若きテニス選手はなぜ──? カンヌ映画祭で受賞「ジュリーは沈黙したままで」
将来を嘱望された15歳のテニス選手ジュリー。信頼するコーチの資格停止を受けて、彼女は沈黙する──。第97回アカデミー賞で国際長編映画賞ベルギー代表作に選ばれ、第77回カンヌ国際映画祭で批評家週間SACD賞に輝いた「ジュリーは沈黙したままで」が、10月3日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国で公開される。場面写真が到着した。
ベルギーのテニスクラブに所属する有望選手のジュリー。ある日、信頼するコーチのジェレミーが資格停止となって姿を消し、彼の教え子だったアリーヌの自殺をめぐって不穏な噂が立つ。そして、クラブの全選手を対象に、ジェレミーについてのヒアリングが行われることに。ジュリーは日々のルーティーンを崩さずトレーニングに打ち込み、ジェレミーをめぐっては沈黙を貫く──。
新鋭レオナルド・ヴァン・デイル監督の初長編であり、巨匠ダルデンヌ兄弟が共同プロデューサーに名を連ねる本作。テニス選手の大坂なおみもエグゼクティブ・プロデューサーとして参加しており、かつて彼女がメンタルヘルスの重要性を訴えたことについて監督は「彼女が声を上げてくれたことで、世界中の少女たちに“NOと言う選択肢”が開かれた。本当に価値あることです」と述べている。主人公のジュリーを演じるのは、実際にテニス選手であるテッサ・ヴァン・デン・ブルック。
レオナルド・ヴァン・デイル監督の声明文
『ジュリーは沈黙したままで』との個人的な繋がりについて語りたくなるが、皆さんにジュリーの声を聞いてほしい。
ジュリーが沈黙する姿を見て、なぜ沈黙するのか耳を傾けてほしい。
沈黙することがジュリーの掟であり、私はジュリーの掟を破らないと誓った。
だから私は、ジュリーの沈黙の中に光をもたらすという唯一の目的のために、ジュリーの歩調、ジュリーの時間の中で物語を進めようと努めてきた。
ジュリーは自ら沈黙を選んだわけではなく、沈黙することで注目の的になろうとしているわけでもない。
優しい沈黙もあれば強烈な沈黙もある。時に暴力的で、特に力を与えてくれる。
ジュリーの沈黙に飛び込むことは驚くべき旅だった。
ジュリーは思いがけない形で私を導き、自分自身やこの世界について理解を深める手助けをしてくれた。
私たちは皆、何らかの形でジュリーであり、それぞれが沈黙を抱えているのだと気づかせてくれた。
新たな章を開くということは、ジュリーを放つことを意味する。はっきり言って簡単なことではない。
ジュリーは強いけれどまだ若く、脆くもある。もし何かあったら?
それでも…
ジュリーの沈黙は皆さんに知られることになった。
ジュリーの沈黙は今、あなたのものとなった。
「ジュリーは沈黙したままで」
監督:レオナルド・ヴァン・デイル
出演:テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロン
2024/ベルギー・スウェーデン合作/オランダ語・フランス語・ドイツ語/100分/カラー/5.1ch/1.85:1
原題:Julie zwijgt 日本語字幕:橋本裕充
配給:オデッサ・エンタテインメント
©2024, DE WERELDVREDE
記事提供元:キネマ旬報WEB
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