【ADSL終了】サービス終了後のネット接続はどうする?光回線など代替案
イチオシスト

2000年代に日本のインターネット普及を支えたADSLサービスが、ついにその役目を終えようとしています。NTT東日本のADSL(フレッツ・ADSL)は2025年1月31日に終了予定で、ソフトバンク(Yahoo! BB)は2024年3月末にすでに終了。残るNTT西日本も2026年1月31日に完全終了を予定しています。これにより、ADSLを利用し続けてきた方は、インターネット接続方法の切り替えが必須となります。

特に、光回線がまだ整備されていない地域にお住まいの方にとっては、「これからどうすればいいのか?」という不安が大きいのではないでしょうか。この記事では、ADSLサービスの終了スケジュールを改めて整理し、光回線やホームルーター、衛星インターネットなど、それぞれの状況に応じた最適な乗り換え先をご紹介します。
ADSLサービスはいつ終了した?主要サービスの終了時期まとめ

「ADSL終了」と一言で言っても、事業者によって終了時期は異なります。2025年10月現在、NTT西日本の一部エリアを除き、ほとんどの主要なADSLサービスは提供を終了しています。ご自身の契約状況と照らし合わせて確認しましょう。

上記は主要なサービスです。その他のプロバイダが提供するADSLサービスも、基盤となる回線事業者のサービス終了に伴い、順次終了しています。
光回線普及の陰で残る「ADSL難民」
光回線の人口カバー率は大きく拡大しているものの、地域によっては95%を下回る地域もあります。たとえば2022年には当時首相だった岸田文雄氏が光ファイバーを2027年度末までに99.9%の世帯で使えるように指示しています。
なお、2022年時点では5G普及率は30%台でしたが、2023年度末には全国の5G人口カバー率が98.1%に達し、当初目標だった「2025年度末に97%」を2年前倒しで達成しています。総務省は2030年度末までに、全国および各都道府県で99%のカバー率を目指しています。
通信手段としていまだにADSLを利用し続けている世帯もあります。利用者数のピークは2005年の約1450万回線。一方、2021年には約20分の1の約75万回線まで減少していますが、それでも一定の需要はあったと言えるでしょう。
特に山間部では光ケーブル敷設コストが高騰しやすく、人口カバー率の“残された一部”を光回線でカバーするのは容易ではありません。つまりADSLは光回線の人口カバー率から漏れてしまっている層にとって、貴重な通信手段であったことは間違いありません。
固定電話の回線を利用する「安心感」
ADSLの貴重さを裏付けているのが、固定電話の回線を利用した通信技術であるという安心感です。

まずADSLには「電話共用タイプ」と「ADSL専用タイプ」があり、「電話共用タイプ」であれば、電話加入権を所有していることになります。
つまり電話共用タイプのADSLは「固定電話」「ADSLによるインターネット」がどちらも利用可能です。その大元の電話回線はユニバーサルサービスとしてNTTが提供しているため、多くのユーザーにとって、ADSLは安心感があるサービスだったと言えるでしょう。
フレッツ・ADSLの完全終了は、固定回線にひもづいた、光回線非対応地域でも安心して使える接続方式の終了という点で、「もったいない」と言えるでしょう。
地域間デジタルディバイドの拡大が懸念される
先述した通り、光ケーブルは山間部では引きにくく、地理的な理由で光回線が依然として普及が進んでいない地域もあります。そのため、都市部と地方の間の『デジタルディバイド』の拡大につながるおそれがあります。
なお地域間デジタルディバイドとは、同じ国内の異なる地域間で生じる情報通信技術(ICT)の利用や環境に関する格差のこと。ADSLが2025年現在でも貴重な通信手段として機能している地域では、一刻も早く代替の通信手段が定着することが期待されます。
ADSL終了後に有力視される「光回線以外」の通信の選択肢
ADSLサービス終了に伴い、新たなインターネット接続手段を選ぶ必要があります。最有力候補はもちろん光回線ですが、光回線が未整備の地域での接続方法をご紹介します。
【工事不要】手軽に始める「ホームルーター」
「光回線の工事ができない」「すぐにインターネット環境が欲しい」という方には、ホームルーター(置くだけWi-Fi)がおすすめです。コンセントに挿すだけでWi-Fi環境が構築できる手軽さが最大の魅力です。
【スマホで完結】手軽な「テザリング」
「たまにPCをネットに繋ぐだけ」「とにかく追加費用をかけたくない」という方には、お持ちのスマートフォンのテザリング機能が便利です。スマホをモバイルルーター代わりにして、PCやタブレットをインターネットに接続します。

たとえば楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」はデータ無制限。スマホをテザリングすればPCなどに繋ぐことが可能です。「毎日がっつりネットをするわけではない」といった場合はこれで十分でしょう。
こうした安価なデータ無制限プランが大手キャリアにも広がることが十分に期待されます。
なお、「Rakuten最強プラン」は5Gに対応していますが、5G自体はまだ都市部でしか対応していないという場合も少なくありません。その場合、4G回線での利用となります。
【山間部や離島の救世主】衛星インターネット
光回線も携帯電話の電波も届かない、という山間部や離島にお住まいの方にとって、最後の切り札となるのが衛星インターネットです。宇宙に浮かぶ多数の低軌道衛星と直接通信することで、地理的な制約を受けずにブロードバンド環境を構築します。
現在、個人で利用できる衛星インターネットとして最も有名なのが、SpaceX社が提供する「Starlink」。アンテナを空の見える開けた場所に設置する必要があるとはいえ、地上のインフラに依存しないため、地震や台風などの災害時にも通信手段を確保できます。
2030年頃には「6G」が光回線の非カバーエリアをカバー?
なおADSLの終了に伴う「光ファイバー網の非カバーエリアの通信の問題」が取り沙汰されるのは、一過性の現象と言えるかもしれません。
この問題は本稿の中でも触れたように、衛星インターネットの普及で根本的に問題が解決される可能性があります。また、モバイル通信が使えるエリアであれば、データ無制限プランがさらに普及することで、テザリングが解決策となる可能性もあります。
そして将来的には、第6世代移動通信システム(6G)の登場により、さらなる通信環境の改善が期待されています。6Gは5Gと比べて通信速度が10倍になると想定されており、2030年頃の実用化を目指して研究開発が進められています。6G回線が普及すれば、山間部や海上、さらには宇宙空間までをカバーする「超カバレッジ拡張」の実現が期待されています。
これらの技術革新により、現在のADSL利用者や光回線が届かない地域の人々にも、将来的には高速で安定したインターネット環境が提供される可能性が高まっています。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)
記事提供元:スマホライフPLUS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
