デコボコ道も泥水の中もパワフル走行! EV化されたメルセデスベンツの新Gクラスがすごかった
プレミアムな輸入車の販売は絶好調。都市部を中心に町中には4ケタ万円クラスのプランドがたくさん走っているのを見かける。そのなかでも雄といえば、メルセデスベンツのGクラスで、芸能人御用達としてもよく話題に上る。そのGクラスがこの度、マイナーチェンジを受けて進化。さらにEVも加わった。その実力、どれほどのものか、試乗してみた!
EVになってもGクラスはめちゃくちゃタフ
EVモデルも追加というと、エンジンの代わりにバッテリーとモーター、制御ユニットを積んで作ったイメージが強いし、実際に世の中に増えつつあるEVは実際にそのような作りだ。しかし、EVモデルであるG580は違った。もちろんバッテリーに溜めた電気でモーターを回すという構造的には同じなのだが、まず大きく違うのはモーターが4つ付いていること。つまりひとつの車輪にひとつのモーターが付いているのだ。しかもひとつのモーター出力は一般的なEVに採用されているものと同等で、トータルで587馬力を発生する。まさにモンスターだ。ちなみに一充電あたりの走行距離は530kmである。
タイヤを独立して制御できるというのは画期的なことで、まず試乗して驚いたのがGターンだ。これは左右のタイヤを逆方向に回してその場でグルリと車体を回転させるもので、戦車の超信地旋回と同じ。そしてもうひとつがGステアリングで、ハンドルを切った方向の後輪だけ止めることで、超小回りが可能となる。どちらも公道不可で、砂利道などの滑りやすい路面でしか使用できないが、最先端のEVとはなにかをまざまざと見せつけられた。
EV、ディーゼルともにオフロード性能も抜群
あまりに町中で見かけることが多いだけに、オフロードでの走りがあまり想像できないのがGクラスでもある。おネダンも高いし。今回はオフロードコースを走ることができたのは貴重な体験で、デコボコが続くモーグルコース、そのまま後ろにひっくり返るのではないかというほどの急な坂、そしてタイヤが隠れてしまうぐらいの泥水の中など、これでもかというほどの悪路ばかりを難なく走破できたのには驚かされた。しかもテクニックは必要がなく、スイッチでモードを選べばあとは車両側でやってくれるので、アクセルを踏んだり戻したりするだけ。
EVのG580に加えてディーゼルモデルのG450dも同じコースを試乗したが、こちらはスイッチでの選択がG580よりも多いが、駆動系はEVほどシンプルではないので仕方がないだろう。スイッチでの選択が多いというだけで、選んでしまえば通常と同じ感覚で走ればいいので、とくに困ることはない。
Gクラス人気の秘密、抜群のオンロード性能
最後にチェックしたのがオンロード性能だ。まずG580はモーターならではのパワフルさはさすがといったところ。Gロアと呼ばれる排気音風のサウンドを出すこともできるので、ただ静かに淡々と走る感じはなくて、ドライバーの心をうまくくすぐってくれる。ちなみにGロアは消すこともできる。
そして今回のもうひとつの目玉であるガゾリンモデルのAMG G63にも試乗ができた。こちらは4リッターのV8ツインターボをベースにしたハイブリッドで、走り出しだけ押してくれるマイルドハイブリッドを採用している。マイルドと付くものの侮るなかれで日本車の同じシステムよりもパワフルな48Vなので、加速は凄まじいものがある。調べてみると、0-100km/hはたったの4.4秒で、これはG580を上回る数字だけに納得。まさにモンスターSUVだ。
これほどのハイスペックを誇りながら、乗り味はガッチリというよりもむしろしなやかで乗り心地もいい。このあたりは電子制御がふんだんに取り入れられたサスペンションが効いているのだろう。Gクラスというと背が高いだけに走りは不安になりがちと思うかもしれないが、それは初代あたりの話で、今やまったくそのようなことはなし。存在感十分の見た目と、パワフルでしなやかな走りなど、売れているクルマはやっぱりそれ相応の実力があるわけで、今回のマイナーチェンジで、さらにその人気が高まることは確実だろう。
Mercedes-Benz G 580 with EQ Technology Edition 1
◆全長_全幅_全高:4730×1985×1990mm ◆車両重量:3120kg ◆モーター形式:交流同期電動機 ◆総電力量:116kWh ◆システム最高出力:432kW(587ps) ◆最大トルク:1164N・m(118.7kg-m) ◆ミッション:─ ◆WLTCモード一充電走行距離:530km ◆定員:5人 ◆価格:2635万円
文/近藤暁史【MUSHROOM】
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