“大統領命令”は通じない? R&Aがターンベリーでの全英開催に「NO」
スコットランド北西部に位置するターンベリー・アイルサコースは、スコットランド屈指のリンクスコース。以前は「全英オープン」のローテーションコースのひとつだったが、2016年以降、全英の舞台から姿を消している。
同コースでは、1977年にジャック・ニクラスとトム・ワトソン(ともに米国)による名勝負“ザ・デュアル・イン・ザ・サン”(白昼の決闘)が繰り広げられた。以降もグレッグ・ノーマン(オーストラリア)やニック・プライス(ジンバブエ)などの偉大なチャンピオンを輩出。2014年にドナルド・トランプ米大統領が購入し、名称も“トランプ・ターンベリー”に改められた。
ターンベリーが全英の開催地から外れた主な理由は、オーナーであるトランプ氏の相次ぐ差別的発言だとされている。全英を主催するR&Aやその他のゴルフ団体は、「差別がある場所で大会は開催しない」という方針を掲げており、ターンベリーは世界最古のトーナメントを開催するのにふさわしくないと判断された。
ターンベリーでの全英開催はトランプ氏の悲願。先日、キア・スターマー英国首相との会談でもターンベリーを称賛し、開催復帰を後押しする姿勢を見せたが、現状は厳しい。
マーティン・スランバース氏の後任としてR&Aトップの座に就いたマーク・ダーボン会長は、英テレグラフ紙の取材に対し「全英オープンを運営する組織が、政府の利害関係者から働きかけを受けることはない」と明言。また、ターンベリーの収益性についても触れ、「ターンベリーで開催した2009年大会は1週間で12万3000人の観客数だったが、現在はこの2倍の動員を見込める」と、開催に消極的な姿勢を示した。
トランプ氏が悲願を成就させるためには、さらなるコース改修への投資が必要となるかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)
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