プレー後のお風呂はもはや不要? ゴルファーにも広がりつつある「風呂キャン」派の意見とは?
運動後なのだから、18ホールを回り終えたらお風呂に入って汗を流す……ゴルフでは一般的な光景だろう。入浴時間を仲間とのプレーの振り返りに使う、社交場としてとらえている人もいるのでは? しかし、昨今では入浴事情に変化が訪れていると、四六時中ゴルフ漬けのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典は語る。
「風呂キャン」という若者言葉をよく耳にします。「風呂キャンセル界隈」の略で、お風呂に入る予定をキャンセルしてお風呂に入らない行動や背景のことを意味しています。つい最近、風呂キャンではないのですけど、お風呂にまつわる面白い話を聞きました。
そのコースでは、昨年の暮れに、ボイラーが故障して、温かいお湯が供給できなくなってしまいました。最も困るのは、お風呂です。水しか使えない状態で、冬にお風呂を使用する人はいません。やむを得なく、開場以来初めて、お風呂をクローズして営業したそうです。
ところが不幸なことに、ボイラーの修理が難航します。まず、業者が2週間以上先でなければ修理に来ることができず、やっと修理を終えて、ボイラーを使ってみたら、半日でまた故障。業者にクレームの連絡をして、別の業者にも声をかけるなどして、結局、約2か月の間、お風呂をクローズするという前代未聞の珍事になってしまったのです。
コースではメンバーを始めとした、常連客に丁寧にお詫びし続けながら、ネットなどの書き込みにも注意をしていました。お風呂のクローズで、評価が下がらないことをスタッフ全員で願っていたそうです。ところが、お風呂がクローズしていた間に、大騒ぎするような事件は1回も起きず、クレームは、リアルな現場でも、ネットにもなかったそうです。
メンバーからは、「家に帰ってからお風呂に入る方が、落ち着いてゆっくりと入れるので、結果として良いことが分かった」というように、ポジティブな話が多く、お風呂の再開後、タオルの使用量から逆算して、利用者が減ったというのです。
コロナ禍以後、プレー後にお風呂を使わないケースが増えた、という話題はあちこちのコースで聞きます。修学旅行でも、友人の前で裸になるのが嫌だから、という理由で大浴場には入らないという届けが認められている時代です。ゴルフコースの風呂キャンは、珍しいことではなくなっているのかもしれません。
裸の付き合いとして大切だという接待ゴルフ時代から伝わる考え方もありますし、人の車に同乗している場合は、きれいにして乗るべきだからお風呂はマスト、というハウツーを推奨するマニュアルも存在します。
全員参加が崩れた結果、お風呂に入る人が入らない人を待たせて、トラブルになったという話を聞くようになったのは21世紀になってからです。
利用しない人からすれば、その分もプレー費に入っているだろうお風呂はゴルフ場に不要だという意見もあります。逆に真冬の極寒のゴルフの直後や、汗だらだらの夏ゴルフの直後のお風呂は、絶対に必要なサービスだという意見も根強くあり、こちらも説得力があります。
僕も最近は年に数回しかお風呂を利用していません。キレイ好きな人の車に同乗しているときや、同伴者に合わせるときは利用しますが、帰宅してからゆっくり入浴する方がノーストレスで、気持ちが良いのです。
入らないことも正解。入って楽しむのも正解。ただ一つ、どちらにしても、ゴルフのオマケとして、日本独特の文化であるお風呂に感謝することを忘れないようにしたいのです。(文・篠原嗣典)
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」。
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