「卵子凍結」いくらかかる?40代でもできる?メリット・デメリットを医師が徹底解説!
更新日:
イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
注目の旬ニュースを編集部員が発信!「イチオシ」は株式会社オールアバウトが株式会社NTTドコモと共同で開設したレコメンドサイト。毎日トレンド情報をお届けしています。
テレ東フェムテック委員会」を好評配信中!
仕事、妊活、出産・育児に親の介護、生理から更年期まで…女性の人生はモヤモヤだらけ!?
森三中・黒沢かずこ、平子祐希(アルコ&ピース)、福田麻貴(3時のヒロイン)、peco、稲葉可奈子(産婦人科医)が、女の人生を取り巻くモヤモヤについて考える。
「テレ東プラス」では、「希望者増!卵子凍結のメリット&デメリットとは?」の内容を紹介する。
【動画】「卵子凍結」いくらかかる?40代でもできる?メリット・デメリットを医師が徹底解説!&「職場によってこんなに違う!生理のモヤモヤ」

20〜30代の女性の間で希望者が増えている「卵子凍結」。
卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて卵子を取り出し、凍結保存すること。子どもを授かりたいタイミングで体外受精をして、体に戻すという仕組みだ。
元々は病気が原因ですぐに妊娠できない女性のために行われていたものだが、昨今は仕事などを理由に、若いうちに卵子を凍結したい人が増加しているという。
卵子凍結は保険適用外。高額なため、東京都では2023年度から卵子の凍結・保管費用について最大30万円の助成を開始。大阪府でも2025年度からの助成が検討されるなど、全国で広がりを見せている。
それでは、卵子凍結のデメリットにはどんなものがあるのか? 卵子凍結に関心が高いテレビ東京・大森柚希ディレクター(32)が、「医療法人社団 torch clinic」(東京・恵比寿)市山卓彦理事長に話を聞いた。
【卵子凍結のギモン その①】卵子凍結は即日可能?
答えは「NO」。卵子凍結には準備が必要で、まずは現在の自分の卵子の在庫の数を知る必要があるそう。「卵子は精子と違って作られ続けることはなく、日本人が閉経する約50歳まで減り続ける」と市山医師。

実は、卵子の数はお母さんのお腹の中にいる時がピークで、その後は減る一方。生まれた時は200万個ほどあるが、1回の生理の度に約1000個の卵子が減っていき、30代では2〜3万個、閉経前は1000個くらいになっているという。

自分の卵子の在庫の数は、「AMH検査」で知ることができる。卵巣内にある卵子は、一つ一つ「卵胞」という袋に包まれているが、この卵胞のうち、発育中のものから分泌されるのが「AMH」というホルモン。「AMH検査」では、血液中のAMHの値を調べることで発育中の卵胞の数を推測。現在の卵子の在庫の目安になる。

32歳女性の場合、AMH中央値は3.54(出典:JISART 多施設共同研究での国内検討データ)。
AMHの値には個人差があり、いたずらに高ければいいわけではないが、極端に少ない場合は、早発卵巣不全など病気の可能性も。
【卵子凍結のギモン その②】将来子どもを望むなら、卵子を何個凍結しておけばいい?

36歳女性の場合、子どもを1人授かる可能性を90%以上にするには、約30個の卵子凍結が必要だ(R.H.Goldman et al.: Predicting the likelihood of live birth for elective oocyte cryopreservation: a counseling tool for physicians and patientsより)。
【卵子凍結のギモン その③】とにかく若いうちに凍結した方がいい?

答えは「どちらとも言えない」。例えば25歳で卵子の数が十分ある人が卵子を凍結し、5年後にパートナーができた場合、妊娠する力に大きな変化がない可能性があり、結果的に凍結した卵子を使わないケースも少なくないそう(市山医師)。
一方、32歳でAMH値が低く、将来的に妊娠する力の低下が予想される人が「キャリアを後5年は積みたい」と考えている場合、卵子凍結がポジティブな選択肢となることもある。
【卵子凍結のギモン その④】採卵までのスケジュールは?

こちらが卵子凍結までのスケジュールの一例。月経開始2〜4日頃から、ホルモン剤や自己注射で卵子を育てる行程がスタート。何度か診察を受けて卵子の成長具合を確認しながら、約2週間で採卵の日が決まる流れとなっている。
【卵子凍結のギモン その⑤】どうやって卵子を採るの?

採卵には、太さ約0.9ミリ、長さ約35センチの「採卵針」を使用。超音波を当て、卵胞の位置を確認しながらこの針を刺し、卵胞内の液体ごと卵子を吸引する。
そして今回特別に、使用しない卵子を使って、凍結までの工程を見せてもらった。

こちらが、大きさわずか0.1ミリほどの卵子。凍結するのは、将来受精卵になる可能性の高い成熟した卵子で、「第一極体」という小さな丸が見えるのが成熟卵子のサイン。採取した中には未成熟のものもあるため、培養士が一つ一つ確認し、成熟卵子のみを凍結する。
【卵子凍結のギモン その⑥】どうやって凍結するの?

卵子の水分が残ったままだと凍結した時に細胞が壊れてしまうため、代わりに「凍結保護剤」を浸透させる。
卵子の細胞内の水分と凍結保護剤を入れ替えたら、専用のデバイスに卵子を乗せ、-196℃の液体窒素に一気に投入。これで卵子の凍結作業が完了する。
【卵子凍結のギモン その⑦】費用はどのくらいかかるの?

卵子凍結は保険適用外。病院によって異なるが、採卵までに約30万〜60万円かかる。さらに、凍結した卵子の個数に応じて毎年保管費用も必要となり、まだまだ高額なのが現状だ。
また、卵子凍結は選択肢の一つとしてはいいものだが、市山医師は「魔法の治療ではありません。ホルモン剤の注射や卵巣を刺す採卵術が必要なので、女性はある一定のリスクを負うことになります」と話す。

可能性のある代表的な合併症が、「卵巣過剰刺激症候群」。排卵誘発剤により卵巣がふくれて、お腹のハリや痛み、腎不全や血栓症など、さまざまな合併症を引き起こすことも。
排卵誘発剤などによる副作用の他、凍結・顕微受精による卵子の変性など、さまざまなリスクがあることを理解しておく必要がある。
【卵子凍結のギモン その⑧】凍結した卵子がなくなることは?

産婦人科専門医の稲葉医師は、「なくなりはしませんが、自然妊娠と同じで、凍結した卵子1つで必ず妊娠できるわけではありません」と解説する。
卵子1個あたりの出生率は4.5%〜12%と言われており(出典:Practice Committees of ASRM, Mature oocyte cryopreservation guideline. Fertil Steril, 2013)、例え若い時の卵子であっても、「これだけ凍結しおけば将来必ず妊娠できる」とは言えないそう。
【卵子凍結のギモン その⑨】40代での卵子凍結は?

40代に入ってからの場合、「いろいろな事情があるかもしれませんが、『なるべく早く妊活を始めた方がいい』とおすすめしています」と稲葉医師。
「日本生殖医学会のガイドライン」では、医学的適応のない未受精卵子の凍結・保存についての推奨年齢を、「36歳未満が望ましい」としている。(出典:一般社団法人日本生殖医学界 平成30年「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針」)
また、卵子凍結さえしておけば安心というわけではなく、「凍結した方やこれから考えている方には、『パートナー探しも忘れないでね』とお伝えしています」と稲葉医師。
卵子凍結のメリットとデメリットを理解し、自分のライフプランに合っているかをよく考えた上で、医療機関に相談することが大切だ。
番組ではこの他、「職場によってこんなに違う!生理のモヤモヤ」「職場に伝える?伝えない?妊活×仕事事情」「仕事、介護、更年期、老後40代~50代のリアルなモヤモヤ」も紹介する。
テレ東公式YouTubeチャンネルでは、「仕事、妊活、出産・育児に親の介護、生理から更年期まで…女性の人生はモヤモヤだらけ!?
森三中・黒沢かずこ、平子祐希(アルコ&ピース)、福田麻貴(3時のヒロイン)、peco、稲葉可奈子(産婦人科医)が、女の人生を取り巻くモヤモヤについて考える。
「テレ東プラス」では、「希望者増!卵子凍結のメリット&デメリットとは?」の内容を紹介する。
【動画】「卵子凍結」いくらかかる?40代でもできる?メリット・デメリットを医師が徹底解説!&「職場によってこんなに違う!生理のモヤモヤ」
そもそも「卵子凍結」とは?

20〜30代の女性の間で希望者が増えている「卵子凍結」。
卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて卵子を取り出し、凍結保存すること。子どもを授かりたいタイミングで体外受精をして、体に戻すという仕組みだ。
元々は病気が原因ですぐに妊娠できない女性のために行われていたものだが、昨今は仕事などを理由に、若いうちに卵子を凍結したい人が増加しているという。
卵子凍結は保険適用外。高額なため、東京都では2023年度から卵子の凍結・保管費用について最大30万円の助成を開始。大阪府でも2025年度からの助成が検討されるなど、全国で広がりを見せている。
それでは、卵子凍結のデメリットにはどんなものがあるのか? 卵子凍結に関心が高いテレビ東京・大森柚希ディレクター(32)が、「医療法人社団 torch clinic」(東京・恵比寿)市山卓彦理事長に話を聞いた。
【卵子凍結のギモン その①】卵子凍結は即日可能?
答えは「NO」。卵子凍結には準備が必要で、まずは現在の自分の卵子の在庫の数を知る必要があるそう。「卵子は精子と違って作られ続けることはなく、日本人が閉経する約50歳まで減り続ける」と市山医師。

実は、卵子の数はお母さんのお腹の中にいる時がピークで、その後は減る一方。生まれた時は200万個ほどあるが、1回の生理の度に約1000個の卵子が減っていき、30代では2〜3万個、閉経前は1000個くらいになっているという。

自分の卵子の在庫の数は、「AMH検査」で知ることができる。卵巣内にある卵子は、一つ一つ「卵胞」という袋に包まれているが、この卵胞のうち、発育中のものから分泌されるのが「AMH」というホルモン。「AMH検査」では、血液中のAMHの値を調べることで発育中の卵胞の数を推測。現在の卵子の在庫の目安になる。

32歳女性の場合、AMH中央値は3.54(出典:JISART 多施設共同研究での国内検討データ)。
AMHの値には個人差があり、いたずらに高ければいいわけではないが、極端に少ない場合は、早発卵巣不全など病気の可能性も。
【卵子凍結のギモン その②】将来子どもを望むなら、卵子を何個凍結しておけばいい?

36歳女性の場合、子どもを1人授かる可能性を90%以上にするには、約30個の卵子凍結が必要だ(R.H.Goldman et al.: Predicting the likelihood of live birth for elective oocyte cryopreservation: a counseling tool for physicians and patientsより)。
【卵子凍結のギモン その③】とにかく若いうちに凍結した方がいい?

答えは「どちらとも言えない」。例えば25歳で卵子の数が十分ある人が卵子を凍結し、5年後にパートナーができた場合、妊娠する力に大きな変化がない可能性があり、結果的に凍結した卵子を使わないケースも少なくないそう(市山医師)。
一方、32歳でAMH値が低く、将来的に妊娠する力の低下が予想される人が「キャリアを後5年は積みたい」と考えている場合、卵子凍結がポジティブな選択肢となることもある。
【卵子凍結のギモン その④】採卵までのスケジュールは?

こちらが卵子凍結までのスケジュールの一例。月経開始2〜4日頃から、ホルモン剤や自己注射で卵子を育てる行程がスタート。何度か診察を受けて卵子の成長具合を確認しながら、約2週間で採卵の日が決まる流れとなっている。
【卵子凍結のギモン その⑤】どうやって卵子を採るの?

採卵には、太さ約0.9ミリ、長さ約35センチの「採卵針」を使用。超音波を当て、卵胞の位置を確認しながらこの針を刺し、卵胞内の液体ごと卵子を吸引する。
そして今回特別に、使用しない卵子を使って、凍結までの工程を見せてもらった。

こちらが、大きさわずか0.1ミリほどの卵子。凍結するのは、将来受精卵になる可能性の高い成熟した卵子で、「第一極体」という小さな丸が見えるのが成熟卵子のサイン。採取した中には未成熟のものもあるため、培養士が一つ一つ確認し、成熟卵子のみを凍結する。
【卵子凍結のギモン その⑥】どうやって凍結するの?

卵子の水分が残ったままだと凍結した時に細胞が壊れてしまうため、代わりに「凍結保護剤」を浸透させる。
卵子の細胞内の水分と凍結保護剤を入れ替えたら、専用のデバイスに卵子を乗せ、-196℃の液体窒素に一気に投入。これで卵子の凍結作業が完了する。
【卵子凍結のギモン その⑦】費用はどのくらいかかるの?

卵子凍結は保険適用外。病院によって異なるが、採卵までに約30万〜60万円かかる。さらに、凍結した卵子の個数に応じて毎年保管費用も必要となり、まだまだ高額なのが現状だ。
また、卵子凍結は選択肢の一つとしてはいいものだが、市山医師は「魔法の治療ではありません。ホルモン剤の注射や卵巣を刺す採卵術が必要なので、女性はある一定のリスクを負うことになります」と話す。

可能性のある代表的な合併症が、「卵巣過剰刺激症候群」。排卵誘発剤により卵巣がふくれて、お腹のハリや痛み、腎不全や血栓症など、さまざまな合併症を引き起こすことも。
排卵誘発剤などによる副作用の他、凍結・顕微受精による卵子の変性など、さまざまなリスクがあることを理解しておく必要がある。
【卵子凍結のギモン その⑧】凍結した卵子がなくなることは?

産婦人科専門医の稲葉医師は、「なくなりはしませんが、自然妊娠と同じで、凍結した卵子1つで必ず妊娠できるわけではありません」と解説する。
卵子1個あたりの出生率は4.5%〜12%と言われており(出典:Practice Committees of ASRM, Mature oocyte cryopreservation guideline. Fertil Steril, 2013)、例え若い時の卵子であっても、「これだけ凍結しおけば将来必ず妊娠できる」とは言えないそう。
【卵子凍結のギモン その⑨】40代での卵子凍結は?

40代に入ってからの場合、「いろいろな事情があるかもしれませんが、『なるべく早く妊活を始めた方がいい』とおすすめしています」と稲葉医師。
「日本生殖医学会のガイドライン」では、医学的適応のない未受精卵子の凍結・保存についての推奨年齢を、「36歳未満が望ましい」としている。(出典:一般社団法人日本生殖医学界 平成30年「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針」)
また、卵子凍結さえしておけば安心というわけではなく、「凍結した方やこれから考えている方には、『パートナー探しも忘れないでね』とお伝えしています」と稲葉医師。
卵子凍結のメリットとデメリットを理解し、自分のライフプランに合っているかをよく考えた上で、医療機関に相談することが大切だ。
番組ではこの他、「職場によってこんなに違う!生理のモヤモヤ」「職場に伝える?伝えない?妊活×仕事事情」「仕事、介護、更年期、老後40代~50代のリアルなモヤモヤ」も紹介する。
記事提供元:テレ東プラス
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。