実は変則じゃなく超近代的!? “世界のアオキ”のスイングはタイガーやマキロイと共通点があった!【プロコーチが解説】
2024年度の文化功労者(日本において、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者を指す称号)に選出された青木功。日本人で初めて米国男子ツアーで優勝を飾り、“東洋の魔術師”と称された世界のアオキのスイングを、プロコーチの森守洋氏に解説してもらった。
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青木さんは変則的なスイングだと思われているけど、この時代から一番オーソドックスで近代的なスイングをしています。
重いクラブを軽く扱うようなバックスイングですよね。師匠の林由郎さんの影響もあって、下半身を過度に動かしていない。下半身を土台にして上体だけでスイングする感じだから、そのように見えるんです。
写真なのでトップで止まって見えますが、スイングが止まることはありません。クラブが上がっている最中にダウンスイングに入っているので、切り返しからのスイングアークの半径を異常に小さくできる。ベン・ホーガンやタイガー・ウッズ(ともに米国)、ローリー・マキロイ(北アイルランド)と同じようないい動きをしています。
インパクト時に、胸に対して左腕が体の左サイドにある。体の回転が多い人は、胸が開いているのに腕が右側に残ってしまい、これを“腕遅れ”と呼んでいますが、青木さんは腕遅れと対極にありますね。まったく遅れていません。
ウィークグリップなのでアームローテーションの量は多い。インパクトしたら終わって、あとは余韻でフィニッシュしています。ジャンボさんも同じタイプですが、青木さんの方が余韻に入るのがちょっと早い印象です。裏を返せば、ダウンスイングの時点で獲物を捉え切っているからこその動き。クラブをムチのように使う動作がめちゃくちゃ上手い。ゴルフクラブの使い方であれば最上級であり、現代的であると言えます。
身長が高くてハンドダウンに構えているから変則だと思われがちですが、青木さんが身長が170センチくらいだったら超きれいなスイングだったと思います。息が長くて、ずっと強かったということは体を過度に使わず、手とクラブを上手く使えていた証拠。お手本にしたいスイングですね。
青木さんみたいに、クラブをムチのように扱う感覚をつかむには、クラブのネック側を持ってグリップ側でインパクトバッグを叩くドリルがオススメ。腕を動かすよりも手首のスナップで打つ方が強く叩けることに気付くはずですよ。
■青木功
あおき・いさお/ 1942年生まれ、千葉県出身。国内ツアー通算51勝、米ツアー1勝。“東洋の魔術師”と称された巧みな技を武器に世界のツアーで活躍した名手。2024年度の文化功労者に選出された。
■森守洋
もり・もりひろ/1977年生まれ、静岡県出身。ゴルフを始めたのは高校から。95年に渡米しミニツアーを転戦しながらゴルフを学んだ。02年からレッスン活動を開始し、現在は原江里菜、堀琴音、香妻陣一朗のコーチを務めている。東京都三鷹市にある『東京ゴルフスタジオ』を主宰し、YouTubeチャンネル「森守洋のGolf TV」では、ツアープロや芸能人などへのレッスンを配信中。
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<ゴルフ情報ALBA Net>
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