中平康が描く狂おしくも美しい地獄絵巻「闇の中の魑魅魍魎」(1971)、限定公開決定
鬼才・中平康が自身のプロダクションの第1弾作品として、麿赤兒を主演に迎えて幕末土佐の天才絵師“絵金”の軌跡を描いた「闇の中の魑魅魍魎」(1971)が、〈奇想天外映画祭〉のラインナップの一本として10月11日(土)より新宿K’s cinemaで限定公開される。ビジュアルと予告編が到着した。
逞しい体躯を持ち、傲慢で不潔と陰口を叩かれていた20歳の絵師金蔵(麿赤兒)。江戸に遊学したのち高知に戻り、“絵金”として再出発する。やがて権力に抗うも、“自分のみを信じて”描き上げた絵は人々を魅了していく──。
軽妙な作風で注目されたモダニスト・中平だが、新藤兼人の脚本をもとにした「闇の中の魑魅魍魎」は血みどろ描写を交えて生々しく描き、カンヌ国際映画祭で物議を醸した。怪演する若き麿赤兒はもちろん、扇ひろ子、加賀まりこら女優陣も迫力あり。忘れられていた異端作が、再び世に放たれる。
なお、麿赤兒と大駱駝艦の舞台を捉えた林海象監督のドキュメンタリー「ちんなねえ」(1997)も同時上映される。併せて注目を。
「闇の中の魑魅魍魎」
製作・監督:中平康 脚本:新藤兼人 原作:榎本滋民「血みどろの絵金」
撮影:杉田安久利 美術:大鶴泰弘 音楽:黛敏郎
原画協力:絵金蔵
出演:麿赤兒、扇ひろ子、加賀まりこ、稲野和子、佐々木愛、岡田英次、江守徹、土方巽、殿山泰司
1971年/カラー/シネマスコープ/110分/DCP 中平プロ第一回作品
配給:アダンソニア 提供:ディレクターズ・システム
配給協力・宣伝:ブライトホース・フィルム デザイン:千葉健太郎 協力:仙元浩平
©ディレクターズ・システム
「ちんなねえ」
製作:高知県、高知県立美術館、(財)高知県文化財団、映像探偵社
所蔵:高知県立美術館
監督:林海象
出演:麿赤兒、大駱駝艦、原田芳雄(友情出演)
1997年/カラー/BD/43分
©高知県立美術館
記事提供元:キネマ旬報WEB
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