「レギュラーガソリン185円だと!?」 歴史的高騰に消費者の悲鳴とガチ切れの嵐!
補助金の縮小によりガソリン価格が高騰中。都内のガソリンスタンドの関係者は、「客足が遠のくのが不安」と漏らしている
ガソリン価格の高騰がヤバい。昨年、12月19日に5円ほど値上げされ、1月16日にも再び5円ほど上がったのだ。今、何が起きているのか? そして、今後どうなるのか? 専門家などに話を聞いてきた。
■国が暫定税率を手放したくないワケガソリン価格の高騰がもうどうにも止まらない!
すでに東京都内ではハイオクガソリンの価格がリッター190円近くまで値上がりしている。都内のガソリンスタンド関係者からはこんな声が。
「今月末にはレギュラー価格が185円、ハイオクは200円を突破すると予想しています」
ガソリンスタンドの利用者にも話を聞いてみたが、悲鳴とガチ切れの嵐であった。
「ガソリンの値上げによる家計への打撃はスゴいですよ。国民は裏金をもらえないから」(パート・30代・女性)
「ただでさえ物価高騰で生活がキツいのに、ガソリン値上げは完全にダブルパンチだよ」(配送業・50代・男性)
高騰の理由は補助金(燃料油価格激変緩和補助金)が縮小されたからだ。2022年1月以来、国はガソリン価格を抑えるため、石油の元売り会社などに補助金を支給してきた。その補助金を昨年12月19日に縮小し、間髪入れず、1月16日に再び縮小!
ご存じの方も多いと思うが、この背景には昨年12月11日に自民・公明・国民民主党が合意したガソリン税の暫定税率廃止が挙げられる。税率を下げると決めたから、補助金も減らすよ、と。しかし、そもそも暫定税率とは?
「もともとは道路を建設・整備する道路財源として1974年に導入。ちなみに現在の暫定税率25.1円は79年に開始されたものです」
こう話すのは、自動車誌の元幹部だ。「暫定」ならば本来は時限的な税率であるはず。なぜのらりくらりとここまで生き延びられたのか。
「理由はふたつ。ひとつは安定した財源だからです。何しろ四輪車保有台数は約7876万台。二輪車の保有台数は1030万台です。
もうひとつは2009年4月に一般財源化されたのが大きい。要は道路以外のあらゆる用途に使えるよう"魔改造"されたのです。黙っていても湯水のごとく湧き出る、こんな財源はほかにありません。国は手放したくないのが本音では」
そんな中、自民・公明両党により決定された25年度税制改正大綱を受け、昨年12月25日、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)はガソリン暫定税率の廃止について声明を発表している。
《「ガソリン暫定税率」の廃止について真摯に協議をおこなっていくと記載がされた。これはJAFが長年要望していた事項であり、自動車ユーザーが納得できる自動車税制の実現に向けた大きな一歩であると認識している。
ただし、自動車ユーザーの負担はすでに限界を迎えていることもあり、協議を先延ばしせず早急に廃止することを要望する》
しかし現在のところ暫定税率廃止の時期は未定で、補助金が先行して縮小されている。
■ガソリン高騰時代の通勤の足はどれだ!?「ガソリン高騰は大メディアの責任も大きいです!」
こうぶった斬るのは自動車評論家の国沢光宏氏だ。
「大メディアのエリートは都内在住でクルマに乗らない人が多い。卵の価格が10円上がったら大騒ぎするのに、これまでガソリン高騰には見向きもしてこなかった。
例えばガソリンの仕入れ相場は中東の原油相場と為替相場で決まります。単純な話です。そこに国の補助金が投入されてきた。
しかし、その補助金は適正なのか。大メディアは、国からの情報を垂れ流すだけで検証を怠ってきたように見えます。国民にしても、ガソリンの値上げに怒るどころか黙って従ってきた。だから、国はやりたい放題なのです」
とはいえ、補助金縮小によるガソリン高騰は、"クルマはひとり1台"という地方の家庭を直撃する可能性も。少しでも家計を救うような、エコ運転術はないものか。
「喝! それは漢(おとこ)らしくない考え方ですね。エコ運転術の効果など微々たるもの。チマチマ燃費を気にするぐらいなら、いっそEVに乗り換えたほうがよっぽど健全では。
ガソリンと比べて電気は格段にランニングコストが安い。狙い目は日産の軽EVサクラ。中古なら高年式で走行距離の少ないサクラが100万円台で手に入る」
国沢氏が推すのが日産の軽EVサクラの中古車。ガソリン高騰にモヤモヤした人は要チェック!
一方、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏はこう語る。
「ガソリン高騰で、通勤の足をクルマからバイクに乗り換える人がますます増えるでしょうね。実際、販売店からは『かつてはトヨタのハイエースだったが、不景気になって軽自動車に。そして今度は、物価とガソリンの高騰により125㏄スクーターを通勤の足に選ぶお客さまが増えています』なんて話が聞こえてくる」
125㏄のスクーターのメリットはズバリ燃費だ。
「"通勤快速"の呼び声高い125㏄スクーターは販売店で引っ張りだこの人気で、中古市場でも価格が上がって落ちません。というのも、バイクはクルマに比べ圧倒的に燃費がいい。
具体的にはカタログ値でリッター50㎞以上! 実際にストップ&ゴーの多い一般道を走ってもリッター45㎞以上が普通に出る。燃料タンクの容量は5L程度がほとんどで、毎日10㎞の通勤に使っても1ヵ月間、無給油で走り切る。
青木もスズキのアドレス125を新車で買って以来、使い倒しています。取材や打ち合わせに都内を駆け回っていますが、本当に燃費がいい」
しかし当然、ガソリン高騰がバイクに無関係なわけではない。
「今回のガソリンの大幅値上げは、125㏄のスクーターを通勤に使うユーザーにもボディブローのように効いてくるはず。このままだと頼みの綱であるバイクでの通勤もままならなくなる。国は暫定税率を一刻も早く撤廃し、ガソリンの価格を下げるべき」
物価高により実質賃金は現在4ヵ月連続でマイナス。ガソリン価格の高騰は、まさに泣き面に蜂である。多くの国民は生活維持に四苦八苦し、悲鳴を上げている。その姿をガン無視し、暫定税率を即廃止しない国よ、ふざけんな!
取材・文・撮影/週プレ自動車班 撮影/長谷川徹
記事提供元:週プレNEWS
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