ゴルフの長時間運転でもリラックスできるシートに太鼓判! プジョーならではの味わい深い走りにも注目
プジョー、フィアット、ジープなど、多くの有名ブランドをもつ自動車メーカーのステランティス。そんな中にあると、ブランドの個性が失われる気がするが、それは杞憂で、プジョーはフランス車らしい味わいを楽しむことができる。そんな3008の実力を、無類のクルマ好きとして知られる松任谷正隆氏がハイブリッドモデルに試乗してチェック!
松任谷(以下、松):なんだよ、その格好。
編集部(以下、編):なんだよって……ダメですか。
松:一緒にいて恥ずかしい。
編:えっ、だって普通ですよ。ゴルフファションなんだから。
松:だったらゴルフ場で着替えればいいじゃないか。
編:面倒くさいんだもん。だいいち、松任谷さん、すぐに練習場に行きたがるから僕がもたもたしない方がいいでしょ?
松:パッと着替えればいいじゃないか。俺、そのロゴだらけのチャラい格好嫌いなんだよ。だいいち色だってけばけばしていて、さらにパンツまでロゴだらけって何だよ。色だって全然合ってねえし……。
編:松任谷さんの方が古いんですよ。ジャケットなんて夏は着なくていいんですよ。
松:そうなんだけど、けじめというかさ、紳士のスポーツなんだから。
編:だから?
松:とにかく、ロゴだらけ嫌い。
編:全く頑固なんだから。で、今日はこれですよね。最新プジョー。
松:だな。
編:なんか、いちだんとシャープになりましたよね。でも……。
松:でも、何?
編:僕は後ろ姿が嫌い。
松:ほう、そうなんだ。美意識はしっかりとあるんだな。
編:あ、今バカにしました? 美意識が松任谷さんより新しいと言ってほしいな。
松:じゃあ、後ろ姿がどうして嫌いなんだか言ってごらん。
編:もったりしている。全然フロントデザインと合ってない。
松:君のシャツとパンツみたいだ、と……。
編:しつこいなあ。でも、そう思いません? この後ろ姿、トラックみたいじゃないですか。
松:俺は割合しっくりときてるんだよ。80年代に所有していたプジョー309GTiの後ろ姿を思い出すんだよなあ。
編:それって一世を風靡した205の兄弟車みたいなやつですよね?
松:そうそう。同じエンジンなんだけど少しボディが大きいの。205はピニンファリーナデザインだったけど、あれは違ったんだよね。携帯で調べてみ。
編:へえ、ふんふん、これですか。えっ? これ、今、中古で200万もしますよ。
松:どれどれ……あっ、本当だ。ちくしょう。持っていればよかったな。
編:確かに後ろ姿は似てますね。
松:まあ、それをプジョーが意識したかどうかは知らないけど。
編:この時代はひとつのプラットフォームを作って、違う車種で使い回す、なんて考え方はなかったんですよね?
松:たぶん、な。フォルクスワーゲンが最初だった記憶があるぞ。
編:プジョーがステランティスグループに入って初めてのプラットフォームがこのSTLAミディアム。
松:STLAはステランティスの略だな。 ということは、グループで使い回すわけだね。
編:でしょうね。このあいだ、アルファロメオジュニアに乗ったら、いろいろなところにプジョーと同じパーツを使ってました。
松:そういうのってどうなんだろうな。こういう仕事をしていると盛り下がるけど、そのクルマだけしか知らないんだったら関係ないことだよな。
編:確かにそうですよね。会社としては合理的に行きたいですもんね。
松:それにしてもアルファロメオ、フィアット、プジョー、おまけにジープまで兄弟になるなんてねえ。個性的なクルマたちが個性的ではなくなるんだから。
編:ま、でも、味付けはそれぞれがやるんで違う味みたいですよ。
松:そんなのは当たり前だけど、なんだかおじいさんとしては寂しいよ。
編:気を取り直して乗ってみましょう。
松:現208オーナーとしては、このコックピットは我が家みたいなもんだぜ。
編:ふうん。iコックピットですよね。このウルトラ小さいハンドルの上から計器板を見るという……。
松:プジョーはこのデザイン全体のことを言っているみたいだぜ。なんだか囲まれ感があるだろ。
編:たしかにドライバーをぐるっと囲んでいる感じですよね。でもこの計器板というか、モニター画面は新しくないですか?
松:少し今のBMWみたいだよな。
編:ああ、そう言われてみればそうかも。でも、ディスプレイの機能とかを考えると、こういう方向で落ち着くんじゃないでしょうか。それにほら、これは少しダッシュボードから浮いているんですよ。これ夜とかにインテリアライトが入り込むと本当に浮いて見えるらしいですよ。
松:なるほどな。1960年代のアメリカ車にちょっとだけ近いものはあったよな。あれはビュイックだったかなあ……。
編:イルミネーションライトなんてなかったでしょ?
松:そりゃあもちろんだけど、なんか発想がさ。未来的というか、独創的というか。
編:この操作ボタンも自分の好きなように割り当てられるみたいですよ。
松:まあフランス車はそういうディテールにこだわることがあるよな。
編:そろそろ行きましょう。練習の時間がなくなっちゃうから。
松:そうだな。ではよっこらせっと。
編:松任谷さん、そういう声だすのやめてください。おじいさんみたいですよ。
松:だってそうなんだから仕方ないだろ。
編:ではシュッパーツ。
松:シートは僕の208とあまり変わらないよ。
編:いい意味ですか? 悪い意味ですか?
松:いい意味だな。今のプジョーのシートは僕にはほぼ満点だから。
編:まあ、シートは大事ですよね。長い時間乗らなきゃいけない時なんか、本当にそう感じますよ。で、どこがいいんですか?
松:全部、と言いたいところだけど、細かく言っていくと、まずホールド性がよく、なおかつリラックス感もあるというこの相反することを両立させているよね。
編:ほう。
松:さらにクッションのパンッと張った感じ。アルカンターラ風の生地感もいい。ただの硬いシートとは一線を画すだろ?
編:そうですね。言われてみれば、しっかり固定はされているのにどこか浮いているような感じもあります。
松:逆だよ。浮いて感じるのに固定されている感じ。
編:……ま、いいや。で、この新しいプラットフォーム、どうですか?
松:実を言うと、旧3008で使われていたEMP2というプラットフォームとの違いがまだわからん。あれは本当によくできていたからね。新しくする必要がどうしてあったんだろう……。
編:やっぱり同じプラットフォームで電気自動車とかに対応できるとかできないとか、そういう問題じゃないでしょうか。
松:そういうことなんだろうね。でも、シャシーは素晴らしいよ。まるで忍者の足のようだと思わない?
編:そうですね。安心感がありますよね。助手席で居心地のいいクルマってたいてい運転するとフラフラしたりして飛ばす気にならないじゃないですか。これって両立しそうですよね。
松:そうなんだよ。まさにそれ。ハンドル握って楽しくて、助手席に乗って安楽。この値段でこんなクルマはめったにない。
編:エンジンは松任谷さんの208と同じですよね?
松:基本は一緒だけど、こっちはハイブリッドだから少し違うな。
編:えっ? 少しですか。
松:残念ながら、パワーは期待するほどのことはないぞ。音も3気筒のハイブリッドなしと同じ音がするし、なによりこのミッションの感じね。このねっとりとした変速感。これはもうプジョーのどのクルマも同じ味がするね。
編:だめですか?
松:いや、そういう意味じゃない。プジョーというブランドが個性的なんだよ。
編:まあ、大事ですよね。個性。これからの時代はとくにそうですよ。
松:さてと、着いたぞ。俺は先に降りて練習場に行ってるから、君はこのクルマを停めてからおいで。
編:ええっ! 一緒に行きましょうよ。
松:そのロゴだらけの服と一緒にフロントに行きたくない。
編:がーん……。
PEUGEOT 3008 GT HYBRID Alcantara Package
◆全長_全幅_全高:4565×1895×1665mm ◆車両重量:1620kg ◆エンジン形式:直3DOHCターボ+モーター ◆総排気量:1199cc ◆エンジン最高出力:100kW(136ps)/5500rpm ◆エンジン最大トルク:230N・m(23.5kg-m)/1750rpm ◆モーター最高出力:16kW(22ps)/4264rpm ◆モーター最大トルク:51N・m(5.2kg-m)/750-2499rpm ◆ミッション:6速AT ◆WLTCモード燃費:19.4km/ℓ ◆定員:5人 ◆価格:558万円
文・写真/松任谷正隆
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