東北福祉大OBからの後押しで“一発合格” 23歳は海外挑戦にも意欲「日本でしっかり結果を残してから」
<PGA資格認定プロテスト 最終プロテスト 最終日◇5日◇烏山城カントリークラブ 本丸・三の丸(栃木県)◇7118ヤード・パー70>
東北福祉大ゴルフ部出身の23歳・新城ディラン唯人が日本プロゴルフ協会(PGA)の資格認定プロテストで一発合格を果たした。
「3日目が終わった時点で、もう(最終日は)ないと思っていた。合格できて良かったです」。3日目が終了したとき、最終日は強い雨の予報だった。同じ関東で行われていた国内女子ツアーは台風接近の影響で翌日の中止が発表されていたこともあり、多くの選手の頭に“54ホール短縮”がよぎった。
3日目終了時点では、5オーバー・74位タイ。合格ラインの上位50位タイを下回っており、「もう終わった…」と肩を落としていた。しかし、「朝4時半ぐらいに起きたら、ちょっと小降りで、『あれ、これもしかしたらいける』と思って。できるなら頑張ろうと思って行きました」。予想に反して、最終日は決行。ボギーなしの3バーディ「67」をマークし、トータル2オーバー・34位タイでプロ入りを果たした。
新城の背中を押したのは、福祉大の一つ上の先輩だった。「前日の夜に(岡田)晃平さんから『お前は何をしているんだ』と電話がきた。『僕も何が悪いのかわからないんです』っていろいろ相談して、話を聞いてくれた。『あすは自信持って頑張ってこい』って言われたので、気合いが入った。途中からは岡田さんにいい報告ができるように、と思ってプレーしていました」と明かした。
一度は諦めてしまいそうになったが、岡田の言葉で「いろんな人に応援してもらっているので、簡単に諦めるわけにはいかない」と気持ちを立て直すことができたという。岡田とは今年3月に合宿も行っており、大学卒業後も交流がある。日頃からゴルフのことで相談をする仲で「クラブも悩んでいるって言ったら、『じゃあこれ使ってみな』って3番ユーティリティを晃平さんからもらって、それがすごく良かった」と今回のプロテストでも活躍した。
2024年にプロデビューした岡田は、同年11月からメンタルコーチ兼キャディの出口慎一郎氏からサポートを受けており、今季はトップ5に4度入っている。新城は岡田からメンタル面のことや、スタート前の準備方法など話を聞き、「晃平さんのマネをして、そこから良い状態で戦えています。僕の目標はずっと晃平さん。はやくシードを取って、ツアーで一緒に戦いたい。来週もACNツアーがあるので、頑張りたい」と意気込む。
今季の国内下部ACNツアーには2試合出場し、5位タイ、11位タイと結果を残している。10日から行われている「ケーダッシュセカンドチャレンジカップ in 茨城」にも出場中で、現在のポイントランキングは59位。限られた出場数でポイントを積み重ねていきたい。今年のQTはセカンドからの出場となっており「来季の出場権を獲得したい」と意気込みを示した。
ゴルフキャリアの目標について聞くと「ヨーロッパで戦いたい」と目を輝かせた。福祉大出身のプロゴルファーといえば、現在米国男子ツアーを主戦場に戦う松山英樹、金谷拓実らがいる。そのなかで、なぜDPワールド(欧州)ツアーなのか? 「PGAツアーのコースよりも、ヨーロッパのほうが日本のコースに似ていているし、中島啓太さんたちも戦っている。コースがきれいですし、大きな舞台。そこで戦ってみたい」と話す。
そのためにも「ステップを踏むことが大事だと思っている。まずはACNで試合経験を重ねて、QTでファイナルまで行って、来年からツアーでどんどん経験して。日本でしっかり結果を残していきたい」と、まずは日本で地盤を固める。自身が描く未来図に向けて、“通過点”となるプロテストを突破した。(文・高木彩音)
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