岩井千怜に新たな必勝パターン? エントリーミスの悔しさ晴らす2度目の同一大会連覇
<ダイキンオーキッドレディス 最終日◇9日◇琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県)◇6610ヤード・パー72>
「強い」という形容が最もふさわしいゴルフで、岩井千怜がツアー通算8勝目を挙げた。後半の9ホールは10番から1ホール置きにバーディを奪い、2位に4打差をつけた。
1打差2位から出た最終日。混戦模様だったV争いも、終わってみれば独壇場だった。これまで一度しかなかった逆転勝ちでつかんだ栄冠。新しい勝ちパターンを構築していきそうな圧勝で、2023~24年の「RKB✕三井松島レディス」に続く、2度目の同一大会連覇を達成した。
「今までの優勝とは違いますね。最終日のバックナインまで競っていたことはなかったと思う。きょうは『新しい経験をしているなぁ』と思いながら回っていた。すごく勉強になりました」
7位から出た最終日に4打差を追いつき、双子の姉・明愛と山下美夢有による三つ巴のプレーオフを制した23年のRKB✕三井松島レディスが、過去唯一の逆転勝ちだった。それ以外はすべて首位で最終日を迎えての逃げ切りV。昨年の開幕戦も3日目に首位に立っていた。今回は追う立場の最終日。1番でのバーディであっさり首位の座を奪ったが、前半は2バーディ・1ボギーでスタート時と同じ1打差2位で折り返し、初優勝を狙ったプロ2年目の菅楓華の背中を追った。
後半は「あれで乗っていけた」という6メートルを沈めた10番で首位に並んだ。そこからバーディラッシュが始まり、14番のバーディで2位に2打差をつけ、ピンそば30センチにつけた16番のバーディで優勝を確信した。
「2打差だとちょっと楽な攻め方もできる。14番は大きなバーディだった。16番は何回打っても、あれほどの結果はないと思えるようなショット。パーフェクトでした」。4日間を通じて2番目に難しかった難関のパー3で飛び出した自画自賛の神ショット。最終18番もバーディで締めくくり、ギャラリーの歓声に笑顔で応えた。
時計の針を少し戻せば、沖縄に向かう大会前の足取りは重かった。本来ならば中国で同週開催だった「ブルーベイLPGA」に出ていたはずだった。だが、マネジメント会社のエントリーミスにより、今季から軸足を移した米国女子ツアーの出場はかなわなかった。
まさかの事態。「やっぱり悔しかった。出られる試合に出られなくて、本当に悔しかった。どういうマインドで行けばいいのかという気持ちになった。今も悔しさはあります」。同じく米ツアーに出場できなかった明愛とは「2人で頑張ろう」と励まし合ったという。
失意の沖縄入りだったが、最高の結果を得ることができた。21日に始まる日本ツアー「Vポイント✕SMBCレディス」(千葉)に出場したあとに、渡米して米ツアーへ復帰する。「優勝しても、ここがゴールじゃない。もっと上に行きたいという気持ちがある。(仮に)大きな偉業を成し遂げても、そこがゴールじゃないと思っています」。どこまでも貪欲、どこまでも高みを目指す向上心。岩井千怜というゴルファーの最大の武器だ。(文・臼杵孝志)
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