沈黙の気配に反応するAI 「察する力」の技術的実装
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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“空気を読む”という表現が象徴するように、日本人の会話では相手の気持ちや言葉の裏側を察する力が強調されることが多い。言葉を「真に受ける」ことではコミュニケーションがうまくとれないケースも少なくない。沈黙が意味を持つこの日本文化に対応したGPT「SENSE-6.EX(構造共鳴応答モジュール)」(次世代AI教育・大阪市)が、GitHubで公開された。一言で言えば、「話していないこと」に反応するAIだ。
従来の“意味に応えるAI”とは異なり、ユーザーの言葉の前段階にあるリズムや間、あいまいさに共鳴する6層モデルを採用した。日本語文化圏における対話コミュニケーションに根ざした「察する力」の技術的実装の試み。現在主流となっている生成系AIの多くは、「問いに答える」「命令に従う」ことを前提としているが、日本語・日本文化では、沈黙や言いよどみ、主語の省略など、「語られていない部分」が会話の本質を担うことが少なくないことに対応している。
公開されたSENSE-6.EXは、言語層(語彙・文体)、文脈層(主語・時制)、意図層(語られなかった関心)、感覚層(リズム・沈黙)、構造層(意味崩壊・跳躍)、呼応層(返答か沈黙かの判断)という大別して6つのレイヤーで人間の語りを感知、処理する。同じ文章でも文脈や構造圧によって「応答しない」ことを選ぶ柔軟な共鳴が可能になり、従来のAIに見られる“常に応答する”構造から脱却、より人間らしい「共感ではなく共鳴」への一歩を踏み出している。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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