後継者不在で老舗の味に幕…「𠮷野家」が仕掛ける“異例のマッチングサービス”:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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5月2日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「絶品メシ!この味を絶やすな〜このままでは廃業です〜」。
【動画】後継者不在で老舗の味に幕…「𠮷野家」が仕掛ける“異例のマッチングサービス”
国民の5人に1人が後期高齢者となる2025年。深刻な問題となっているのが、後継ぎ不在による「廃業」だ。経営者が70歳以上の中小企業245万社のうち半数が、後継ぎが決まっていないと言われている。
それは飲食店も例外ではない。長年地元で愛され、今も行列ができる人気店でさえ、店主の高齢化で次々と閉店を余儀なくされている。また、たとえ後継ぎが見つかったとしても、その味を守り続けていくことは簡単なことではない。事業を引き継いだものの経営がうまくいかず、閉店してしまうケースもある。
そんな中、現状を打破すべく大手外食チェーン「𠮷野家ホールディングス(HD)」が新サービスを開始。“絶メシ”を未来に残すための戦いの日々を追った。
事業承継後も問題は山積み…あの飲食店は今?

群馬・高崎市にある人気店「カレーハウス 印度屋」。ガイアの夜明けが1年前に取材したこの店の人気メニューは「焼きチーズカレー」。

1983年に創業した「印度屋」は初代店主・荒木隆平さんと妻・千波さんが夫婦二人三脚で人気店に育て上げた。しかしその後、大病を患ったのをきっかけに荒木さんが後継者探しに乗り出し、そこに現れたのが周東祐一郎さんだった。
「みんなに親しまれた味をきっちり残していきたい」と意気込み、日々修業を重ねて荒木さんが認めるほどの腕前に。2023年に28歳の若さで2代目店主として店を引き継いだ。

しかし、周東さんが店を継いだ約1年後、先代の荒木さんが他界。妻・千波さんは涙ながらに「私たちが40年やったので、周東さんにも40年頑張ってもらいたい」と話す。
周東さんが店を続けてくれる…それが夫に先立たれた妻の唯一の救いになっていた。
先代の荒木さんから託された、門外不出のスパイスの配合が記された手書きのレシピを頼りに、カレーを作り続ける周東さん。

あれから1年…取材スタッフが訪ねると、「印度屋」の厨房の火は消えていた。
「カレーハウス 印度屋」は今年2月24日に閉店。

厨房には大切なスパイスも放置されたまま。さらに先代から譲り受けた手書きのレシピも失くしてしまったという。店を受け継いでから1年10カ月後のことだった。
「『甘かった』と言われれば、その通り」と語る周東さん。一体何があったのか?
そして、レシピも常連も屋号も、全てを譲って旅立った荒木さん。
残された妻・千波さんの心の内とは?
深刻な後継者不足の打開策に!? 𠮷野家が仕掛けるマッチングサービス
東京・世田谷区にある1967年創業の「レストラン えいらく」。
人気バンドMrs. GREEN APPLEも通ったという名店だ。

特製デミグラスソースのハンバーグや芸術的なオムライス…そして一番人気は「チキンファンタジー」。卵でくるんだ鶏もも肉にデミグラスソースがかかり、意外なハーモニーが楽しめる。
時代を超えて愛され続ける絶品メシ「チキンファンタジー」を作るのは、佐藤光男さん(82)。20代の頃、修業した店で親方からレシピを受け継ぎ、今、この「チキンファンタジー」を作れるのは佐藤さんだけだ。

妻・美代子さん(83)と二人三脚で58年間、店を営んできたが、最近美代子さんは、膝の痛みに悩まされている。
1人娘の恵子さんが手伝いに来るが、後を継ぐ予定はない。
この店もまた、後継者がいないのだ。
佐藤さんは、「体には限界がある。いずれ辞める時が来る。心の準備はしている」と話す。
そんな、佐藤さんに一筋の光が差し込んだ。牛丼でおなじみの「𠮷野家ホールディングス(HD)」が、ある提案を持ち掛けたのだ。

𠮷野家ホールディングス「シェアレストラン」の藤田 新さん(51)に話を聞くと、後継者を探している人と老舗の飲食店を引き継ぎたい人をマッチングしているとのこと。
それが、2024年10月にスタートした仲介サービス「アトツギレストラン」だ。サイトに登録して、全国から広く後継ぎ希望者を募集。店側の登録は無料で、面接を経て、候補者を絞っていく。

「老舗の飲食店を絶やさない。お客さんは無くなったらすごく悲しむと思うので、救世主になりたいと言うとおこがましいかもしれないが、ある意味、恩返し」(藤田さん)。
𠮷野家HDは、牛丼の「𠮷野家」だけで全国に1200店舗以上を数える大企業。他にも「はなまるうどん」やラーメンにも手を広げている。
業態の拡大を急ピッチで進めている𠮷野家HDにとって、外食文化の底上げは至上命題。

シェアレストラン代表取締役の武重 準さんが社内ベンチャーとして始めた「アトツギレストラン」。その肝は、お試し期間にある。

店側は定休日などを使い、後継ぎ希望者に一定期間、営業を任せる。店には家賃が支払われ、𠮷野家側は20パーセントの仲介料を受け取る。お試し期間を終えて両者が合意すれば、営業権が売却されるという仕組みだ。
𠮷野家HDはこのサービスを、新たなチェーン展開やコラボメニューなどにつなげたい考えだ。

この日「アトツギレストラン」のサイトに新たな店の登録があった。東京・新宿区にある「呑みや ふるさと」だ。
1999年に創業し、こだわりは全国の酒蔵から取り寄せたえりすぐりの日本酒と、素朴ながら丁寧な仕事が光る一品料理。一番人気「大人のポテトサラダ」は創業時からのメニューで、黒コショウとカラシがたっぷり利き、思わず酒が進む。

オーナーの越智 亨さん(71)はかつて広告会社を経営していたが、8年前、当時のオーナーに誘われて「ふるさと」の3代目店主に。コロナ、物価高、人手不足と厳しい環境を切り抜けてきたが、自身の年齢もあり、店を手放そうと考えていた。
「75歳くらいまでが1つの節目。お客もついているし、潰すわけにもいかない。4代目がいればなんとかしたい」。
2月25日、「ふるさと」の後継ぎ希望者が現れ、𠮷野家HDの藤田さんが店を訪れた。
応募者2人を越智さんに引き合わせて面談を行うという。
お眼鏡にかなった候補者は現れるのか。そしてオーナー越智さんの判断は――。
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記事提供元:テレ東プラス
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