「ネオ転職」「生回帰」「引き活」...。2025年要注目のビジネストピックスとは!?
下請法の改正で適用範囲が大幅に拡大された。各業界で是正勧告が頻発するかも?
あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「2025年 要注目ビジネストピックス」について。
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2025年、私も社会人になって25年目になった。そこで私的な、しかし読者にも影響を与えるであろうビジネストピックスをあげたい。
①下請法の改正
これまでは大企業が資本金3億円超であれば、3億円以下の事業者との取引をする場合に対象となりえた。
しかし昨年11月の改正により、資本金の多寡によらず従業員が300人超の事業者は、300人以下の事業者に製造等を委託すると下請法の適用となる可能性がある。
さらに、サービス業は100人超の事業者から100人以下の事業者への発注でも対象となる見通しだ。減資して逃れることはできなくなる。
下請法の対象取引になると「買いたたき」や「減額」が禁止事項となる。これからも労務費と輸入物価の高騰は続くはずで、改正下請法に基づいた勧告は急増するだろう。
②トランプ新政権
米国の輸入関税増、不法移民対策は物価を押し上げ、ドル金利を引き上げる要因になるはず。日米の金利差が広がり、円安ドル高は加速するだろう。
さらにメキシコ、カナダを経由した中国の迂回(うかい)輸出を禁じるために両国にも重関税をかけるならば、日本企業のサプライチェーンは大きな変化を求められる。
また、宣言通り化石燃料を掘りまくるとすれば、環境ビジネスの反動があるはずだ。
③人手不足対策
私は現場でのコンサルティング業務を続けているが、人手不足があまりにひどい。働き方改革の一環で、週休3日制を喧伝(けんでん)する企業が増えてくるだろう。
なお現在、日本で進行しているのはホワイトカラーが余り、ローカルビジネスやサービス業が足りない状況だ。おそらく「ネオ転職」ともいうべき、ホワイトカラーからサービス業への移行が生じるに違いない。
リスキリングなんてやっても、そう簡単に他分野のプロにはなれない。手足を動かす人材のほうがよっぽど有益だ。
④生成AIの進化
動画を簡単に作成できるようになり、映画などの制作がついに個人でできるようになる。小資本が圧倒的な作品を作り出すだろう。テクノロジーはクリエイティブを民主化する。
また、生成AIがつくった楽曲がヒットチャートに乗るはずだし、AI脚本家の映画もヒットするだろう。文筆業もおなじだ。私は月額約3万円の「ChatGPT Pro」に加入して使ってみたが、もはやリミッターが外れている。平凡なライターは生き残れるのだろうか。
③との関連でいえば、きっと退職代行サービスはAIによる退職代行音声電話サービスに進化するだろう。
⑤生(ナマ)への回帰
そこで「リアル」へ急速な揺り戻しがあるだろう。リモートから出社への流れは止まらず、生を求めるようになっていく。居酒屋チェーンの「それゆけ!鶏ヤロー!」は、そこに行けば誰かと出会えるかもしれない、ハプニングに遭遇できるかもしれない、と訴求力を高めている。
なお私はヘビーメタルが大好きでライブハウスに毎週のように通っているのだが、フェスの盛り上がりは異常なほどだ。よければ「渋谷メタル会」でお会いしたい。
なお、今年は「引き活」の年になるんじゃないかとも私は思う。「推し活」の反動として、冷静になって対象を見直す(引く)タイミングがくるはずだ。物価高で他人に費やすお金も絞らざるを得ない。あれ、単に日本人が貧しくなっただけか?
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記事提供元:週プレNEWS
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