ゼロトルク&つかまり顔の“最強武器”も奏功 逆輸入の23歳が家族一丸、初優勝へ
<JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品 2日目◇27日◇西那須野カントリー倶楽部(栃木県)◇6956ヤード・パー71>
米カリフォルニア州サンディエゴ出身の23歳・山脇健斗は、昨年大会以来となる父・健一さんとのタッグで初優勝を目指している。「一番、僕のことをわかっている」という心強い相棒とともに、トータル10アンダー・3位タイで週末に進んだ。
いわゆる“逆輸入”選手だ。父は、かつて日本のテーラーメイドで社長まで務めた人物。その影響もあり、海外でゴルフを始めた。名門・カリフォルニア大学バークレー校に進学したが、ゴルフに集中するため中退。「勉強がすごく大変で、バランスがうまくとれなくて…」。退路を断つ形で、最終的に両親とも相談しゴルフの道に進んだ。
2019年には「全米ジュニア」でベスト16、同年の「オーストラリアンオープン」にも出場するなど活躍を見せた。予選通過はできなかったが、大学時代の21年には「全米アマチュア選手権」にも出場している。23年に日本のQTに挑戦。ファイナルまで進み27位タイで、同年から日本ツアーに参戦している。
初日はボギーなしの6バーディを奪い「65」をマークし7位タイ発進。日没サスぺンデットとなったこの日は、「ずっとチャンスでした」と6バーディ・2ボギーの「67」で回り、スコアを伸ばした。「ロングホール(パー5)は、攻めてドライバーを打った。練習ラウンドの時にスプーンかドライバーか迷っていたホールも全部ドライバーで打っていました」。攻めのゴルフがハマっている。
ただ、守るところは守る。「パー4はほとんど3番アイアンかスプーンでした。父の判断力もすごく良かったと思う」。信頼を置く健一さんとのコンビネーションが呼び込んだ結果でもある。
またパー5で攻めのティショットを打てたのは、米国スリクソンのツアー担当をしている兄・翔平さんの力も大きい。相談し作成してもらったドライバーに替えてから、状態が上向いている。
今年のレギュラーツアー開幕戦「東建ホームメイトカップ」(15位)、下部ツアーの「Novil Cup」(8位)ではまずまずの成績を残したが、「それ以外は苦戦していました」。その原因のひとつがティショットにあった。「ドライバーの話で頻繁に電話してました。(日本で)こういうヘッドを作ってもらってと言われ、つかまる系、スピンが入る系のものに替えました。そこから(調子が)変わりましたね」。
もともとは『スリクソンZXi LS』の“逃げ顔”(ややフェースが開いている)を使用。低スピンが特徴のヘッドから、つかまりのいい『スリクソンZXi』にし、高弾道の球が打てるタイプにチェンジした。「つかまるドライバーが好き。あとはスピンを足そうって。このヘッドはスクエアフェースというので、8度のヘッドを1.5度寝かしました」。ロフトを寝かせて“つかまり顔”(構えたときにフェースが被っている)にして心地よいドローを打ちやすくした。これにより「スピン量が増えたからフェードも打てるようになった」と弾道のコントロールもしやすくなり、汎用性の高い“強い味方”が誕生した。
さらに新パターも大きな支えに。それがスコッティキャメロンの『Phantom 11 OC』(Onset Centerの略)。最近プロゴルフ界で話題になっている“ゼロトルク”のパターだ。「振るだけでキレイにストロークができるんです」。初めて打ったのは先週の下部ツアー「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」の練習日だった。ここで「そのときに3球打ってめちゃくちゃ良くてお願いしました」と一目ぼれ。今週の月曜日に受け取り、即投入し挑んだ。
山脇以外にも、「これにしてからパット数が一気によくなった」と話す中西直人、宮里優作、小鯛竜也、金岡奎吾、今大会ホストプロの塩見好輝、平本世中と7人が今週使用している。「オートマチックに動いてくれて、なにもしなくてもいい。テークバックでアウトに上げてしまいがちだったけど、このパターは上がらずに真っすぐ引ける。ショートパットが楽になるのかなと思ったら、ロングパッドがすごく安定します」と話すお気に入りの一本だ。
優勝も見える位置で決勝ラウンドに進んだ。「緊張するけど、東建で経験しているから、その経験が自信になってくれるかな」と笑顔を見せ、練習に向かった。練習グリーンでは健一さんとともにパターを打ったり、たわいもない話をしながら、ストロークの確認を行なうなど、とても仲の良い親子の姿が見られた。健一さんは「クラブを替えてから流れがよくなっています。思いっきり、自信を持って打っているから、見ていて安心です」と息子のプレーに目を細める。
初出場となった昨年大会は101位で予選落ち。2度目の挑戦は、優勝を狙える位置で3日目を迎える。二人三脚の親と兄の助言。家族一丸となり、日本でプロ初優勝をつかみとりたい。(文・高木彩音)
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