歴史的快挙で「日本人が変わっていく」 松山英樹のマスターズ戦歴【後編】
海外メジャーの「マスターズ」が現地時間10日にいよいよ開幕する。今年で14回目の出場となる松山英樹。日本のエースはゴルフの祭典でどのような成績を残してきたのか。その戦歴を振り返る。今回はアジア勢史上初の優勝を果たした2021年大会など、直近5年間の成績を振り返る。
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■2020年:コロナ禍での異例開催 決勝ラウンドで失速
例年4月開催のマスターズだが、コロナ禍の影響でこの年は11月に延期。無観客という静寂の中での異例の大会となった。
松山は初日、2日目ともに「68」で回り、トータル8アンダー・6位タイで決勝ラウンドへ進出。しかしムービングデーは「72」とスコアを伸ばせず、「思うように自分をコントロールできなかった。悔しい一日でした」と振り返った。
最終日も「72」と伸ばせず、トータル8アンダー・13位タイ。優勝したダスティン・ジョンソン(米国)には12打差をつけられた。結果には悔しさをにじませながらも、「いい一週間だったと思う。来年は必ず勝てるように頑張りたい」と前を向いた。
■2021年:アジア勢初の快挙 松山英樹が歴史を塗り替える
ついにその時が訪れた。トータル10アンダーで後続に1打差をつけ、松山英樹が日本人として、アジア人として初めてマスターズの頂点に立った。
「これまで日本人では(優勝)できないという考えがあったかもしれないけど、僕がメジャーチャンピオンになって、それを覆すことができた。僕が勝ったことで日本人が変わっていく」と語り、勝者としての使命感もにじませた。
「今テレビを見ている子供たちが5年後、10年後にこの舞台に立って、その子たちとトップで争うことができたらすごく幸せ。そのためにまだまだ僕も勝っていかないといけない」。日本中が歓喜に包まれた、歴史的な一日だった。
■2022年:史上4人目の連覇ならず 首痛を抱えながらの戦い
マスターズ前週の「バレロ・テキサスオープン」を首痛で途中棄権し、連覇への道は厳しいスタートとなった。
初日はイーブンパーで耐えのゴルフ。「しのぎながらの戦いになる」と語っていたが、2日目に「69」で一気に2位浮上。再び注目が集まった。
しかし、ムービングデーに「77」と崩れ、最終日は「72」。トータル2オーバーの14位タイで連覇はならなかった。それでも、「この状態でここまで来られたのは良かった。まずはケガなく(マスターズに)戻ってきたい」と前を向いた。
■2023年:満身創痍でも上位争い 意地の4日間
首痛を抱えながらも初日は「71」、2日目は「70」と好位置で予選を通過。アプローチの冴えで3日目にも2つスコアを伸ばしたが、最終日は「75」と失速し、トータル1オーバー・16位タイに終わった。
「体の状態を考えれば、よくそこ(上位)の位置にいられたな」と語ったように、ショットもパットも本調子ではなかったが、持ち前の技術とマネジメント力で粘り切った。
■2024年:不振のショットに泣く 自己ワーストのパーオン率
2月の「ジェネシス招待」で優勝。以降も安定した成績でオーガスタ入り。だが、ショットの精度に苦しんだ。
初日「76」、2日目「74」。どうにか予選ラウンドを通過したものの、本調子とはほど遠かった。3日目は「71」で浮上したが、最終日はフェアウェイキープ率35.7%とショットの精度に悩まされた。
初日「76」、2日目「74」で予選通過。3日目に「71」で持ち直したものの、最終日はフェアウェイキープ率35.7%と苦戦。パーオン率は4日間平均54.1%と、自己ワーストを記録した。
トータル7オーバー・38位タイで4日間を終え、「それなりの順位だったというだけ。優勝できなかった。それ以外には何もない」と厳しい言葉で締めくくった。
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そして迎えた2025年。今季開幕戦でツアー記録となるトータル35アンダーを叩き出して優勝を飾った。その後は下降線を辿り、直近2試合で予選落ちを喫している。松山自身は「そんなに悪いゴルフはしていない」と前を向く。あとは、内容を結果につなげるだけ。聖地・オーガスタで日本のエースの底力を見せるときだ。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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