“白目”が大きく見えるように整形も お化け屋敷会社社長 波乱万丈の半生
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今、暑さを吹き飛ばす真夏のホラーが、コロナ以降、最大の盛り上がりを見せている。
「USJ」では大型ホラーイベントを開催予定で、「浅草花やしき」のお化け屋敷も完全リニューアル。大型商業施設でも集客を呼べるイベントとして定着した。
今回の「テレ東プラス 人生劇場」では、「怖がらせ隊」代表取締役社長でホラーアクターとしても活躍している今出彩賀さん(39)を取材。
今出さんが2018年に立ち上げた「怖がらせ隊」は、お化け屋敷の制作・運営を行う会社で、年商1億円に上る。しかし、そこに至るまでの彼女の道のりは、セクキャバ勤務や整形と波瀾万丈…いったい何があったのか。
【動画】中部地方最恐の廃墟!閉園から21年…新潟県ロシア村でロケを敢行

――今出さんは広島県の呉市出身です。どんなタイプのお子様でしたか?
「子どもの頃から妖怪やもののけ、怪談話が大好きでした。『妖怪をこの森で見たんじゃ~』と言い出すような父で(笑)、『私も見たい! お父ちゃん、お母ちゃんと散歩に行きたい』と騒ぎだすような子どもでした。父がよく読んでくれた水木しげるさんの妖怪漫画も大好きでした。周りの友だちが『セーラームーン』や『ドラゴンボール』にハマる中、私だけ取り残されていたように思います。
男子と一緒に木の棒を持って心霊スポットに行き、妖怪を探し回るような子どもでした」
――お父様は怖いもの好きの教師、お母様は薬剤師だそうですが、やはり、お父様の影響は大きかったと。
「1年前『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)に出演したのですが、スタッフの方が広島の実家まで来てくださって、父にインタビューしたんですよ。父が『感性豊かな大人に育てたいと思って、ヘンゼルとグレーテルや白雪姫などいろいろな童話や絵本を読んであげたのに、なぜか彼女が興味を示すのは怪談や妖怪話ばかり。いつの間にか怪奇的な大人になってしまった』と話し、その部分がドーンと取り上げられました(笑)」
――お父様の想いは、その時初めて聞いた感じですか?
「そうですね。元々怖いものが好きな両親でしたが、私がそれを超えてしまったのです。親としては、“ちょっと怖いものを見せてあげようとしたら、娘が思いのほか食いついてしまった”という感じでしょうか。実は弟は怖いのが苦手で、同じ親に育てられた姉弟でも、やっぱり違うんですよね」

――多感な学生時代を経て美術大学に入ったものの、3日で退学届を提出。その後はどのようにして、お化け屋敷の仕事に辿り着いたのでしょう。
「美大はカリキュラム説明だけで終わりました(笑)。中学生の時、クリスマスに父が『こういうの好きなんじゃない?』と言って、ホラーゲーム『零~zero~』をプレゼントしてくれたんですよね。そこからどハマりして、実はずっと『こういうゲームをつくれるようになりたい!』と思っていました。そこで美大を辞めた後は一念発起し、ゲームクリエイターの専門学校に入学。その後は父がくれたゲームの外注会社などに就職し、正社員としては8年半勤めました」
――大学を辞める決断は早かったのに、正社員として働いた期間は割と長かったんですね(笑)。そこからの転機は?
「驚異的な存在、岩名謙太と出会ったことですね。彼はお化けをやらせたらすごいんですよ! だから会社を辞めて、当時大学生だった彼の弟子になりました。一緒に『怖がらせ隊』を立ち上げましたが、今でも社内の立ち位置は、彼より私の方が下になります」
――ゲーム会社で働いた経験は、今に生かされていますか?
「正社員の時、社会のイロハを学びました。言われたものをただ提出するだけではなく、1.5倍ぐらいいいものを出さないと評価されない。だから企画書を出す時も、どんなに疲れていてももうちょっと頑張る、もうちょっと画像を付け加える…そういう精神は、はすべて会社員時代に学びました」
――ゲームクリエイターとしてのキャリアを捨てて、お化け屋敷制作の道に進んだ今出さん。当初は資金がなく、とても苦労したそうですね。
「そうですね。20代の頃、お化け屋敷の仕事がない時は、キャバクラ、セクキャバ、朝キャバで働きました(笑)」
――セクキャバ!(笑) どういうお店なのでしょう。
「何店舗か行ったんですよね。洋服の上から揉まれるお店やキスするお店もあり“ちょっとキスはしたくないなぁ”と思って辞めました。でも、そういうところは時給が高いんですよね。当時はセクキャバからの朝キャバと掛け持ちをしていて、朝キャバは、酔いつぶれた人がやって来る。朝キャバの後はお化け屋敷の仕事で…こうして当時を思い出すと、だいぶヤバいですね。虚無になります(笑)」
――20代は、体力があるからなんでもできますよね。お化けアクターとして、他にしたことはありますか?
「ガッと目を見開いた時、白目が大きく見えるように整形しました。普通はみんな目をパッチリさせるために整形するので、美容クリニックの先生に『私、こういう仕事しているので、白目が大きく見えるように…』と説明しても、『はいはい、分かりました。〇万円のキャンペーンですね!』という感じで(笑)。でも、とてもいいクリニックだったので、X(当時はTwitter)でクリニックのハッシュタグを付けて『キャンペーンでお化け用に目を縫って、ダウンタイムなう』と書いたら、先生本人から『本当だったの?』と返事がきました。本当は可愛くなりたいけど、恥ずかしくて強がっているヤツみたいに思われたんでしょうね(笑)」

――20代の頃と39歳になった今とで、違ってきたことはありますか?
「10年前は、お化けになったら無茶をして、ドタンバタン力の限り走り回っていましたが、今は技が磨かれたこともあり、少し力を抜いて演じられるようになりました。お化けの私を見た方は分かると思いますが、バキバキするような感じの技で怖がらせることができます」
――動画で拝見しましたが、今出さんのお化けは本当にスゴイ!
「そう言っていただけるとうれしいです。うちは、女性のお化けアクターが圧倒的に多いのですが、トップが私で、男性のトップが岩名です。声優や役者志望の人、ダンサーなどもいて、応募者からオーディションで選び、現場に送りこんでいます。
出演費を出してパフォーマンスしてもらっている人は、常時150~250人ぐらい。皆さんフリーなので専属という形ではありませんが、ここ10年でハロウィンが一気にメジャーになったこともあり、夏はもちろん、ハロウィンが始まると11月まで引っ張るため、今、この業界は大変忙しいです。
“ゾンビ出して”とか“怖いイベントをやりたい”という問い合わせがものすごく多いので、ありがたいことに、夏から秋の終わりまで休みなしで働いています」
今出さんのインタビュー後編は、9月1日(月)正午に公開予定。
【今出彩賀 プロフィール】
1986年生まれ、広島県呉市出身。2016年、お化け屋敷プロデューサー・岩名と出会い、【怖がらせ隊】へ加入。「シカバネ迷宮編」「シカバネ病棟編」「シカバネ狂」…など岩名作品に多数出演。2018年10月31日ハロウィンの日「株式会社怖がらせ隊」を立ち上げ、代表取締役に。
2019年3月、竹書房「本当にあった愉快な話」にてお化け屋敷マンガ「お化け屋敷プロデュース怖がらせ隊が行く!断末魔の現場から」の連載を開始。
制作・化け物キャスト・デザイン・イラスト・特殊メイク・撮影・音声編集・動画・造型…など、怖いものなら何でもやるホラー人間。
8月31日(日)には、『「呪怨<Vシネマ版>」イマーシブ絶叫上映&呪われた者たち展』(池袋HUMAXシネマズ)を開催する。
(取材・文/谷亜ヒロコ)
「USJ」では大型ホラーイベントを開催予定で、「浅草花やしき」のお化け屋敷も完全リニューアル。大型商業施設でも集客を呼べるイベントとして定着した。
今回の「テレ東プラス 人生劇場」では、「怖がらせ隊」代表取締役社長でホラーアクターとしても活躍している今出彩賀さん(39)を取材。
今出さんが2018年に立ち上げた「怖がらせ隊」は、お化け屋敷の制作・運営を行う会社で、年商1億円に上る。しかし、そこに至るまでの彼女の道のりは、セクキャバ勤務や整形と波瀾万丈…いったい何があったのか。
【動画】中部地方最恐の廃墟!閉園から21年…新潟県ロシア村でロケを敢行

父からホラーの英才教育(?)を受けて育った今出さん
――今出さんは広島県の呉市出身です。どんなタイプのお子様でしたか?
「子どもの頃から妖怪やもののけ、怪談話が大好きでした。『妖怪をこの森で見たんじゃ~』と言い出すような父で(笑)、『私も見たい! お父ちゃん、お母ちゃんと散歩に行きたい』と騒ぎだすような子どもでした。父がよく読んでくれた水木しげるさんの妖怪漫画も大好きでした。周りの友だちが『セーラームーン』や『ドラゴンボール』にハマる中、私だけ取り残されていたように思います。
男子と一緒に木の棒を持って心霊スポットに行き、妖怪を探し回るような子どもでした」
――お父様は怖いもの好きの教師、お母様は薬剤師だそうですが、やはり、お父様の影響は大きかったと。
「1年前『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)に出演したのですが、スタッフの方が広島の実家まで来てくださって、父にインタビューしたんですよ。父が『感性豊かな大人に育てたいと思って、ヘンゼルとグレーテルや白雪姫などいろいろな童話や絵本を読んであげたのに、なぜか彼女が興味を示すのは怪談や妖怪話ばかり。いつの間にか怪奇的な大人になってしまった』と話し、その部分がドーンと取り上げられました(笑)」
――お父様の想いは、その時初めて聞いた感じですか?
「そうですね。元々怖いものが好きな両親でしたが、私がそれを超えてしまったのです。親としては、“ちょっと怖いものを見せてあげようとしたら、娘が思いのほか食いついてしまった”という感じでしょうか。実は弟は怖いのが苦手で、同じ親に育てられた姉弟でも、やっぱり違うんですよね」

――多感な学生時代を経て美術大学に入ったものの、3日で退学届を提出。その後はどのようにして、お化け屋敷の仕事に辿り着いたのでしょう。
「美大はカリキュラム説明だけで終わりました(笑)。中学生の時、クリスマスに父が『こういうの好きなんじゃない?』と言って、ホラーゲーム『零~zero~』をプレゼントしてくれたんですよね。そこからどハマりして、実はずっと『こういうゲームをつくれるようになりたい!』と思っていました。そこで美大を辞めた後は一念発起し、ゲームクリエイターの専門学校に入学。その後は父がくれたゲームの外注会社などに就職し、正社員としては8年半勤めました」
――大学を辞める決断は早かったのに、正社員として働いた期間は割と長かったんですね(笑)。そこからの転機は?
「驚異的な存在、岩名謙太と出会ったことですね。彼はお化けをやらせたらすごいんですよ! だから会社を辞めて、当時大学生だった彼の弟子になりました。一緒に『怖がらせ隊』を立ち上げましたが、今でも社内の立ち位置は、彼より私の方が下になります」
――ゲーム会社で働いた経験は、今に生かされていますか?
「正社員の時、社会のイロハを学びました。言われたものをただ提出するだけではなく、1.5倍ぐらいいいものを出さないと評価されない。だから企画書を出す時も、どんなに疲れていてももうちょっと頑張る、もうちょっと画像を付け加える…そういう精神は、はすべて会社員時代に学びました」
セクキャバ勤務&“白目”が大きく見えるように整形
――ゲームクリエイターとしてのキャリアを捨てて、お化け屋敷制作の道に進んだ今出さん。当初は資金がなく、とても苦労したそうですね。
「そうですね。20代の頃、お化け屋敷の仕事がない時は、キャバクラ、セクキャバ、朝キャバで働きました(笑)」
――セクキャバ!(笑) どういうお店なのでしょう。
「何店舗か行ったんですよね。洋服の上から揉まれるお店やキスするお店もあり“ちょっとキスはしたくないなぁ”と思って辞めました。でも、そういうところは時給が高いんですよね。当時はセクキャバからの朝キャバと掛け持ちをしていて、朝キャバは、酔いつぶれた人がやって来る。朝キャバの後はお化け屋敷の仕事で…こうして当時を思い出すと、だいぶヤバいですね。虚無になります(笑)」
――20代は、体力があるからなんでもできますよね。お化けアクターとして、他にしたことはありますか?
「ガッと目を見開いた時、白目が大きく見えるように整形しました。普通はみんな目をパッチリさせるために整形するので、美容クリニックの先生に『私、こういう仕事しているので、白目が大きく見えるように…』と説明しても、『はいはい、分かりました。〇万円のキャンペーンですね!』という感じで(笑)。でも、とてもいいクリニックだったので、X(当時はTwitter)でクリニックのハッシュタグを付けて『キャンペーンでお化け用に目を縫って、ダウンタイムなう』と書いたら、先生本人から『本当だったの?』と返事がきました。本当は可愛くなりたいけど、恥ずかしくて強がっているヤツみたいに思われたんでしょうね(笑)」

150~250人のホラーアクターを束ねる
――20代の頃と39歳になった今とで、違ってきたことはありますか?
「10年前は、お化けになったら無茶をして、ドタンバタン力の限り走り回っていましたが、今は技が磨かれたこともあり、少し力を抜いて演じられるようになりました。お化けの私を見た方は分かると思いますが、バキバキするような感じの技で怖がらせることができます」
――動画で拝見しましたが、今出さんのお化けは本当にスゴイ!
「そう言っていただけるとうれしいです。うちは、女性のお化けアクターが圧倒的に多いのですが、トップが私で、男性のトップが岩名です。声優や役者志望の人、ダンサーなどもいて、応募者からオーディションで選び、現場に送りこんでいます。
出演費を出してパフォーマンスしてもらっている人は、常時150~250人ぐらい。皆さんフリーなので専属という形ではありませんが、ここ10年でハロウィンが一気にメジャーになったこともあり、夏はもちろん、ハロウィンが始まると11月まで引っ張るため、今、この業界は大変忙しいです。
“ゾンビ出して”とか“怖いイベントをやりたい”という問い合わせがものすごく多いので、ありがたいことに、夏から秋の終わりまで休みなしで働いています」
今出さんのインタビュー後編は、9月1日(月)正午に公開予定。
【今出彩賀 プロフィール】
1986年生まれ、広島県呉市出身。2016年、お化け屋敷プロデューサー・岩名と出会い、【怖がらせ隊】へ加入。「シカバネ迷宮編」「シカバネ病棟編」「シカバネ狂」…など岩名作品に多数出演。2018年10月31日ハロウィンの日「株式会社怖がらせ隊」を立ち上げ、代表取締役に。
2019年3月、竹書房「本当にあった愉快な話」にてお化け屋敷マンガ「お化け屋敷プロデュース怖がらせ隊が行く!断末魔の現場から」の連載を開始。
制作・化け物キャスト・デザイン・イラスト・特殊メイク・撮影・音声編集・動画・造型…など、怖いものなら何でもやるホラー人間。
8月31日(日)には、『「呪怨<Vシネマ版>」イマーシブ絶叫上映&呪われた者たち展』(池袋HUMAXシネマズ)を開催する。
(取材・文/谷亜ヒロコ)
記事提供元:テレ東プラス
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