新型の特急「やくも」273系に乗ってみた! 旧型より揺れる? セミコンパートメントって何?
JR岡山駅ーJR出雲市駅間を結ぶ特急「やくも」といえば、旧国鉄色が有名な381系でした。しかし、2024年4月以降は新型の273系に置き換えられたことは、鉄道ファンなら皆さんご存じでしょう。そこで、今回は筆者が実際に新型やくもに乗ってみて、何がどのように変わったのかを解説します。
新型「やくも」はどんな車両か?

特急「やくも」はJR岡山駅ーJR出雲市駅間の伯備線と山陰本線を約3時間で駆け抜けます。しかし、伯備線の中国山地は急なカーブが多く、そこを高速で走行するために車体が大きく傾斜する「振り子装置」を搭載しています。
とくに、旧国鉄色で有名な381系は左右に相当傾斜するので酔いやすく、“ぐったりはくも”などと揶揄されたこともありました。

しかし、2024年4月以降は最新型の273系に置き換えられ、車両カラーもメチャ格好いいブロンズになっています。
もちろん、この273系にも振り子装置が採用されていますが、こちらは最新式なのでスムーズにカーブを曲がっていくとのこと。

また、以前の特急やくもには普通車自由席の設定がありましたが、2024年3月のダイヤ改正によって、現在は全席指定席となっています。
JR西日本の予約サイト「JRおでかけネット(e5489)」では、特急やくもを事前予約してきっぷを購入することもできますが、このあと紹介する注目のセミコンパートメントも、予約可能となっているんですね(シートマップでの位置指定は不可)。
●JR西日本「JRおでかけネット」は→こちら

新型やくもの車内はどんな感じになっている?

新型やくも車両編成は1号車がグリーン車&セミコンパートメント、2号車以降は普通車指定席で最大8号車まで連結されます。
まず、普通車指定席は緑と青のシートで非常にカラフル。シートピッチは新幹線と同じ1,040mmとなっており、381系よりはかなり余裕があります。リクライニングシートも角度に合わせて座面が変化する機構を採用しているので、乗り心地も向上しているとのこと。

次に、グリーン車は赤とオレンジの明るいシートで、フットレストも装備しています。普通車指定席が2+2の4列なのに対し、1+2の3列になっているので、ゆったりしていますね。

そして、新型やくもでもっとも注目されているのが、グリーン車と同じ1号車にある「セミコンパートメント」。こちらは木製の大型テーブルや小型ランプを備えており、なかなかオシャレな作りになっています。
2人用と3~4人用が用意されていますが、なんと、普通車指定席と同料金(追加料金なし)で利用可能となっているんですね。これは本当に素晴らしいことです。



新型やくもには車いす対応座席や車いすスペースも設けられています。ここはかなり広々としたスペースになっているので、車いすでも利用しやすいでしょう。
また、新型やくもには大型のスーツケースを置ける荷物置き場も設置されているほか、誰でも利用できるフリースペースや多目的室も用意されています。
ほかにも、381系では考えられないほど広々とした車いす対応トイレもあって、さすがに最新式だなと思わせる装備が満載でした。





新型やくもに実際に乗ってみた感じは?

新型やくもに乗って最初に感じるのは匂いです。381系は約40年も前の車両だったので、古い列車特有の匂いがしましたが、さすがに新型やくもは新車の香りが漂っていました。
次に、座席に着くと381系より座り心地がかなりよくなっているのを感じます。最初はちょっと固めな感じもしましたが、腰を下ろすと人間工学に基づいて設計された椅子のように、しっくりと馴染むのです。
また、ヘッドレストは上下するので、首回りの座りもなかなかいい感じです。もちろん、肘掛には全席コンセントが用意されているのでスマホの充電も困りません。


ほかにも、新型やくもには外国人客向けにフリーWi-Fiも完備されています。中国山地走行中はキャリアによって電波が届かないこともあるので助かりますね。

ほかにも列車が動き出すとき、381系ではガクンガクンしたものですが、新型やくもはスーッと動き出して実に滑らかです。それだけでも「新型はやっぱり足回りがいいな〜」と感じました。
出雲市を出発すると、すぐに進行方向左側に宍道湖が見え、米子を過ぎて伯備線に入ると今度は伯耆富士とも呼ばれる大山(だいせん)が見えてきます。
そして、いよいよ中国山地のカーブ地域を通過しますが、新型振り子装置は非常に優秀で、381系のように急にグイッとカーブすることはありません。
もちろん、振り子なので傾くことは傾くんですが、とてもスムーズなので、もう「ぐったりはくも」などと呼ばれることはないでしょう。
ちなみに、今回は最前列の席を利用したのですが、壁に固定されたテーブルがあって、ゆったり食事をすることができました。
また、座席上の棚は以前より相当広くなっていて、大型のスーツケースも楽に置けます。データで確認したわけではありませんが、おそらく新幹線などと同等の荷物が置けるのではないでしょうか。


まとめ
いかがでしょうか? 今回は2024年4月以降に導入された特急「やくも」について詳しく解説しました。
筆者は過去に何度も381系に乗っていますが、さすがに新型やくもの273系は、車内の装備、座席、揺れ具合など、すべての面においてかなりよくなっているのを実感することができました。
もし、山陰方面を訪れる機会があるなら、ぜひ特急やくもに乗って、スムーズな新型振り子装置を体感してみてはいかがでしょうか。
記事提供元:スマホライフPLUS
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