「ガンダム世代にはたまらない」 宮本勝昌がシニアデビュー時から狙っていたコマツの優勝副賞とは
<コマツオープン 最終日◇4日◇小松カントリークラブ(石川県)◇6958ヤード・パー72>
最終日はトップと1打差の3位タイからスタートして、終わってみれば2位に4打差をつける圧勝劇。それでも宮本勝昌は夏以降から続くショットの不調に苦しんでいた。
不安定なショットを何とかしようと、今週は「苦肉の策」を講じる。理想とするストレート系の弾道を諦め、スイングスピードを落とした大きめに曲がるフェードでゴルフを組み立てた。初日は8アンダーで単独首位発進。ところが2日目は一転、1番と15番のティショットで右のOBゾーンに打ち込むなどスコアメイクに苦しみ、トータル10アンダーで3位タイに後退した。「もう一回、真っすぐにトライしよう」。最終日の朝の練習場では「雰囲気が良かった」ため、ストレート系に戻す決断をする。
初日と2日目に打っていたショットは宮本曰く「横滑り」。それは無意識のうちにグリーン上で悪影響を及ぼしていた。「打った瞬間に出だしがズレる。パターも滑っているような感覚があった」。特に2日目は、「アライメントがズレていて」いつもなら入ってもおかしくない距離が、カップにもかすらずに外れていくシーンが目立った。それが「練習場で真っすぐのイメージを作っていたら、少しパッティングのフィーリングが良くなっていた」と、ショットの修正により本来得意としているパットの調子が戻る。
最終日の前半は、やはり思い通りにならないショットに苦しみながらも、3番パー4でグリーン左のラフから52度でチップイン・バーディ。5番パー5では、右ラフから残り70ヤードの3打目を58度で50センチにつけるなど、ウェッジでいい流れを引き寄せる。「少ないチャンスをものにできた。苦しいなかで最高のフロントナインはできました」。前半でスコアを4つ伸ばして一気に首位を捉えた。
そして、バックナインでは前日苦しんでいたパッティングが目を覚ます。12番では8メートルのパーパットをしのいで力強くガッツポーズ。「いい流れを止めなかった」と、続く13番パー4では5メートル、14番パー5では3メートル、前日にOBを打ってダブルボギーとした難関15番パー4では7メートルを沈めて3連続バーディ。ここで再びガッツポーズが飛び出す。「いい構えができて、いいストロークができていたので、あの辺は自信を持って打てていた」。トータル17アンダーとして一気に後続を引き離し、勝利を決定づけた。
この「コマツオープン」は宮本にとって、3年前の2022年にシニアデビューした大会でもある。「緊張したのは今でも覚えていますし、ここからシニアツアーの旅が始まったな、というのがあるので、やっぱりうれしいですね」と思い出の地での優勝に喜びもひとしお。そして、「ずっと欲しかった。夢の1つが叶いました」というのは、シニアデビュー時から宮本が狙っていた優勝副賞のコマツのミニショベル(PC20MR-5)だ。
メーカーこそ違うが、国内女子ツアー「CAT Ladies」の優勝者にも副賞としてミニショベルカーが贈られる。2004年大会で優勝した木村敏美が実際に自宅の庭でミニショベルカーを使っている姿を見て、「いいなと思っていた」と宮本はいう。
優勝後には念願のミニショベルに乗り込んで記念撮影。「足が両方あって、前にあって、横にもあって、ガンダム世代にはたまらない」と興奮気味に話す。どうやらミニショベルを操作するペダルやレバーの多さが宮本にはツボらしい。「さっき聞いたら免許は3日間で取れるそうで、基本暇ですから免許取りに行きますよ。あれを庭でやりたいんです」。何かを作るでもなく、とにかく操作したくて仕方がないといった様子だった。
次週の長崎で行われる「トラストグループカップ 佐世保シニアオープン」(10月11~12日・佐世保カントリー倶楽部)は、高校2年生の次男、悠生(ゆうき)さんが語学留学しているオーストラリアに妻と2人で会いに行くため欠場する。「3人でゴールドコーストに行ったり、シドニーに行ったり、2泊3日の小旅行。オーストラリアをグルグル回りたいと思っています」。
家族とのリフレッシュを挟み、その翌週は「ファンケルクラシック」(10月17~19日・裾野カンツリー倶楽部)で高橋勝成以来(2001~03年)2人目の3連覇に挑む。
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