畑岡奈紗との練習、手応えの収穫、妻の手料理…など充実したオフ プレーオフシリーズに向けてラストスパート【藤田寛之の“人生付録記”】
昨年の「全米シニアオープン」で2位に入り、米シニア「PGAツアー・チャンピオンズ」のプレーオフシリーズに進出。2戦目で3位に入りポイントを上積みし、今季のフルシード権を得た藤田寛之。この第二の人生とも言える挑戦を『人生の付録』と表す。そんな米戦記を追っていく。(取材/構成・高木彩音)
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みなさん、こんにちは。藤田寛之です。先週はオープンウィークということもあり、妻が初めてテキサスの拠点に来てくれました。妻に「とんかつを食べたい」と言ったら作ってくれたのもうれしかったですし、とても美味しかったです。練習もできましたし、充実したオフを過ごせたな、と思っております。今回はそんなオフでの出来事をお話したいと思います。
僕がダラスでケアを受けている髙田(洋平)トレーナーが、畑岡奈紗さんやタイのパジャリさん(米2勝、パジャレー・アナナルカルン)のサポートをしていて、そのご縁で、その2人と髙田さんとの4人でラウンドする機会がありました。
2人とも本当にうまかったですね。畑岡さんは前半で4バーディを取って安定していて、僕なんかはボギーを2つくらいしていて…(苦笑)。女子のレベルの高さを実感しました。飛距離も想像以上で、自分とほとんど変わらないくらい。アイアンは1番手違いますけど、ドライバーはいい当たりをすれば10ヤードくらいしか変わらない。畑岡さんなんかは、本当に飛びますね。
ラウンド中は、僕のゴルフについての悩みなども真剣に聞いてくれて、どっちが先輩なのかわからないぐらい(笑)。いろいろとお話聞いてもらえました。彼女はもうこちらでの生活が長いですから、いろいろな話を聞けてよかった。ラウンド後は、一緒に練習場でも打って、アプローチ練習もして。とても濃い時間を過ごすことができました。
別の日には、テキサス女子大学のドクター・クォンという運動力学の先生のところにも行きました。3~4カ月ぐらい前に高田さんから勧められていて、ようやく伺えました。体にセンサーを貼って、重心の位置や地面反力、クラブの動き、頭の位置、腰と肩の回転差などをデータ化して見せてくれるんです。
そこで「クラブがどうしても開いてしまう」「上から入れることができない」という、悩みを数値で可視化してもらいました。スイング理論ではなく体の動きとして示されたので、すごく理解しやすかったです。
例えるなら、車のタイヤのバランス。4輪やハンドル、エンジンが揃ってまっすぐ進むように、体のバランスも少し崩れるとスイングに影響が出る。僕の場合は体重が右に残りやすい傾向があって、それがずっと邪魔をしていたのかな、と。ここ5〜6年苦しんできた理由が「これかもしれない」と思えましたし、そのあとの練習では、打てなかったドライバーの球も打てそうな感覚を得ています。
さて、先日、PGAチャンピオンズツアーのQTが正式に廃止になる知らせがあり、正直、残念ではありました。ただ、PGAチャンピオンズツアーはもともとPGAツアーで活躍した有名選手が楽しむ舞台なので、日本のシニアツアーと同じで「過去のスターを見たいファン」の存在が大きいと思います。だから「まあ、仕方ないかな」と受け止めています。
僕は「アメリカでガッツリ戦いたい」というタイプではなく、むしろメジャーなどスポットで出られたらうれしいというスタンス。それが思いがけず、昨年は全米シニアオープンでの2位、プレーオフシリーズの第2戦で3位に入って…と、今年はこちらで1年過ごすことになったんです。
この環境に1年でも、2年でも長くいたいという気持ちはありますし、せっかく1年間やったので、最後の“敗者復活戦”じゃないけど、QTを受けて日本に帰ろうかなという考えはありました。その機会がなくなってしまった、という感じですね。ツアーが決定したことなので、仕方がない。
今はとにかく、プレーオフシリーズの1戦目に行くことが目標です。そのためにレギュラーシーズンの残りの2試合とプレーオフ初戦で(ポイントランキング)54位になんとか入って、(プレーオフシリーズの)第2戦で戦いたい。そのためにも、残りの試合ではトップ10入りというのが必要となってくるので、そこを目指して。最後の最後で大逆転を狙って頑張っていきます。みなさん、残りわずかのシーズンになってきましたが、最後まで応援いただけるとうれしいです。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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