意外と知らない、スマホやテレビの「再生品(リファービッシュ品)」と「中古」の違い
近年、新型フラッグシップスマートフォンの価格が20万円を超えるなど、スマホに代表される家電の高価格化が目立ちます。一方、こうした現象の背景の中で注目を集めているのが「再生品(リファービッシュ品)」という新たな選択肢です。
とはいえ再生品(リファービッシュ品)について、単なる中古と何が違うのかなど、その特徴をあまり詳しく把握していない方もいるのでは。そこで今回は再生品と中古は、厳密には何が違うのか解説します。

「再生品(リファービッシュ品)」とは?対象となる製品は何?
「リファービッシュ(refurbish)」という英語は「磨き直す」「一新する」「改修する」という意味を持ちます。電子機器の分野では、初期不良などが原因でメーカーに返品された商品を、メーカーの修理や調整により新品に準じた状態で再販することを指します。
分かりやすく言えば、メンテナンスをしたうえでの「再販品」がリファービッシュ品に相当します。

リファービッシュ品の対象となる製品は多岐にわたります。主なものとしては以下が挙げられます。
・初期不良で返品された製品
・消費者の都合による返品(開封済みだが未使用)
・展示品として使用された製品
・サブスクリプションサービス終了後に回収された製品
・企業のリース終了後に回収された製品
これらの製品は、単に清拭や簡易チェックを行うだけでなく、厳格な検査プロセスを経て、必要に応じて部品交換や修理が実施されます。たとえば、Appleの認定整備済製品では、バッテリーと外装が新品に交換され、厳格な品質テストが実施されます。

基本的なリファービッシュのプロセス

リファービッシュ品が市場に出回るまでには、いくつかのプロセスが存在します。まず、返品や使用済みの製品を回収し、前所有者のデータを完全に消去します。その後、分解して外観や内部の状態を細かくチェックします。必要に応じて部品の交換や修理を行い、バッテリーや消耗品も新品同様に交換されることが一般的です。
その後、クリーニングと動作テストや安全性の確認を経て再パッケージ化を行い、新品に近い状態で出荷されます。メーカーによっては、6カ月から1年の保証が付与される場合も多く、安心して利用できるのが特徴です。
再生品(リファービッシュ品)が世界的に需要が拡大している理由は?
近年、再生品の需要は世界的に拡大しています。その背景には、価格上昇への対応、サブスクリプションやリースの普及、新興国市場の拡大など、さまざまな要因が挙げられます。主な要因(例)を見ていきましょう。
価格上昇への対応
リファービッシュ品は新品価格よりも15%~20%ほど安価な価格設定がされているケースが多いです。この値引き率は特に「スマホの購入」にとって大きなもの。新品スマートフォンの価格が継続的に上昇する中、消費者はより手頃な価格の代替品を求めているためです。フラッグシップモデルの価格が20万円を超える現状では、リファービッシュ品の価格優位性が際立っていると言えるでしょう。
スマホや家電のサブスクリプションやリースの拡大
最近では法人向けスマホやPCのリースに加えて、デバイス・アズ・ア・サービス(DaaS)やサブスクリプション型のIT機器や家電製品の提供サービスが拡大しています。これらのサービスでレンタルやリース、サブスクリプションで提供された製品は「再生品」の典型的な対象になります。
つまり「まずはリースなどで製品を活用した後、メンテナンスを施して再生品として市場に供給する」というサイクルが構築されつつあります。
新興国市場の拡大
新興国では電化製品は「月の給与と同等か、それ以上の高価な買い物」になる場合が多く、価格感度の高い消費者が多いです。そのためリファービッシュ品への需要が高く、先にも述べたリースやサブスクリプションで使用した品を再生品として市場に再度流通させるサイクルがより法人・個人問わず受け入れられやすいと言えるでしょう。
再生品と中古品の位置づけの違い
再生品と中古品は、どちらも新品ではないという点では共通していますが、品質管理や保証、価格などに大きな違いがあります。
品質基準や返品について
リファービッシュ品は新品と同等の信頼性を持つ一方で、中古品は使用履歴や保管状況により信頼性にばらつきがあります。つまりリファービッシュ品は工場出荷時の性能を維持しているが、中古品は経年劣化により性能が低下している場合があるということです。
そのためリファービッシュ品では品質保証と返品要件が新品同様であるのが一般的です。Apple認定整備済製品であれば14日間、 Samsung認証中古フォンであれば7日間の返品期限があります。
メーカー保証の有無
保証面ではリファービッシュ品がメーカー保証(1~2年)を提供するのに対し、中古品は保証なしまたは短期間の販売店保証のみとなることが多いです。

たとえばApple認定整備済製品では、新品と同じ1年間の限定保証が提供されます。さらに、AppleCare+への加入も可能で、新品購入時と同等のサポートを受けることができます。
よって保証の手厚さと新品同様の品質を両立しているのがリファービッシュ品だと言えるでしょう。価格面では中古の方が価格面で優れている場合も多いですが、保証の面ではリファービッシュ品はより魅力的な選択肢となります。
価格
一般的に、価格は新品がもっとも高く、次にリファービッシュ品、中古品の順番となります。
リファービッシュ品は新品より15~30%程度安価に設定されることが多いため、価格面での魅力は大きいです。とはいえ価格「のみ」を重視するならば、中古品の方が魅力的な場合も多いため、リファービッシュ品を買うかどうかはやはり「保証を重視するか」によるでしょう。
リファービッシュ品の保証例
再生品の保証内容はメーカーや販売元によって異なりますが、代表的な例を紹介します。
Apple認定整備済製品の例

Appleは、リファービッシュ品市場の先駆者として「認定整備済製品」という名称で高品質な再生品を提供しています。同社の取り組みは業界標準となっており、他のメーカーの手本となっています。
同社の認定整備済製品の特徴は以下の通りです。
・完全な機能テスト:すべてのコンポーネントの動作確認
・不良モジュールの交換:問題のある部品の新品への交換
・徹底したクリーニング:外装の完全清掃
・新品のバッテリーと外装:バッテリーと外装の新品交換
・新品と同じ1年間の限定保証:購入後のサポート保証
・新品と同じ返品ポリシー:14日間の返品可能期間
Samsung認証中古フォンの例
サムスン電子が提供する「ギャラクシー認証中古フォン」は、徹底した品質検査を経て最上位級と判定された製品のみが販売されます。新製品と同じ2年間のアフターサービス保証が付き、購入後7日以内の返品も可能です。価格も新品より大幅に安く設定されています
パナソニックの例

パナソニックの「Panasonic Factory Refresh」では、1年間の保証が付与されており、家電製品の機能維持に必要な部品も一定期間保有されています。サブスクリプションモデルも導入しており、消費者の多様なニーズに対応しています。
再生品の購入の際の注意点
再生品を購入する際は、まず販売元の信頼性を確認しましょう。メーカー公式や認定リセラーから購入することで、品質や保証面での安心感が得られます。また、外観の傷や使用感についても事前に確認し、保証内容や返品・返金対応の有無をしっかりチェックすることが大切です。オンライン購入の場合は、レビューや評価も参考にして、過去のトラブル事例がないかを調べておくとより安心です。
※サムネイル画像(Image:AS photo family / Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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