老舗カメラメーカーとコラボした新モデルが続々と登場中! スマホで際立つ「ライカ」「ハッセルブラッド」の超技術
老舗カメラメーカーの監修するカメラやレンズを搭載!
近年、動画や写真の撮影と編集はAIにお任せ!という風潮のスマホ界隈ですが、その一方で存在感が強めなのが老舗カメラメーカーの監修するカメラやレンズを搭載したスマホ。現在、続々と登場している新モデルのスペックや誕生の経緯を解説します!
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■AI全盛で見直される銀塩カメラの技術4月からApple独自の生成AIである「Apple Intelligence」の日本語版がスタート。Googleはすでにカメラ機能に生成AIをがっつりと導入しており、両社共にスマホのカメラシステムに関してAI推しの状況。
その一方で、ほかのスマホメーカーからは、老舗カメラメーカーの技術を投入したモデルが続々と登場するという新トレンドもあり。
これら〝実質カメラ〟といえる新端末の性能、老舗カメラメーカーがスマホメーカーと協業する理由など、ITジャーナリストの法林岳之さんに解説してもらいます!
――3月13日にシャオミが新モデルとなる「Xiaomi 15」シリーズを発表。これはどのような端末なのでしょうか?
法林 シャオミは2022年からドイツの老舗カメラメーカーのライカと共同開発を行なっており、その最新モデルとなるシリーズです。
フラッグシップとなる「Xiaomi 15 Ultra」は、ディスプレーのある正面から見ると普通のスマホですが、背面上部は2億画素望遠カメラと1インチメインカメラを中心としたカメラユニットで構成。
さらに撮影用グリップの「Xiaomi 15 Ultra Photography Kit」を装着することで、一般的なカメラのような操作感を実現しています。
Xiaomi 15 Ultra シャオミ・ジャパン/17万9800円(メモリー16GB/ストレージ512GBモデル)から
「Xiaomi 15 Ultra Photography Kit Legend Edition」を装着することでシャッター、ズーム、ダイヤルでの露出調整など、ほぼライカカメラとしての操作感を実現。約10㎝までのテレマクロ性能、最大4.3倍の光学ズームなど、どんな被写体でもライカの技術を体験できるモデル
――これ、見た目は完全にカメラじゃないですか!
法林 ただ、スマホ撮影ならではの〝お手軽〟というメリットがなくなり、フラッグシップ端末なので価格も17万9800円からとお高い。
「Xiaomi 15」というコンパクトなフラッグシップモデルも同時に発表され、こちらは12万3000円から。撮影用グリップのオプションはありませんが、F値1.62という明るいレンズが搭載され、暗い場所でもAI処理を行なわずに自然な光量の撮影が可能。
テレマクロで被写体を強調しつつ背景はボカすといった〝ライカの技術〟という部分をお手軽に楽しめるのが魅力のモデルとなっています。
Xiaomi 15 シャオミ・ジャパン/12万3000円(メモリー12GB/ストレージ256GBモデル)から/4月1日(火)発売
重量が約191g、6.36インチディスプレーを搭載するコンパクトモデル。こちらはメインカメラシステムにライカの技術を投入。MVNOでも販売されるので、通信契約とセットでの大幅な割引にも期待!
――人物を撮影して、背景がキレイにボケた写真は映えますけど、AI編集を使うとどうしても不自然になりがち。これがお手軽に撮影できるというのは、カメラ重視のユーザーにとっては推しポイントになるはず。では、具体的にどのような部分で、スマホメーカーにライカの技術が投入されているのでしょうか?
法林 ライカは16年に発売されたファーウェイの「HUAWEI P9」からスマホメーカーとの共同開発をスタートしました。
その後、アメリカの輸出規制強化がありファーウェイがスマホ事業を縮小し、20年からシャープ、22年からはシャオミとも協業することになりました。いずれのメーカーに対してもAIなどの最新機能面ではなく、光学的な部分や画像処理の技術協力を行なっています。
例えば、望遠や広角で撮影する場合、どうしてもレンズの歪曲収差で被写体はゆがんでしまいます。近年は、このゆがみをAI画像処理で補正しますが、ライカには長年培ったレンズ技術があり、AIに頼らないゆがみ補正ができます。
色みにしても暗い場所で撮影した写真はAIで鮮やかに補正することができますが、一方のライカはそれもレンズ技術で補うことが可能なのです。
AQUOS R9 pro シャープ/19万4700円
――AIでバッキバキに色補正された画像よりも、自然な色みのほうが、逆に映えますね。メーカー的にスマホカメラの売りになるかと!
法林 しかし、ライカと協業したスマホメーカーの開発者を取材すると、「とんでもなくチェックが厳しい!」と言い、なかなか開発が進まないそうです。
ただ、スマホメーカー側はメリットも大きく、ライカと組むことでその後の製品はカメラ性能が飛躍的に向上します。それこそ、シャープは〝ライカ協業モデル〟以外の製品のカメラ性能もわかりやすく上がっていますね。
LEITZ PHONE 3 ライカカメラジャパン/14万3280円
こちらはソフトバンクが取り扱うモデルで、同社の端末購入プログラムを利用した場合は実質3万2040円という最安のライカ! 初号機の「LEITZ PHONE 1」はドイツのライカ博物館にも展示されている
――UIに関してもチェックは厳しいのですか?
法林 どの老舗カメラメーカーもUIはスマホメーカーにお任せ。ユーザーが手軽に撮影できるという部分を優先すると、やはりスマホの操作系を崩さないほうがよいという判断です。
一方、自社のカメラの操作系をスマホに取り込み、その複雑さから一般的なユーザーに受け入れられなかったのがソニーの「Xperia」シリーズ。ここはカメラメーカーと協業というより、同社のカメラチームがスマホの開発も行なっており、こうしたUIを作ることになってしまいました。
――ライカ以外の老舗メーカーでは、どんなコラボが?
法林 スウェーデンのカメラメーカー、ハッセルブラッドはOPPOと協業しています。ハッセルブラッドは16年にモトローラと協業し、同社のスマホに装着するカメラモジュールを開発。その後、23年からはOPPOと組んで、ライカと同じく銀塩カメラで培った技術をフィードバックしています。
そして今年は富士フイルムが中国のスマホメーカー、Vivoと協業します。Vivoはすでにドイツのレンズメーカー・カールツァイスと協業しており、トリプルコラボとなります。ただ、残念なことにVivo製品は日本での販売予定はありません。
OPPO Find X8 オウガ・ジャパン/13万9800円
スウェーデンのカメラメーカー、ハッセルブラッドの監修によるカメラシステムを採用。ノイズの少ない最大120倍のデジタルズームや夜間撮影機能など、老舗カメラメーカーの技術がフィードバックされている
中国のスマホメーカー・Vivoは、同社のフラッグシップ・X200シリーズの新モデルに日本の富士フイルムの写真技術を投入する予定だ
――今後は日本の老舗カメラメーカーも、スマホメーカーとのタッグが激増する?
法林 協業する大きな理由のひとつが、カメラメーカーならではの光学技術や画像処理が生かせることです。ノウハウに関しては日本のカメラメーカーもライカやハッセル並みで、さらに彼らにはないカメラの心臓部であるイメージセンサーの開発技術もあります。なので、協業を狙っているスマホメーカーもあるでしょうね。
――協業するカメラメーカー側のメリットは?
法林 スマホメーカーからのライセンス料もありつつ、スマホに搭載された自社技術に触れてもらい、いずれは自社のカメラを買ってもらいたいという思惑もあります。
――ところで、iPhoneとカメラメーカーのコラボはないのですか?
法林 Appleはカメラメーカーとの共同開発は行なっていませんが、今年ライカから専用のカメラグリップが発売されました。撮影用のアプリも配信されて、実はiPhoneでも〝ライカっぽい〟撮影をすることが可能です。
Leica LUXグリップ ライカカメラジャパン/4万8400円
MagSafe対応のiPhoneシリーズで利用できるカメラグリップ。シャッターボタンやダイヤルが装備され、iPhoneをカメラのように操作することが可能。本製品を購入すると『Leica LUX Pro』(年額1万円)アプリが1年間無料となる特典が付帯
――お手軽に雰囲気のある撮影ができる、スマホやアプリは写真趣味の入り口としてもオススメですよ!
Leica LUX iOS対応/アプリ内課金あり
「ノクティルックスM 1:1.2/50」や「ズミルックスM 1:1.4/28」といった同社のレジェンドレンズの特性を再現した撮影を行なうことが可能。フィルターで100年前のライカで撮影したテイストの写真も簡単に撮影できる
取材・文/直井裕太 撮影/法林岳之
記事提供元:週プレNEWS
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