まだ動いてる。20年前に組んだ自作PCが“祖母のゲーム機”として現役だった話
──時間を越えて動き続ける、たった一台のPC
X(旧Twitter)で静かに話題を呼んでいるのが、yuta suito(@yutasuito)さんによる一つのポストである。高校生時代に祖父から頼まれて組んだ自作PCが、20年後の現在も稼働していた。しかもその用途は、祖母による「パチンコ専用マシン」──いや、正確にはWindows XP時代のピンボールゲーム専用機であったというのだ。

高校生のとき、祖父に頼まれて初めて自作PCを組んだ。
で、先日そのPCがまだ稼働していてびっくりしたんだけど、今は祖母がパチンコの専用マシンとして使っているらしい。
一見してユーモラスなこの投稿の裏には、20年間動き続けたハードウェアと、それを支える“家庭内テクノロジー”の記憶が眠っている。リプライ欄では投稿主自身が補足としてこう語っている。
預かった札束握りしめて豊橋のグッドウィルに行ったものだった。
「初めての自作」が残す実感と記憶
高校生が自作PCを組むという行為には、知識と情熱と少しの無謀さが詰まっている。豊橋のグッドウィルに札束を握りしめて向かったという一文には、地方のショップでパーツを吟味しながら構成を考え、慎重に予算内でベストを尽くす当時の熱がそのまま込められている。
BIOSが立ち上がった瞬間の感動、OSインストールの緊張、うまく動いたときの達成感──それは人生に一度きりの「最初の成功体験」でもある。
現役で動き続ける、20年後の“専用機”
そして20年後。そのPCは、驚くことにまだ電源が入り、使われていた。ただし用途は完全に変化している。「祖母がパチンコの専用マシンとして使っている」という言葉からは、当初の想定を大きく超えた使われ方が伺える。
さらに追記された「中に入っているのはWindows XPのピンボールです」という説明によって、その“パチンコ”の正体は、懐かしの「Space Cadet ピンボール」であることが明らかになった。
見た目は確かにパチンコっぽい。玉が弾かれ、左右のフリッパーで打ち返す。誰でも一度は夢中になった、Windowsに標準搭載されていたゲームだ。これを、祖母が“専用”で遊んでいるのだとしたら、それはそれでまったく立派な使用法である。
テクノロジーは、誰かの「今」を支える存在に

PCの寿命は長くて10年が目安と言われるが、用途が限定されていれば20年近く生き延びることもある。ネットに接続せず、軽いプログラムだけを動かす──そんなシンプルな使い方なら、むしろ古いマシンのほうが安定している場合もある。
ここで重要なのはスペックではなく、「使われ続けている」という事実だ。技術的価値よりも、生活の中に組み込まれ、役割を持ち続けていることこそが、モノの寿命を決定づける。
過去の努力が、現在の生活と静かにつながっていた
高校生だった投稿主が、自分の手で組んだPC。それが祖父から祖母へ、そして20年を経てピンボール専用機として生きていた──この一連の出来事は、特別な演出も装飾もない。ただそこに、時間と家族とテクノロジーが静かに交差する。
日々進化するガジェットの世界にあって、「まだ動いてる」「まだ使ってる」というだけの事実が、これほど豊かなエピソードを生むということ。SNSが捉えた一瞬の投稿が、まるで短編映画のような読後感を与えてくれる。
祖父に頼まれて高校生の頃組んだ自作PCが、祖母のパチンコ専用マシンとして20年後も稼働していてびっくり🖥️ pic.twitter.com/0rfv9G9od4
— yuta suito (@yutasuito) May 11, 2025
※サムネイル画像(Image:「yuta suito(@yutasuito)」さん提供)
記事提供元:スマホライフPLUS
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