日韓国交正常化60周年:【新国立劇場】『焼肉ドラゴン』 制作発表会見
『焼肉ドラゴン』は、2008年に新国立劇場が芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボレーション企画として、鄭義信に書き下ろしを依頼し制作され、日韓の過去、現在、そして未来を、音楽を交えながら、2008年、2011年、2016年に続き、2025年に4度目の上演となる。
1970年前後、高度経済成長と大阪万博に沸く関西の地方都市。そこで慎ましくも懸命に生きる在日コリアン一家と、彼らが営む焼肉店『焼肉ドラゴン』に集う人々の人間模様を、生き生きと描き出した本作。2008年の初演では、開幕直後から口コミで大きな評判を呼び、東京・ソウル公演では連日スタンディングオベーションを巻き起こすなど、観客から熱狂的な支持を受けました。その年の日韓両国で数々の演劇賞を受賞し、2018年には鄭義信自身がメガホンを取り映画化もされている。
この程、本作の制作発表会見が8月29日(金)・新国立劇場にて行われた。2008年初演時のオリジナルキャストである千葉哲也、コ・スヒ、パク・スヨン、キム・ムンシク。2016年より続投する櫻井章喜。これまで三度の上演すべてに出演し映画版にも出演した朴勝哲。鄭義信作品に出演歴があり初めての出演となる村川絵梨、智順、石原由宇、松永玲子。公募オーディションで選ばれた北野秀気。 新たな顔ぶれとなるイ・ヨンソク、チョン・スヨン。実力派俳優たちが制作発表会見に集結し、それぞれ『焼肉ドラゴン』に懸ける想いを語った。
鄭義信(作・演出):
新国立劇場で4度目の公演させていただくことになりました。2008年の初演時には4回も公演できるとは思っていませんでしたので、本当にうれしいです。初演のメンバーも戻ってきてくれたので、もう一度初心に戻ってイチから『焼肉ドラゴン』に取り組んでいこうと思います。
千葉哲也:
14年ぶりとなるので周りの皆さんの足を引っ張らないように頑張りたいと思います(笑)。
村川絵梨:
私が観たのは2016年バージョン。『焼肉ドラゴン』は伝説的な作品でまさか、自分がこのメンバーの一員になれるとは思っていなかったので本当にうれしいです。立ち稽古が始まっているんですけど、稽古場の熱量に圧倒されてます。引き締まる思いです。
智順:
初めてお話いただいた時は「絶対に嘘や」と思いました。信じられなかったです。いざ稽古が始まるとものすごい熱量で、今は一生懸命食らいつくだけです。
櫻井章喜:
2回目の出演となりますが前回は大量の涙と汗をだらだらと流し、大きな声で騒いで、歌って、踊って。とにかく大変だったことを真っ先に思い出します。今回のメンバーも魅力的で、どんな家族になっていくのかで、今から本当楽しみで仕方ありません。 日韓の素晴らしい俳優さんたちやスタッフさんたちが集まって語り継がれる舞台になっていくと思います。
朴勝哲:
『焼肉ドラゴン』は映画版も含めて皆勤賞です(笑)。懐かしいメンバーと新しいメンバーがおりなす、この舞台で見れる景色をすごく楽しみにしています。
石原由宇:
僕のデビュー作が鄭義信の書き下ろしの作品だったので、また鄭さんの芝居のセリフを言わせてもらえると思うと本当に嬉しいです。バリバリの東京人なので関西弁のアドリブができない状態です。千秋楽までには何とか関西弁のアドリブができるように頑張りたいと思います。
北野秀気:
オーディションに受かったときは本当に嬉しかったです。最年少なんですけど、誠心誠意精一杯やらせていただきたいと思ってます。
松永玲子:
『焼肉ドラゴン』は舞台中継や客席で拝見していたので、出演が決まった時には雷に打たれたような衝撃でした。頑張って演じたいと思います。
イ・ヨンソク:
この作品に参加することが決まった時に知人や友人に話をしたら、うらやましがられました。それくらい韓国でも『焼肉ドラゴン』は伝説的な作品となってます。夢を見ているような感じです。この作品は韓国語と日本語の両方が入り混じっていることに意味があるのではないかと思っています。
コ・スヒ:
『焼肉ドラゴン』が戻ってきました。待ち望んでいた皆様の期待に応えれれるに努力を積み重ねて準備していこうと思います。
パク・スヨン:
初演が30代、再演が40代、今回は50代で臨むことになります。ワクワクしてます。この場を与えてくださったことに感謝しております。
キム・ムンシク:
再び、この作品に参加することになり、ワクワクしております。本当に想像もしなかった。ちゃんと演じられるようにしていきたい。
チョン・スヨン:
夢見る人、キラキラしている女性、その輝く姿を演じられるように頑張っていきたいと思います。
万国博覧会が催された 1970(昭和 45)年、関西地方都市。高度経済成長に浮かれる時代の片隅で、焼肉屋『焼肉ドラゴン』の赤提灯が今夜も灯る。店主・金 龍吉は、太平洋戦争で左腕を失ったが、それを苦にするふうでもなく淡々と生きている。家族は、先妻との間にもうけた二人の娘・静花と梨花、後妻・英順とその連れ子・美花、そして、英順との間に授かった一人息子の時生……ちょっとちぐはぐな家族と、滑稽な客たちで、今夜も『焼肉ドラゴン』は賑々しい。ささいなことで泣いたり、いがみあったり、笑いあったり……。そんな中、「焼肉ドラゴン」にも、しだいに時代の波が押し寄せてくる。
【公演日程】
[小劇場] 2025年10月7日[火]~27日[月]
[中劇場] 2025年12月19日[金]~21日[日] <凱旋公演>
【会場】新国立劇場
【作・演出】鄭義信
【出演】千葉哲也、村川絵梨、智順、櫻井章喜、朴 勝哲、崔 在哲、石原由宇、北野秀気、松永玲子、イ・ヨンソク、コ・スヒ、パク・スヨン、キム・ムンシク、チョン・スヨン
【芸術監督】小川絵梨子
【主催】新国立劇場詳細はこちら⇒日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』
記事提供元:キネマ旬報WEB
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