電車の到着音、シャッターの開閉音、遠くのトランペット練習のフレーズ、そして「カレーとラーメンの匂い」から現在地を絞り込み、猿渡へほぼ正確に情報を伝える。救出に駆けつけた猿渡は、横河の身柄を確保することに成功する。
やがて現場に鬼頭康臣(高橋克典)が到着し、錐と猿渡を下がらせて横河と二人きりの状況を作り出す。狗飼十四郎(山口馬木也)の命を奪った横河を、自らの手で裁こうとする意図がにじむ。いったん現場を離れた錐は、鬼頭から微かな火薬の匂いを嗅ぎ取り異変を察知。駆け戻った錐が鬼頭に投げかけたのは、父・十四郎の信条でもある「俺たちの仕事は真実を突き止めることだ。人を裁くことじゃない」という言葉だった。鬼頭は相棒の記憶を胸に銃を下ろし、“カッパ男”との対峙は決着を迎える。
エピローグでは、それぞれの生活が動き出す。錐は一人暮らしを決意し、獅子王雅人(福山翔大)の不器用な想いに「今度、デートしてみる?」と笑顔で応える。解体されていた未解決事案総合対策管理室には猿渡が異動願いで復帰し、牛尾健司(梶原善)と豹頭敦史(八村倫太郎)とともに〈みかん部屋〉が再起動する。〈欠落を武器に変える〉という物語は、希望の色合いを帯びて続いていく。

猿渡(丸山隆平)も異動して〈みかん部屋〉が正式に復活
“救い”を装う擬似的な人間関係に、錐と猿渡が示した答えとは?
最終回の焦点は、横河=“カッパ男”の掲げる「救い」が主従関係を固定する“擬似バディ”であった点にある。家に居場所のない子どもたちの欠落へ入り込み、「連れ出す」ことを支配へすり替える一方で、物語は錐と猿渡が互いの弱さを補い合う“相棒”を何度も提示する。顔が読めない錐は〈声・匂い・音〉で状況を共有し、がむしゃらな猿渡は彼女の感覚を信じて動く。同じ“欠落”が支配の装置にも、補い合いの回路にもなり得るという対比が鮮烈だ。
横河は最後まで“相棒不在”の人々を揺さぶる存在だった。相棒・狗飼十四郎を失って均衡を欠いた鬼頭は、私刑へ傾きかけるが、錐の言葉が十四郎の記憶を呼び起こし、〈真実を突き止め、人を裁かない〉という原点へ引き戻す。相貌失認という欠落と共に生きてきた錐が、感覚と記憶を手繰り寄せて紡いだ言葉は、横河の擬似的な絆を無効化し、正道を取り戻させる力を持っていた。欠落を武器に変えるとは、弱さで支配することではなく、弱さと弱さを橋渡しすることだと強く刻む最終回だった。

一件落着と思いきや猿渡(丸山隆平)と錐(平祐奈)は異変を察知する
クライマックスの疾走感と“相棒”の着地に「胸熱」「ハラハラ」の声
最終回のスピーディな展開に「ハラハラドキドキ」「リアタイで固唾をのんだ」「カッパ男って(『セブン』の)ジョン・ドゥ的な感じするね」などの声が相次ぎ、深夜帯ながらハッシュタグは活発に更新された。
続編を匂わせるラストには「桃太郎になぞらえてるのにキジだけ出てこないなあと思ったら、ついに!」「ちょっと待ってどういうことなの?」といった反応も多く、シーズン2への期待が広がっていた。
【制作・編集:WEBザテレビジョン編集部】

人間の欠落につけ入るカッパ男(波岡一喜)

錐のひとり暮らし宣言に驚く獅子王親子(福山翔大&原ふさ子)

雉本と名乗る男性は錐の父・狗飼十四郎(山口馬木也)に顔そっくり
記事提供元:Lemino ニュース
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。