強風切り裂く驚弾連発「ドライバーなら関係ない」 16歳の後藤あいが史上7人目快挙へ
<SkyレディスABC杯 3日目◇9日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6675ヤード・パー72>
最大瞬間風速14.5m/sの強風もスーパー高校生には関係なかった。アンダーパーは9人だけというタフな一日。5位から出て、3バーディ・1ボギーの「70」で回った神戸出身の16歳・後藤あい(松蔭高2年)が単独首位に立った。
「風は嫌いです。ウェッジとか短いクラブが影響を受けて、特にフォローの風のときが難しい。でも、ドライバーとかは関係ないかな」
ボール初速は男子並みの70m/s。風を切り裂く驚弾はとにかく飛ぶ。池越えの名物ホール・最終18番パー5では残り163ヤードからの2打目を8番アイアンで放ち、グリーン奥カラーに運んだ。2日目は残り155ヤードから9番アイアンで2オンに成功。規格外の飛ばし屋がステップ唯一の4日間大会を席巻している。
ハートも強い。午前9時40分ティオフの1時間ほど前、後藤はクラブハウスのレストランにいた。レンジでショット練習は済ませていたが、練習グリーンに向かったのは、バイキング形式の朝食を食べたあと。「練習よりご飯のほうが大事です。途中でお腹がすいたらダメなんで…。いっぱい食べました。おいしかった」。
当然、試合の前夜に緊張で眠れないなんてこともない。前夜は午後8時には就寝。「めちゃ遅くまで寝ていました」と起床は午前6時。しかも、寝てから起きるまでノンストップ。「はい、昨夜もそうでした」と、“寝る子は育つ”を地で行くように破壊力抜群の体を育んできた。
あす最終ラウンドで逃げ切れば、昨年4月の「大王海運レディス」を制した都玲華以来、ステップ史上7人目(※)のアマチュア優勝達成となる。快挙は目前だが、「そこは考えていません。それよりも、スコアを伸ばしたいという気持ちのほうが強いです。優勝は意識するかもしれないけど、優勝を目指すという気持ちはありません。自分が満足できるプレーをすることだけを考えます」。
頭の中にあるのは60台で回ること。イメージするのは初日のラウンドだ。「ボギーなしだったので良かった。あすもボギーやダブルボギーを打たないようにしたい。それができれば自然と結果はついてくると思います」。浮かれることも、緊張することもない。まさに淡々。全日制の普通科に通う高校2年生は、地に足がついている。
5試合目のレギュラー出場だった9月の「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」では、大会期間中に開催された恒例の「ドライビング女王コンテスト」で277.8ヤードを飛ばし、アマで初めて女王の座に就いた。初出場だった前週の「日本女子オープン」はしっかり予選を突破した。上り調子で迎えた地元兵庫での大会。ビッグショットの着弾地点を『優勝』にロックオンして、最後の18ホールに挑む。(文・臼杵孝志)
(※)アマチュアによるステップ優勝
2010年:高橋恵「ANA PRINCESS CUP」
2014年:堀琴音「ABCレディース」
2015年:新垣比菜「ラシンク・ニンジニア RKBレディース」
2016年:吉本ひかる「ルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディース」
2017年:平塚新夢「静ヒルズレディース 森ビルカップ」
2024年:都玲華「大王海運レディス」
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