岩井明愛の“水色ヘッド”が男子プロに高評価 塗料分の2g増量が最適重心位置になっていた⁉
米国女子ツアーの来季出場権をかけた最終予選会(Qシリーズ)で、岩井千怜は2位、岩井明愛は5位タイに入った。日本を席捲する双子の姉妹が来季は米国で暴れそうだ。岩井姉妹といえば、オリジナルカラーをまとったドライバーが有名だが、そのカラーが思わぬ副産物があった。
国内男子ツアーの「カシオワールドオープン」の練習日に、3季連続シードを決めた26歳の吉田泰基が“水色ヘッド”のドライバーをテストしていた。今季からクラブ契約フリーになった吉田の手に握られたクラブをよく見ると、ヨネックス『EZONE GT タイプS』の岩井明愛モデルのヘッドだった。
通常モデルのクラウン部が黒(カーボン色)だが明愛モデルはターコイズブルー、千怜モデルはマゼンタと遠くから見ても一目で分かる。今年開幕戦から使い続け、女子ツアーではおなじみのカラーでもある。
今季開幕から使用する明愛は、ドライビングディスタンス257.36ヤードで6位。「持ち球がドローなので捕まるタイプのヘッドが好き。フェースに食らいつく感じがいいですね」とドローボールを操って飛ばしていた。
妹の千怜はドライビングディスタンス250.14ヤードを記録。「曲がらないし、楽に運べるというか、前に運んでくれるイメージがある。ヘッドに乗る時間が長く感じます」。フェアウェイキープ率はキャリアハイの67%越えをマークしている。
性能だけでなくそれぞれ好きな色なので「気分が上がります」とメンタル的にもいい効果を発揮している。実は、この“カラーリング”にヨネックスのツアー担当者がピンときたという。
「(通常モデルよりも)ちょっと重いんじゃないかと思ったんです」。調べてみると通常モデルのヘッドよりも塗料の分だけ、2グラムほどヘッド重量が増えていた。クラウン部に施してあるため2グラム分、重心位置が上がっていることになる。その変化は数ミリ程度といわれる。
同モデルは進化したカーボンクラウンと新構造「StrikeSpeed Carbon」によって寛容性が高く、低重心化により大きな飛距離を生み出してアマチュアにも人気だ。カーボンを得意とする同社のテクノロジーのたまものだが、ドライバーもダウンブローに打つ男子プロは、フェースの上目に当たるため、スピン量が過剰に少なくなる傾向にあった。
「2グラム重くなれば、ほんの少しですが重心位置が上がります。上から打つ男子プロなどは、その少しの差が大きいんです」。ツアー担当者は2グラム重い“岩井カラー”のヘッドを男子のトーナメント会場に持ち込んだ。吉田は、最近の低スピンヘッドに「チーピンをするとスピン量が少なすぎてやばい球が出る」とある程度スピンが入るヘッドを好む。
通常の『EZONE GT タイプS』をテストするとスピン量が少なすぎて、ボールがつかまっていなかったが、明愛モデルを打つと「適正スピンでしっかり球がつかまっていた」と好感触だった。
「吉田プロは黒と水色では全然球筋が違いました。塗装でたまたま重心位置が上がったことで男子からはいい評価になりました」と話す。女子プロのようなヘッドスピード40m/s台前半でアッパーブロー軌道、もしくはスピン量を減らしたいゴルファーには通常モデルがぴったりだが、ヘッドスピード50m/sでダウンブロー目に打つゴルファーには岩井モデルの方が重心位置は最適というわけだ。
シーズン終盤のため吉田が実戦投入することはなかったが、塗装のある、なしでは明らかに球質が変わっていた。池村寛世は千怜モデルの“マゼンタ”に興味を持っているという。岩井姉妹モデルのカラーは当人たちのお気に入りだが、その“副産物”により男子プロの評価が上がっていた。
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