「感謝の気持ちを優勝で伝えたい」 尾関彩美悠、佐久間朱莉、蛭田みな美が目指す父の日V
<宮里藍 サントリーレディス 事前情報◇11日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6558ヤード・パー72>
6月の第3日曜日となる、大会最終日の15日は父の日。2019年大会以来、6年ぶりにめぐってくる一日に特別な感情を持つ選手は多い。開幕から前週まで12試合すべてに出場し、最高は4月「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の16位で、前週までの5試合連続など7度の予選落ちに、途中棄権が1度と低空飛行が続く尾関彩美悠も、その一人だ。
「お父さんはどんなときも味方になってくれる人。優勝をプレゼントできたら、最高の恩返しになると思う。頑張りたいです」
プロ1年目の22年にツアー初優勝。昨季は優勝こそなかったが、メルセデス・ランキング(MR)は自己最高の16位に躍進し、3季連続でシードを守った。だが、今季はMR87位と低迷。ショットの不調に始まり、「それが良くなったと思ったら、今度はパットがダメになった」と悩む日々が続く。パーオンしたホールの平均パット数は1.88で89位。パターは最も得意とするクラブだけに、コーチでもある父・美成さんの心配も尽きない。
父の日には毎年プレゼントを欠かさない。2年前にはこれまで一緒に撮った写真などを編集し、音楽をつけた動画を作成してプレゼントした。「すごく喜んでくれました」という孝行娘だが、一番の贈り物が何かは分かっている。父の日の翌日の16日は、自身の22歳の誕生日。娘が欲しいものであり、父が喜ぶものは、V字回復となるツアー2勝目しかない。
今季2勝目を挙げた「ブリヂストンレディス」から2試合連続で予選落ちしている佐久間朱莉も、思いは同じだ。ツアーに帯同する父・浩太郎さんはブリヂストンの初日が54歳の誕生日だった。4月の初優勝からわずか4試合後、バースデーウィークの2勝目には「父にいいプレゼントができたと思います」と笑顔で話していたが、この2試合は不本意な結果に終わっている。
「特に悪いところはなかったけど、かみ合わずにズルズルといってしまった。正直、疲れもあったけれど、しっかり休めたし、トレーニングもできた。今週はいい感じだと思います」
昨年の父の日だった「ニチレイレディス」最終日は「65」をマークしたが、優勝した岩井明愛に1打及ばずの2位。今年こそは…。「父はいつも試合についてきてくれているので、結果で恩返ししたい」と3勝目を贈るつもりだ。
「父の日のことはしっかり頭にあります」。そう言ってニッコリ笑ったのは、ツアー2勝目を狙う蛭田みな美だ。2016年7月の最終プロテスト合格以降、父・宏さんは常に帯同し、ときにはキャディも務めて娘を支えてきた。西郷真央とのプレーオフを制して、初優勝した23年「CATレディース」も親子タッグでの勝利だった。
「何も言わずにいろいろと手伝ってくれる。自分のことを一番分かってくれる存在。感謝しかありません」
前週の「ヨネックスレディス」は休養に充て、福島県内の実家でリフレッシュ。今季は11試合に出て、予選落ちはなくトップ10入りは3度ある。準備は万端、好調はキープ。「母の日のプレゼントはするけど、父の日は一度もないんです」と申し訳なさそうに頭をかいたが、これまでの思いも込めた大きな贈り物を渡せるチャンスがやって来た。
勝てば、「AIG女子オープン」(全英)の出場権も獲得できる4日間。最高の父の日を迎える選手は果たして…。(文・臼杵孝志)
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