父の優勝カラーを着用 ツアー通算8勝・細川和彦の長男がプロテスト合格で万感“男泣き” 「目標はお父さんを超える」
<PGA資格認定プロテスト 最終プロテスト 最終日◇5日◇烏山城カントリークラブ 本丸・三の丸(栃木県)◇7118ヤード・パー70>
「考えれば考えるほど、涙が出ちゃいます」。レギュラーツアー通算8勝の細川和彦の長男・和広が“男泣き”だ。昨年の最終プロテストはわずか1打足らず不合格。悔しさを胸に挑んだ今年は、トータルイーブンパー・24位タイで見事合格を果たし、プロゴルファーの仲間入りを果たした。
「いろんなひとに支えられて、ここまで悔しい思いをしていた。去年のことはずっと忘れられなくて、帰りの車はずっと泣いていた。今週は天候が不安定のなか、ずっと緊張していたけど、達成できて本当によかった」
合格の裏には、シニアプロたちからのあたたかい“エール”もあった。父・和彦が高橋勝成のチームに所属している縁で、中山正芳らに「今回落ちたらどうなるかわかっているんだろう」と前向きなプレッシャーをかけられていたという。また寺西明からは3日目の夜に「自分のゴルフをやれよ」とのメッセージも。「それがすごく励みになりました」と話す。
最終日の朝は緊張のあまり食べ物が喉を通らなかった。スタート直後にボギーを喫し、そこからは思うようにバーディが奪えず焦りも募ったが、9番で長いバーディパットを沈めて落ち着きを取り戻す。後半に入る前には、応援にかけつけた先輩プロ・徳本中(あたる)に会いパワーを注入。「丁寧なゴルフを心がけ、1つのミスも許されない気持ちで耐え抜いた」と集中力を高めることができた。そこからは、12番でバーディを奪うも、15番でボギー。しかし強雨のなか粘り強くスコアをまとめ、夢をつかんだ。
和広は、9歳でゴルフを始め、埼玉栄高から中央学院大でゴルフを磨いた。コースでの戦いの厳しさを知る父は、プロゴルファーになることを当初反対していたが、「やりたいならやれ」と最後は根負け。プロへの道を歩み始めた。そんなこともあり、この結果に“涙”が止まらない。現在は、中央学院大のゴルフ部でコーチをしていることもあり「みんなにやっといい報告ができる」と笑顔も見せる。
この日のウェアは、父が2005年「日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズ」で優勝した際に着用していたオレンジのシャツと黒のパンツ。勝負の日ということもあり「合わせていこうと思った」と、着用して挑んだ。しかし、雨が降っていたためカッパを着てプレー。「雨が止んだらすぐ脱ぐと決めていた」。後半15番で2メートルのボギーパットを前に雨が止むとすぐに脱ぎ、そのパットを沈めてしのぎ切った。オレンジ×黒コーデは今後の“ラッキーカラー”にもなりそうだ。
合格の報告をすると父・和彦からは「おめでとう」、寺西からは「プロになるんやから、きょうからしっかり練習しいや」とメッセージをもらった。プロになったことはゴールではなく、ここからが本当のスタートだ。
「目標はお父さんを超えること。やっとスタートラインに立てたので、まずは1勝を目指したい。そのためにもQTを通過してツアーに出られるよう頑張りたい。悔しい経験を3年くらいしてきたので、もっと上に行って、有名な選手になりたい」。細川和広は、今年はうれし涙をにじませながら、力強い眼差しを前に向けた。(文・高木彩音)
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