配達員じゃなくても面白い『ウーバーイーツ公式YouTubeチャンネル』を100倍楽しく見る方法【チャリンコ爆走配達日誌】
『ウーバーイーツ公式YouTubeチャンネル』にアップれされている、ある動画のワンシーンを再現してみました
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第95回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツ配達員に月に一度、運営から送られてくるメールマガジン「配達パートナー通信」。
内容は「日没前後の交通事故に注意しましょう」「ピック・パック・ペイの配達中に問い合わせたいことがあった場合は、店のスタッフではなく運営のサポートに聞きましょう」といった配達に関するアドバイスが中心。
時には「ピック・パック・ペイの配達の際、店内の注文の商品以外を持っていくのは犯罪行為です」「受け取った荷物を届けずに持ち帰るのは犯罪行為です」といった配達員に対する注意喚起も行なわれます(ピック・パック・ペイについての詳しいシステムは、以前の記事「ウーバーイーツの買い物代行サービス『PPP』はパシリ感がハンパない!」をご参照ください)。
そんな配達パートナー通信の最後に記載されているのが「高評価を得るためのヒント」という、店や注文者から実際に高評価を得ている配達員に聞き、そのポイントをまとめた動画へのリンク。動画の発信元は『ウーバーイーツ公式YouTubeチャンネル』。この公式チャンネルは2025年4月10日現在、登録者35.7万人で930本以上の動画がアップされています。
この動画やチャンネルのページを見ると、いろいろ気になるものがありまして......。そこで今回は、ウーバーイーツ公式YouTubeチャンネルについてあれこれ紹介していきます。
公式チャンネルにアップされているのは世界各地で流れているCM、配達員に向けた映像、利用者へ向けたアプリの設定方法などのアドバイス映像など。日本語のほか、英語、スペイン語、中国語の動画を見ることができます。CMに関しては、現在出演しているタレントさんが出ているものからイメージ広告のようなタレントさんが出演していないバージョンのものまで、いろいろ見ることができます。
このCMの映像で気になるのは、24年11月にアップされ、25年4月現在1019万回以上再生されている「今日も、誰かが、丁寧に」という動画。女性歌手の方がカバーしたKANさんの『愛は勝つ』にのせ、配達員が店から配達先へ料理を運ぶというもので、CMの終盤に「今日も、誰かが、丁寧に」という文字が出ます。
いわゆる企業イメージを上げるためのCM映像だと思うのですが、動画の9秒あたりのところ、配達員が自転車で坂道を登るところで前傾姿勢となり、リュックが横を向いてしまっています。これではリュックの中の料理が片寄ってしまい、すしなどを運んでいた場合、Xなどでよく画像が投稿される「例のすし」のような感じになってしまいます。
汁物であれば100%中身がこぼれますし、配達員目線であの動画を見ると「そんなひどい運び方をした後に『今日も、誰かが、丁寧に』と出されても」と感じるのではないでしょうか。また「ウーバーのCMが、あの運び方で『丁寧』認定をしているのだから、すしが片寄るのは仕方ない」などと考える配達員も出てくるのではないでしょうか。
続いて気になったのが、冒頭で触れた「高評価を得るためのヒント」の動画。22年2月にアップされたこちらは現在5.2万回再生されています。パワーポイントのような画像とナレーションを用いた、配達員に対するアドバイスなのですが、こちらは動画につけられたコメントがすごい。
《何でも配達員に責任転嫁すればよいという腐りきったシステム》
《システムやお店側の悪い部分があって、配達する側に非が無いのに悪い評価つけられている案件多数》
《何が悪くて低評価なのか開示されないゴミシステム》
《サッカーワールドカップで日本が負けた時に配達で不快な思いを沢山しました。そしてbadが続いてこちらに誘導されました》
配達パートナー通信のリンクのほか、BAD評価が続くと運営側から警告のメールが来て、こちらの映像を見るように指示されるようですが、見ても「そんなことは当然やってるわ!」という配達員がほとんどで、この動画の存在意義はほぼないようです。
最後に気になったのはウーバーイーツの商品を宇宙に届けるというプロジェクト。21年12月、前澤友作さんが宇宙へ行った際、前澤さんがウーバーイーツの特別パートナーとなり、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士にボーナスフードを届けました。その模様は公式チャンネルに3本アップされています。
その内容は「次はどこへ配達するのかご期待ください、という内容の予告編のCM」「前澤さんが宇宙飛行士にウーバーイーツの袋を渡す動画」「プロジェクトの概要や国際宇宙ステーションの動画をまとめたCM」の3本。
おそらく、かなりの金額を投じたプロジェクトだったと思うのですが、動画の再生数は25年4月10日現在、予告編CM・約3500回、袋を渡す動画・約3000回、まとめCM動画・約6800回と残念な感じに。
前澤さんに一切落ち度はありませんし、新しいことをやるのもいいと思うのですが、ここ数年の配達員の収入の減り具合を考えると「このプロジェクトが原因では」と変な勘ぐりをしてしまいます。
ほかにも、さまざまなツッコミどころがあるウーバーイーツ公式YouTubeチャンネル。注文される方に役立つ情報もあるようなので、検索サイトで「ウーバーイーツ」「YouTubeチャンネル」などとワードを入れて、ページをのぞいてみてください。
文/渡辺雅史
記事提供元:週プレNEWS
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