【Lemino Boxing】井上尚弥がグッドマンとの延期戦へ練習を公開。「最高の自分を作り上げるため」の思わぬ収穫とは
ボクシング・スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が8日、横浜市内のジムでメディアの取材に応じた。井上は当初、昨年12月24日(東京・有明アリーナ)にWBOとIBFで1位にランキングされるサム・グッドマン(オーストラリア)と防衛戦を行う予定だったが、グッドマンが練習中に負傷したことを受けて1月24日(同会場)に延期となった。
試合10日前の1カ月延期というキャリア初の事態に見舞われても、井上の盤石ぶりは変わらないようだ。
「まあ、10日前だったのでびっくりはしましたけど、そこで慌てふためいても変わることはないので、ひとまず指示を待つだけでした。延期なら延期、中止なら中止というものを受けて、自分が気持ち的に切り替えられると思っていたので」
ただし、「あそこからもうワンセット繰り返すのは体力的にも精神的にもきつい部分があった」との発言もあり、こちらも偽らざる本心なのだろう。実際に1カ月延期となれば、メンタル、コンディショニング、練習パートナーの確保といった問題が生じるのは避けられない。
井上によると、コンディションに関しては少し食事を見直して体重を戻そうとも考えたが、「ハードな練習を持続していたので戻らなかった」という。練習パートナーは「少し考えた」そうだが、こちらは大橋秀行会長が以前から何度もパートナーを務めているジャフェスリー・ラミドにすぐに声をかけ、快諾したラミドが29日にアメリカから緊急来日。“モンスター”の不安を瞬く間に払拭した。
こうして年末年始も休まずに練習し、この日は「仕上がりはすごくいいんじゃないかと思う」と十分な手応えを口にする。さらに「減量は約5週間かけてやっていたけど、今回は8週間から10週間。(今後の)ビッグマッチに向けて最高の自分を作り上げるためには、それくらい時間をかける必要があるのかなとも思った。ちょっと考えていきたい」と延期による収穫まで口にするのだから「さすが」と言うほかない。
試合まで2週間あまりとなり、徐々に戦闘モードとなりつつあるのか、「グッドマンが負傷した左目を狙うのか」と問われると、「当たり前じゃないですか」と言い切った。「プロの世界は甘いものじゃない。そこも一つの勝利のカギとなってくる」と語り、いつものように容赦なく挑戦者を叩きのめすメンタルも整っているようだ。
昨年末は井上の世界戦が延期となり、大みそかに予定されていた井岡一翔(志成)の世界タイトルマッチは王者のインフルエンザ感染で中止に。井上と同じく1カ月延期と発表されていた武居由樹(大橋)の世界戦は武居の負傷でさらなる延期を余儀なくされた。
こうした事情を受け、「ボクシングファンの中にはけっこううずうずしている方もいるんじゃないかと思う。2025年一発目の世界戦、自分の中ではファンの方に向けていいものを見せたいという思いがある」と口にして様になるのが井上だ。新年の幕開けとなる一戦でいかなるパフォーマンスを見せてくれるのか。“モンスター”への期待は高まるばかりだ。
文=渋谷 淳
写真=青山知雄
[開催概要]
NTTドコモ presents Lemino BOXING 世界タイトルマッチ
井上尚弥 vs サム・グッドマン
開催日場:2025年1月24日(金)
会場:有明アリーナ
<対戦カード>
◎メイン
WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級王座防衛戦12回戦
井上 尚弥(4団体王者、大橋) vs サム・グッドマン(オーストラリア)
◎セミファイナル
OPBF東洋太平洋&WBOアジアパシフィックウエルター級タイトルマッチ12回戦
佐々木 尽(OPBF・WBO AP王者、八王子中屋) vs 坂井 祥紀(横浜光)
◎60キロ契約10回戦
奈良井翼(RK蒲田) vs 渡邉 海(ライオンズ)
日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦
下町 俊貴(日本スーパーバンタム級王者、グリーンツダ) vs 平野 岬(三松スポーツ)
◎WBOアジアパシフィックミニマム級タイトルマッチ12回戦
小林 豪巳(真正) vs 高田 勇仁(ライオンズ)
※1試合追加を予定(対戦カードは現在調整中)
【制作・編集:Blue Star Productions】
記事提供元:Lemino ニュース
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