「自分はまだ上を見る人間ではない」初の優勝争いへ 23歳・仲村果乃が乗り越えようとしている“重圧”
<パナソニックオープンレディース 2日目◇3日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6751ヤード・パー72>
プロ3年目の仲村果乃が、初めて首位に立った。菅沼菜々と並ぶトータル7アンダーで、こちらも初めてとなる最終日最終組入り。シードも持たない伏兵が、プロ初優勝がかかるラウンドを迎える。
最終9番パー5。2.5メートルのバーディパットを沈めて、リーダーボード最上位に名前を載せた。「風が強くて難しかったけど、ショットも安定していましたし、パターが何より入ってくれたのでスコアにつながりました」。27パットで乗り切ったグリーン上のプレーを称える。
「うれしいです。ずっと予選落ち続きやったので、すごくうれしい」。今季前半戦はQTランク30位でレギュラーツアーに出場しているが、「アクサレディス」から4試合連続で決勝進出を逃してきた。だが、オープンウィークだった先週、友人と楽しく回ったプライベートラウンドが、今週につながっている。
「いかに自分が試合で冷静にプレーできていなかったかという事に気づきました。それを今回は意識しながらやっていました」。予選落ちが続いたことによる焦りが、迷いにつながるドツボにはまっていたことを自覚。その時は肩の力を抜いたラウンドで「66」も出し、友人からの「悪かったとは思えない」という言葉に励まされた。ゴルフはメンタルのスポーツともいうが、「決めないと、入れないと、という気持ちがすごく強かったけど、それはいらないのかも」という気づきが、復調へのひとつの要因になっている。
もちろん、このスコアには技術的な裏付けもある。練習場が同じだったことが縁で、高校1年生からツアー通算29勝の吉川なよ子の指導を受けている。その師匠から先週、『トップの時、頭の軸が左に動いている』というアドバイスをもらった。頭の軸が左に動くことにより、ダウンスイング時には今度は体が右に傾き、結果、ボールが散らばっていたという。それを瞬時に見抜かれた。フォロースルーの時に、しっかりと体の左側に体重を乗せて回転できるように、スイングをすぐさま修正。その効果はテキメンだった。
“苦悩”につながったのは、自分に負荷をかけすぎていたからだと今は振り返る。「シードを取りたいという気持ちが、思い上がりにつながってました。まだまだ自分はそこまで上を見る人間ではない。シード権、トップ10というところを見てしまい、悪い方向に行ってしまった」。もちろん目標を置くことは大事だが、それが過剰に自分を追い込むことにもつながる。まさにその状態だったが仲間、そして師匠の言葉が、23歳の心を整えた。
プロになって初めて1位で終えたラウンドについては、「なんか新鮮ですね」とポツリ。優勝争いをけん引する立場だが、「結果より、思ったようなプレーや、どれくらい打ちたいところに打てるかを意識したい」と、気負わず“普段通り”を心がける。ただ「緊張はあります」というのも本音。大ギャラリーが見守る中でのプレーになるが、「歓声も楽しみながらやりたいです」と、不要なプレッシャーを自分に与えることはしない。
自分の性格については「マイペースでのんびり。ガツガツというより、ほんわかと生きたい」と分析する。初めての優勝争いも、のんびりと。それくらいの気持ちで臨む時、仲村らしい戦いにつながるのかもしれない。(文・間宮輝憲)
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