4月10日は「駅弁の日」 伊東の老舗駅弁祇園が創業80周年に向けプロジェクト始動


1993年に日本鉄道構内営業中央会が制定した「駅弁の日」。なぜ4月10日なのか、由来を知らない人にとっては、これはかなり難しい謎解きだ。春の行楽シーズン、というのは分かりやすいが、日にちは4と十を組み合わせた形が「弁」、10の音が「当(とう)」に通じるからだそうだ。
明治時代に始まったといわれる「駅弁」は、食糧不足だった戦争中の「軍弁」の時代を経て、今や旅先の駅ではもちろん、百貨店の催しなども多く、数えきれないほどのお弁当を楽しめるようになっている。それでもシンプルな“定番”の味わいは、変わらず魅力的だ。
静岡県伊東市にある祇園は、来年で創業80年。第2次世界大戦が終わった翌年の1946年、戦後の混乱期に、当時入手困難だった砂糖で味つけし、白米を詰めた「いなり寿し」でスタートした。当初はいなり寿し専門店だったが、鉄道利用者の増加とともに駅弁製造を開始。伊豆観光の玄関口としてにぎわう伊東駅で、旅の始まりにふさわしい彩りと味わいを届けてきた。
80周年を迎えるにあたり、同社は2025年からの1年間を準備期間と位置づけ、記念イベントや限定商品の企画、地域との連携プロジェクトなどを順次進めていく。まずは、5月17日(土)・18日(日)にグランシップ(静岡市)で開かれる「グランシップトレインフェスタ2025」に出店し、名物駅弁を販売する。
創業以来の看板商品「いなり寿し」は、甘く味付けされた油揚げにすし飯を詰めたシンプルながら奥深い味わいが特徴。「幕の内弁当」は、大きな鶏の唐揚げや天ぷら、卵焼きなど、多彩なおかずを詰め合わせた一品だ。「おにぎり弁当」は、しゃけ、わかめ、梅干しのおにぎりに鶏の唐揚げや卵焼きを添え、世代を超えて愛されるお弁当になっている。
どれもお弁当の“定番”といえる中身。戦後の食糧難の時代を想像しながら食べれば、またいつもと違う深い味わいを楽しめそうだ。

記事提供元:オーヴォ(OvO)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。