東野圭吾 原作『クスノキの番人』初のアニメーション映画化 公開決定
数多くの名作を世に送り出し、全著作の累計発行部数が1億冊超を記録している東野圭吾。
2020年に発行され、先日発行部数が累計100万部を突破した、『その木に祈れば願いが叶う』と伝えられる、ミステリアスな〈クスノキ〉とその〈番人〉となった青年の物語『クスノキの番人』(実業之日本社文庫刊)が、東野圭吾の原作作品で初のアニメーション映画として2026年劇場公開決定した。
監督として映像化の舵を取るのは、『ソードアート・オンライン』シリーズや、「僕だけがいない街」(16年)、オリジナル劇場アニメーションとし話題となった「HELLO WORLD」(19年)などで幅広い層から支持を集める伊藤智彦監督。アニメーション制作は、洗練された技術力とクリエイティブな作品づくりが日本国内外で高い評価を得ているA-1 Picturesが卓越した映像美で物語を描き出す。
〈コメント〉
■東野圭吾
小説を書く手法は作家によってそれぞれだと思いますが、私の場合、まずは頭の中で映像を思い描き、それを文章化していきます。だから作品の舞台となる土地には必ず参考にした場所があり、登場人物たちにもモデルがいることが多いです。『クスノキの番人』も、そのようにして書き上げた作品ですが、いつも以上に空想力を必要としました。超自然的な現象が頻繁に出てくるからで、実写化するのは難しいだろう、と執筆しながら考えていました。アニメーションになれば素晴らしいのでは、との思いが出てきたのはそういう流れからです。このたび、その夢が実現することになり、心よりありがたく感じております。私の空想力をはるかに超えた映像作品となっているに違いなく、今から楽しみにしています。
■伊藤智彦監督
人はあっけなくいなくなるし、現状が永遠に続くことなんてあり得ない。ここ数年で自分が強く考えていることです。個としての人間はとても脆弱で、遺伝子を残すという方法でそれを乗り越えようとしているのが動物的な対策なのだと思います。自分も40歳を過ぎ、残される側から残す側の気持ちを分かるようになってきました。それは単なる遺伝情報ということではなく、技術や精神性などといったことに関してもです。この映画を通して『今の自分を形作っているものに感謝を告げる』。これが今回の自分の目標です。それは両親に、ということだけでなく普段関わっている人や昔お世話になった人、一瞬だけ現れてはいなくなった人もまるっと全てに。そしてこの気持ちを次の世代にバトンを送りたい、そう考えています。
Story
理不尽な解雇により職を失った青年・直井玲斗は、追い詰められた末の過ちで逮捕される。運に身を委ね、将来を思い描くことも、人生の選択を自ら決める意志もなかった。そんな彼に運命を変える出会いが訪れる。依頼人の指示に従うなら、釈放する──現れそう告げる弁護士の条件を呑んだ玲斗の前に現れたのは柳澤千舟。大企業・柳澤グループの発展に大きく貢献してきた人物であり、亡き母の腹違いの姉だという。「あなたに、命じたいことがあります」それは、月郷神社に佇む<クスノキの番人>になることだった。戸惑いながらも番人となった玲斗は、さまざまな事情で境内を訪れる人々と出会う。クスノキに定期的に足を運び続ける男・佐治寿明。その娘で父の行動を不審に思う女子大生・佐治優美。家業の継承に葛藤する青年・大場壮貴、彼らや千舟と関わるうちに、玲斗の世界は、少しずつ色を帯びていく。
──だが、玲斗はまだ知らなかった。クスノキが持つ<本当の力>を。
やがてその謎は、玲斗の人生をも巻き込みながら、彼を思いもよらぬ真実へと導いていく。
「クスノキの番人」
原作:東野圭吾『クスノキの番人』(実業之日本社文庫刊)
監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会
記事提供元:キネマ旬報WEB
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