2季連続女王に輝いた“小さな巨人” 全英V・山下美夢有の軌跡を振り返る
<AIG女子オープン 最終日◇3日◇ロイヤル・ポースコールGC(ウェールズ)◇6748ヤード・パー72>
海外メジャー今季初戦を制したのは、身長150センチの“小さな巨人”山下美夢有だった。単独首位で最終日をスタートさせると、3バーディ・1ボギーの「70」で逃げ切り。2019年の渋野日向子に次ぐ日本勢2人目の大会制覇で、華々しく米ツアー初優勝を飾った。
山下は2001年8月2日生まれ。前日に24歳の誕生日を迎えたばかりだった。類いまれなるショット力を武器に、2019年のプロ入りから日本ツアー通算13勝をマーク。2022年からは2季連続で年間女王に輝いた。そんな山下が、全英制覇に至るまでの軌跡を振り返る。
■2020-21年
コロナ禍によって統合されたシーズン。山下はスーパールーキーとして早くも存在感を発揮した。ツアーデビューから3試合連続で予選落ちを喫したものの、2020年「スタンレーレディス」で初のトップ10入り(5位)。以降は予選落ちを大幅に減らし、2021年「KKT杯バンテリンレディス」で初優勝を手にした。
ルーキーながらメルセデス・ランキング12位でシードを獲得。トップ10入りはツアー7位の16回を数え、パーセーブ率87.8553%で5位、リカバリー率70.0127%で1位と、すでに高い安定感を見せていた。
■2022年
この年、山下は一気にスターダムを駆け上がった。「ワールドレディスサロンパスカップ」で2勝目を挙げると、「サントリーレディス」(優勝)から13試合連続トップ10入りを記録。最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」を含むシーズン5勝をマークし、初の年間女王に輝いた。
■2023年
この年はまさに“絶対女王”としての地位を築いたシーズンとなった。「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で初勝利を挙げると、5月には2週連続優勝を達成。最終戦のリコーカップを連覇で締めくくり、通算5勝を積み上げた。
出場32試合中、1試合の棄権を除き予選落ちはゼロという驚異的な安定感を誇った。2季連続の年間女王を戴冠。そして、ツアー史上初の2年連続賞金2億円超えという記録を打ち立て、最強プレーヤーとして日本ツアーに君臨した。
■2024年
シーズン前半は、優勝が遠くフラストレーションの残る展開が続いた。9月までにトップ5入り12回と安定した成績を残しながらも、2位が7回と惜敗が続いた。
10月の「富士通レディース」でようやくシーズン初勝利。「大王製紙エリエールレディス」で2勝目を挙げた。年間女王の座こそ竹田麗央に譲ったものの、平均ストローク『69.1478』で1位を記録。どのコースでも力を発揮する実力を証明した。12月には米国女子ツアーの最終予選会に参加。見事トップ合格を果たし、主戦場を米国に移した。
■2025年
米ツアー初戦から存在感を発揮した。「ファウンダーズカップ」で4日間60台をマークし、4位タイの上々デビュー。その後も5度のトップ10入りを記録するなど、初優勝は時間の問題とみられていた。
そして迎えた全英で、ついに初のトロフィーを掲げた。樋口久子、渋野日向子、笹生優花、古江彩佳、西郷真央に続く日本勢6人目の快挙。小さな巨人が、米ツアーの歴史にしっかりとその名を刻んだ。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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