「フリーWi-Fi」の利用は本当に通信盗聴のリスクがあって危険? 安全な接続方法を解説
カフェや公共交通機関で提供されることの多い「フリーWi-Fi」。近年はサービス終了が相次いでいますが、それでも無料で使える手軽さから利用している方も少なくありません。
一方で、フリーWi-Fiにはセキュリティ上の問題がつきまといます。たとえば、「フリーWi-Fi接続中にクレジットカード番号などの個人情報を入力すべきではない」というのは広く知られたリスクです。
そのため、「危険性があるなら、そもそもフリーWi-Fiを使うべきではない」と考える方もいるでしょう。
実際のところ、フリーWi-Fiの利用には通信盗聴のリスクがあるのでしょうか? 今回は、フリーWi-Fiの危険性と安全な利用方法について解説します。
サービス終了が続く「フリーWi-Fi」
冒頭でも述べた通り、しばしば危険性が指摘されるフリーWi-Fi。フリーWi-Fiはそもそも近年、サービス終了が相次いでいる状態です。
たとえば東京メトロは2022年6月に車内Wi-Fi「Metro_Free_Wi-Fi」を終了。東武鉄道も同年9月に「TOBU FREE Wi-Fi」、小田急電鉄の小田急ロマンスカーの「odakyu Free Wi-Fi」は2024年4月に提供終了となっています。

そのためフリーWi-Fiは、かつてのように「飲食店などで無料で使えるWi-Fi」「ギガの節約手段」として注目されているというよりは「何らかの理由でスマホの通信ができなくなった際の手段」や「大規模イベントでの通信インフラ」としての活躍が目立つ状態です。
たとえば、「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」は東日本大震災発生時に通信回線の復旧が遅れたことをきっかけに取り組みが始まったフリーWi-Fiで、大規模災害や通信障害時に解放されるフリーWi-Fiです。

また、スマホ電波が繋がりにくくなる国内の大型フェスでもフリーWi-Fiの設置例はあります。たとえばROCK IN JAPAN FESTIVALの運営は2023年に開催されたJAPAN JAMから衛星ブロードバンド「Starlink」を導入しました。2024年のROCK IN JAPAN FESTIVALでも設置され、QRコード決済でのグッズや飲食の決済をサポートしています。
「フリーWi-Fi」の利用は通信盗聴のリスクがある?危険性の例
こうした取り組みがある一方で、「フリーWi-Fi」そのものには通信盗聴のリスクがあることは事実です。危険性の例を具体的に見ていきましょう。

暗号化されていない通信
まずパスワード不要のフリーWi-Fiは暗号化されていない場合があり、通信内容(メール、SNSログイン情報、クレジットカード情報など)が第三者に傍受される可能性があります。そのため暗号化されていないフリーWi-Fiへの接続は避けるべきであり、どうしても接続が必要な場合にはVPNを活用することを強くおすすめします。
偽アクセスポイント
公共の場所に掲示されているQRコードなどを介し、フリーWi-Fiに接続する場合、そのQRコードが「偽物」である可能性にも注意が必要です。
正規のWi-Fiに似た名前の偽ネットワークを悪意のある第三者が設置し、通信の盗聴や個人情報の抜き取りなどを狙っているケースがあるためです。接続すると端末の乗っ取りや遠隔操作を受けるリスクがあります。
「確実に信頼できるアクセスポイント」のみを使うことを心がけましょう。
脆弱なネットワークへの意図しない接続
2025年現在はフリーWi-Fiへの接続に注意を払っているとしても、過去の自分が「脆弱なネットワーク」に接続していなかったとは限りません。
過去に接続したフリーWi-Fiに自動再接続すると、意図せず脆弱なネットワークに接続し、情報漏洩の原因となる可能性があります。スマホが自動的にWi-Fiに接続する設定になっている場合、注意が必要です。
フリーWi-Fiの安全な接続方法
フリーWi-Fiに安全に接続する方法としては、以下が考えられます。
・暗号化されたネットワークを利用し、個人情報を入力しない
・VPNを活用する
暗号化されたネットワークを利用し、個人情報を入力しない
まずは暗号化方式「WPA2」または「WPA3」を使用するWi-Fiを選びます。古い「WEP」方式は脆弱なため避けます。そのうえでフリーWi-Fi接続中は、ネットショッピングや銀行取引、SNSログインなどの個人情報を扱う操作を避けましょう。
こうした適切な判断が難しい場合は、次の項目でご紹介する『VPN』を必ず使いましょう。
VPNを活用する
仮想プライベートネットワーク(VPN)を利用すると、フリーWi-Fiを利用する際にも通信全体を暗号化し、第三者からの盗聴を防止できます。

VPNとは、インターネット上に仮想的な専用線を構築する技術のことです。VPNを使用すると、公共のネットワーク上でもプライベートな通信環境を作り出すことができます。また、データが暗号化されるため、通信内容を第三者から保護できます。
現在、多くの企業がVPNサービスを提供していますが、有料のものや、運営者情報が不透明な海外サービスも少なくありません。利用する際は、信頼性の高いサービスを選ぶことが重要です。
VPNサービスの選択に不安がある場合は、筑波大学が実証実験として提供しているVPNサービスを利用するのも一つの方法です。
筑波大学はVPN Gateという完全無料のVPNサービスを実証実験の一環として提供しています。これは、グローバルな分散型公開VPN中継サーバーに関する研究を目的に運用されており、誰でも気軽に利用できます。そのため、フリーWi-Fiの利用に不安がある際に試してみるのも良いでしょう。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
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