通算7勝の伯父を持つ28歳が一念発起 女子ツアーで話題呼ぶ“森再生工場”で飛躍へ
<バンテリン東海クラシック 初日◇2日◇三好カントリー倶楽部 西コース(愛知県)◇7300ヤード・パー71>
原江里菜をはじめ、堀琴音や菅沼菜々、柏原明日架の復活優勝に大きく貢献した森守洋コーチ。女子ツアーでは“森再生工場”とさえ呼ばれている。男子ではLIVゴルフを主戦場とする香妻陣一朗のコーチでもあるが、今年から森コーチの門を叩いたのがプロ転向8年目の28歳、今野大喜(いまの・だいき)だ。
今野はツアー通算7勝を挙げている康晴を伯父に持ち、アマチュア時代から活躍。日本大学時代は「世界大学選手権」や「中部オープン」で優勝を果たし、ナショナルチームにも在籍した。2018年にプロ転向をして2023年には下部ツアーで初優勝を挙げたが、レギュラーツアーでは22年の「中日クラウンズ」の5位タイが最高成績でシード権獲得はまだない。
昨年末のファイナルQTは73位で前半戦の出場権を獲得できなかった。高校時代の先輩であり、香妻陣一朗のキャディを務める吉本侑平氏にゴルフの悩みを相談していたところ、森コーチを勧められ、本格的に指導してもらうことになった。
今野は康晴を育てた祖父の手ほどきでゴルフを覚えた。「森さんの言っていることが、じいちゃんに言われていたことと重なることが多くて。森さんのことを信じてやっていたら、頭の中がすっきりすることが増えました」
森コーチは「クラブに仕事をさせること」を教えの柱としている。「僕は悪くなると体、体の動きでクラブを操る感覚がなくなるので、体よりもクラブをたくさん動かすことを心掛けています。感覚は手打ちです」とスイングの意識を変えた。また、以前はトップの形などを気にしすぎていたというが、「形は自分で作るものではなく、動作の中で生まれるもの」などの森コーチの指導により、頭を整理することができた。
スイングに悩みがあった頃は、「ラウンド中にどうやって打てばいいか分からなくなる。コースと戦うどころじゃなかった。今はスイングを作るのは練習場で、ラウンド中はコースにフォーカスできています。森さんは本当に“再生工場”だと思います」と自身の考え方も変わり、試合に向き合うことができている。
この日は4バーディ・1ボギーの「68」で回り、首位と2打差の14位タイで滑り出した。「まだ探りながらの部分もありますが、内容とスコアに関してはよかったです」と合格点をつける。
岐阜県出身の今野にとって、この中部地区のビッグトーナメントは幼少期から見ている試合であり、日本大学1年時に予選会を通過して初めてツアーに出場した「思い入れしかない」舞台だ。
まだ順位を気にするには早い。「もう少しショットを修正したい。かみあったらいいスコアを出せそうです」と残り3日間もコースと戦う。「今から練習場で再生してきます」。そう言い残して、足早に練習場へと向かった。(文・小高拓)
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