東野圭吾原作 初アニメーション映画化 ミステリアスな木の番人となった青年 「クスノキの番人」公開決定

著作の累計発行部数が1億冊を超える東野圭吾原作のアニメーション映画「クスノキの番人」が、2026年に劇場公開されることが明らかになった。東野圭吾原作では初のアニメーション映画となる。
「クスノキの番人」は、”その木に祈れば願いが叶う”と伝えられる、ミステリアスな”クスノキ”とその”番人”となった青年の物語。理不尽な解雇により職を失った青年・直井玲斗は、追い詰められた末の過ちで逮捕される。運に身を委ね、将来を思い描くことも、人生の選択を自ら決める意志もなかった。そんな彼に運命を変える出会いが訪れる。
「依頼人の指示に従うなら釈放する」と告げる弁護士の条件をのんだ玲斗の前に現れたのは柳澤千舟という人物だった。千舟は、大企業・柳澤グループの発展に大きく貢献してきた人物で、亡き母の腹違いの姉だという。千舟の指示とは、月郷神社にたたずむ”クスノキの番人”になることだった。戸惑いながらも番人となった玲斗は、さまざまな事情で境内を訪れる人々と出会う。クスノキに定期的に足を運び続ける男・佐治寿明、その娘で父の行動を不審に思う女子大生・佐治優美、家業の継承に葛藤する青年・大場壮貴。彼らや千舟と関わるうちに、玲斗の世界は少しずつ色を帯びていく。
映像化の舵(かじ)を取るのは、「ソードアート・オンライン」シリーズや、「僕だけがいない街」、オリジナル劇場アニメーション「HELLO WORLD」などで幅広い層から支持を集める伊藤智彦監督。アニメーション制作は、テレビシリーズ「俺だけレベルアップな件」「マッシュル-MASHLE-」「リコリス・リコイル」、映画「かがみの孤城」などのA-1 Pictures。卓越した映像美で物語を描き出す。
原作者の東野圭吾、伊藤智彦監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■東野圭吾
小説を書く手法は作家によってそれぞれだと思いますが、私の場合、まずは頭の中で映像を思い描き、それを文章化していきます。だから作品の舞台となる土地には必ず参考にした場所があり、登場人物たちにもモデルがいることが多いです。『クスノキの番人』も、そのようにして書き上げた作品ですが、いつも以上に空想力を必要としました。超自然的な現象が頻繁に出てくるからで、実写化するのは難しいだろう、と執筆しながら考えていました。アニメーションになれば素晴らしいのでは、との思いが出てきたのはそういう流れからです。このたび、その夢が実現することになり、心よりありがたく感じております。私の空想力をはるかに超えた映像作品となっているに違いなく、今から楽しみにしています。
■伊藤智彦監督
人はあっけなくいなくなるし、現状が永遠に続くことなんてあり得ない。ここ数年で自分が強く考えていることです。
個としての人間はとても脆弱で、遺伝子を残すという方法でそれを乗り越えようとしているのが動物的な対策なのだと思います。自分も40歳を過ぎ、残される側から残す側の気持ちを分かるようになってきました。それは単なる遺伝情報ということではなく、技術や精神性などといったことに関してもです。
この映画を通して『今の自分を形作っているものに感謝を告げる』。これが今回の自分の目標です。それは両親に、ということだけでなく普段関わっている人や昔お世話になった人、一瞬だけ現れてはいなくなった人もまるっと全てに。
そしてこの気持ちを次の世代にバトンを送りたい、そう考えています。
【作品情報】
クスノキの番人
2026年劇場公開
配給:アニプレックス
©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会
記事提供元:映画スクエア
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