【ChatGPTと風俗嬢】彼女たちのスリーサイズの「異様な分布」をAIは分析できるのか?
このグラフを見れば一目瞭然。身長がほぼきれいな正規分布になっているのに対し、スリーサイズはいずれも特定の範囲内に不自然なほどに集中している
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「ChatGPTと風俗嬢」について。
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「風俗嬢の分析をするしかあるまい」。
私は月に200ドルのChatGPTのProプランに加入している。かなり高度な推論をやってくれる。ならば全男性の「ある疑問」に私が代表して立ち向かおう。そう決意した。もちろんイヤらしい意味ではなく、学術的な探求心からの決意だ。
さっそくソープ、デリヘルなどで働いている風俗嬢635人の身長、バスト、ウエスト、ヒップの情報を収集した。いわゆる高級店から大衆店まで幅広いデータとなっている。
前提として、私たち人間の肉体的特徴は、一般的に正規分布に近い分布を示すといわれる。多くのデータが平均値の周りに集まり、極端に大きい値や小さい値は少なくなる。特定の値に分布が固まることもない。釣り鐘状のグラフのような分布といえばわかるだろうか。
結果は次の通りだ。
●身長:見事に正規分布になっている。ここでは「データの歪度(わいど)と尖度(せんど)の絶対値が1未満かどうか」を確認したが、難しい話はおいても、グラフを見たら一目瞭然だろう。日本人女性の平均的な身長分布と等しい。
●バスト:80㎝以上、90㎝未満にほとんどの嬢が集積している。最頻値は85㎝だった。なんたる偏った分布だろうか。
●ウエスト:これも異常なデータとなった。調査範囲では最小値は51㎝であり、そこから60㎝未満までがほとんどだ。最頻値は57㎝だ。
●ヒップ:これもかなり偏った分布だ。80㎝以上から90㎝未満に集中している。最頻値はバストと同じく85㎝だった。
最頻値でいえば、バスト・ウエスト・ヒップは、85:57:85であった。身長の分布の割には、体型に関しては嬢たちは"特殊"なようだ(上のグラフを参照)。
冒頭で述べた「ある疑問」とは、偏りの理由だ。嬢たちはウソをついているのではないか。そこで、人類の叡智(えいち)が作り上げたChatGPTだ。「o1 Pro mode」という執筆時点で最上位のモデルに質問をしてみた。
すると、GPTは嬢の味方をするのだ! 「測定方法は一貫しているか」「混合分布である可能性も」などと指摘してくる。し、しかし、そうだとしても特定の値に集中するのはさすがにおかしいのではないか......?
すると今度は「測定や記録の"丸め""誤差"の影響」「短期間でも変動しやすい」とまで述べて嬢を擁護しだした。
うむ......。た、ただし、身長は正規分布しているぞ。それなのにスリーサイズだけ偏るのはおかしいだろう。
そう反論すると、「身長は遺伝や成長メカニズムによる統制が大きく、成人以降は激変しにくい」のに対し「身長は正規分布に近いが、胸囲やウエストは正規分布から外れやすいという現象はごく自然なこと」とまで言ってのけた。
OpenAIのCEOサム・アルトマンは、きっとChatGPTに嬢寄りのチューニングを施したに違いない。
その後もサンプリングバイアスについてなど、ChatGPTと対話を重ねた。不思議なことに、嬢たちがウソをついているはずはないな、と思い始めた。いつしか私は説得されていた。全男性に告ぐ。嬢と会ったとき「あれ? 載ってたスリーサイズと違わね?」と思ってはいけない。断言する。あなたの見間違いだ。嬢とGPTはウソをつかない。
記事提供元:週プレNEWS
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