呂布カルマがしびれたラッパー同士の親子関係「俺はヒダディーみたいにできるだろうか?」
『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では映画『2世代ラッパー』について語った。
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★今週のひと言「ヒダディー&火種親子で感じた2世代ラッパーの難しさ」
大阪の誇るHIP-HOPクルー韻踏合(いんふみあい)組合。そのメンバーであるHIDADDY(ヒダディー)が今年1月1日から続けている、1日ワンバースプロジェクトというものがある。
ワンバースというのは、一般的に8か16小節のラップのひと塊の単位だ。
それを毎日書き下ろして、録音、撮影、編集して毎日インスタグラムにアップし続けるという常軌を逸したチャレンジだ。
これがどれぐらいすごいことなのか、ラッパー以外の読者にちゃんと伝わるかどうかわからないが、決してヒマじゃないヒダディーは、たとえイベントや撮影で日本中いろんなとこへ行っても、そこへ録音機材を持ち込み、その場にラッパーがいればそいつを巻き込みつつ、「修業」と称して毎日それを続けているというのだ。
そして8月某日、ヒダディー本人からその修業に誘われて、別仕事で大阪へ前泊するついでに参加することになった。
ちなみに、もちろんだが参加は強制ではない。だけど尊敬する先輩から誘われて断る理由はない。
基本的に若者文化であるHIP-HOPの世界で40歳も過ぎると、先輩の数はかなり減ってくる。
その上、地元であったり直接的な上下でもない限りはなかなかアドバイスをしてくれる人はいないのだが、ヒダディーは定期的に俺に気づきを与えてくれる非常に珍しい先輩のひとりだ。
だから俺はヒダディーの言うことは、素直に聞くようにしている。
当日の修業の様子はインスタグラムのアカウント(@gakkuyard1238)の中から見つけてほしい。
俺と同い年で、大阪の裸繪札(ハダカエフダ)のラッパー・マチコと、ヒダディー、そしてヒダディーの息子である火種の4人でラップしている。
修業の後、ヒダディー&火種親子と裸繪札で、軽く打ち上げに行ったのだが、そこでのラッパー同士の親子関係にまたしびれた。
それについて書きたかったのに前置きが長くなってしまった。しかしこの前置きなしには伝わるまい。
火種は最近高校をやめたばかりの17歳。まだまだかわいげを残した若いラッパーだ。そして父であり、ラッパーとしては地元の大先輩でもあるヒダディー。
あどけなくお父さん自慢をしていた幼き日の貴乃花が、藤島部屋へ入門し「貴花田」になった途端に父子から師弟の関係になったあの感じ。
まさに、あれを目の当たりにする感じだった。
甘やかすのではなく、愛情はありつつもことさらに厳しい。
要は「地元で、俺の息子としてラップをやっていくなら生半可ちゃうぞ」という態度だ。
親の七光だとかコネとか、もちろんないわけではないだろうが、そこで中途半端だと恥をかくのは自分よりむしろ親父のほうだ。
俺にも息子がいる。
まだ幼くて将来のことを考えるのは早いが、それでもラッパーにさせようなんてみじんも思わない。
以前にもここで書いたと思うのだが、程度の差こそあれ、ラップは非行に直結するからだ。
それでもやると言われたら、勝手に始めてしまったら、それを無理やりやめさせる権利は親といえどない。
そのとき、俺はヒダディーみたいにできるだろうか? たぶんできそうにない。
そのときはまた、ヒダディーに相談に乗ってもらうことにしよう。
撮影/田中智久
記事提供元:週プレNEWS
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