【熾烈! MLB&NPBタイトル最終コーナー(Part1)】大谷翔平「3年連続本塁打王」&「2年連続50本塁打」への道
現在46本塁打の大谷。昨年9月には月間10本塁打を放ったが、今季もその再現なるか
シーズンも佳境に入り、"個"の戦いも激化。日米のタイトル争いから目が離せない! MLBからは、大谷翔平(ドジャース)のホームラン記録に注目。
※成績はすべて日本時間9月3日現在
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■大谷は球史に残るホームラン打者だ!毎年のように歴史的偉業を成し遂げる大谷翔平(ドジャース)。今季目指すのは22年ぶりの「3年連続本塁打王」と、史上6人目の「2年連続50本塁打以上」という大偉業だ。
現在、ナ・リーグ2位となる46本塁打を記録しており、今季はコンスタントに月間5本以上を放ってきた大谷であれば、50本超えはほぼ確実だろう。
過去、2年連続で50本塁打以上を記録したのは、2度達成のベーブ・ルース(当時ヤンキース)、4年連続のマーク・マグワイア(当時アスレチックス、カージナルス)とサミー・ソーサ(当時カブス)。そして、ケン・グリフィーJr.(当時マリナーズ)と〝A・ロッド〟ことアレックス・ロドリゲス(当時レンジャーズ)という超豪華メンバーだ。
「ここに並んでいるのはMLBの歴史的な大打者ばかりです。大谷も球史に残る『ホームランバッター』と言っていいでしょう。二刀流をやりながら、バットでもこれだけの記録を残し続けるのは本当にすごいことです」
こう語るのは、現役投手を指導するピッチングデザイナーで、MLBにも精通する『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏だ。今季の大谷の打撃をどう見ているのか?
「シーズン中にリハビリを兼ねて投手復帰する難しさもあったと思いますが、デーブ・ロバーツ監督からも『大振りが目立つ』『もっとセンター返しを』と苦言を呈されていたとおり、放っておくと一発か三振かという粗いスタイルになりがちです。月間MVPを受賞し、チームの地区優勝に貢献した昨年9月のような『勝つためのバッティング』をシーズン最終盤には徹底してほしいです」
大谷が目指す「3年連続本塁打王」を22年前(2001~03年、当時レンジャーズ)に達成したA・ロッドに関して、改めてそのすごさを復習しておきたい。
「マリナーズで本格的に出始めた1996年は8月に月間打率4割超を記録し、最終的に.358で首位打者に輝きました。身長190cm超の小顔でスタイル抜群な上、守備の要であるショートを守り、本塁打も盗塁も量産。当時のインパクトはすさまじく、98年には42本塁打&46盗塁で『40-40』を達成し、押しも押されもせぬMLBのスーパースターになりました。
チームの総年俸が100億円規模の時代にひとりで10年300億円という破格の契約を結んだほどですから。体格も契約規模も社会現象を起こすインパクトも、今の大谷に通じるものがありました」
一方、A・ロッドは「プレーオフに弱い」と揶揄される傾向もあった。
「一発を求めるあまり打撃が粗くなり、チャンスでなかなか打てない、という傾向も強かったですが、これも大谷に通じる部分です。今季の大谷の得点圏打率は.241。昨季も9月以外は得点圏で打てませんでした。
参考までに、プレーオフに強いアストロズの選手たちがなぜ勝負強いかといえば、極端に振り回さないから。今季の大谷は一発を狙って大振りしすぎなので、ロバーツ監督が苦言を呈するのももっともです」
現在、本塁打数リーグ1位のカイル・シュワーバー(フィリーズ)とは3本差。再びトップに立つためには、昨年9月のような勝負強い打撃を取り戻す必要がある。
「1ヵ月で3本差はなかなか厳しい。しかも、今季の大谷は5月に15本塁打を放って以降、なかなか絶好調モードに入れていません。ちょっとした意識の変化次第だとは思うのですが......」
現在49本塁打のシュワーバー。7月、8月は共に月間12本塁打を放つなど好調を維持
一方のシュワーバーは、7月、8月に2ヵ月連続で12本塁打と安定感も抜群だ。
「コマのような回転によって飛距離を生み出します。例年は『打率.220前後なのに本塁打を量産する打者』という印象でしたが、今季は打率.250前後。打率が3分上がれば本塁打数にも反映される、ということです。
大谷も急がば回れではないですが、本塁打に固執せず、ロバーツ監督の指摘をいかに意識できるか。ピッチングの状態は良くなってきたので、相乗効果で打撃も良くなる流れに期待したいです」
文/オグマナオト 写真/時事通信社
記事提供元:週プレNEWS
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