輸入食品が高騰!低価格で立ち向かう“和牛の逆襲”:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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11月22日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「物価高に挑む 食品業界の異端児たち」。
アメリカ大統領選挙でトランプ氏が再選を果たしたことで、日本では“ある食材”の価格が上がる可能性も。世界的な物価高や長引く歴史的な円安などの影響で、庶民の味方だった輸入食品は相次ぐ値上げ。食品価格の高騰は終わりが見えない。
一方、これまで外国産に押され続けてきた日本の高級食材にチャンスが訪れようとしていた。逆境を跳ねのけ、物価高に立ち向かおうと奮闘する食品業界の異端児たちの姿を追った。
【動画】輸入食品が高騰!低価格で立ち向かう“和牛の逆襲”
高級タラバガニが“半値の異変”も…トランプショックで今が最後?
10月下旬、東京・築地。去年オープンしたカニ料理の専門店「築地かに祭り」は、昼間からにぎわいを見せていた。毛ガニやズワイガニも人気だが、店の自慢は身がぎっしり詰まった極太のタラバガニ。オーナーの中村格彰さんは、世界中からカニを輸入する専門商社「築地蟹商」の会長でもあり、この商社では国内に流通するタラバガニの7割以上を扱っている。
店で出す極太タラバガニは全てロシア産。中村さんは「コロナ前と比べると、タラバガニの値段は半額ぐらいになっている」と話す。その理由が、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻。アメリカ政府が経済制裁としてロシア産タラバガニの輸入を禁止した影響で取引価格が下がり、今、日本で格安で食べられるようになっている。
しかし安くなったとはいえ、タラバガニ足1本の値段は5000円。来店客の大半は円安でお得感が増したアメリカ人だ。カニを食べた客は満足げだが、中村さんはなぜか浮かない顔……。11月に行われるアメリカ大統領選挙の結果次第では、カニの価格が高騰するかもしれないという。
中村さんの不安は的中し、大統領選の結果はトランプ氏が再選。プーチン大統領と相性が良いと言われるトランプ氏が政権に返り咲けば、禁輸措置はすぐに解かれ、再びアメリカがロシア産のタラバガニを買い占める可能性が。「今年で終わりかもしれない。安いカニが食べられるのは」と中村さん。否応なく世界の情勢に左右される食品価格……どう立ち向かえばいいのか。
輸入牛高騰の中、“格安の国産和牛”を食卓へ!
大阪・泉大津市。7月にオープンした人気店「お肉の直売所」に、続々と客がやって来た。お目当ては黒毛和牛。切り落としやすき焼き用など、A5等級の黒毛和牛が3パックで2000円。一般的なスーパーに比べて、約2割安いという。
レジの先にはテーブル席があり、買ったばかりの和牛をすぐに焼いて食べられるのも人気の秘訣だ。
物価高騰と急激な円安で、アメリカ産など輸入牛肉の価格が急上昇し、国産牛肉との価格差が縮まっている。この状況を千載一遇のチャンスと捉え、格安の和牛で攻勢を仕掛けているのが、この店を経営している「カミチクグループ」(鹿児島市)だ。
カミチクは、南九州を中心に約40カ所で1万8000頭の牛を飼育。牛を育てるだけでなく、肉の加工から小売り、レストラン経営まで手掛け、年商は約450億円に上る。
グループを率いる“食肉業界の異端児”こと代表の上村昌志さんは、「いかに安くつくり、付加価値を付けて売るか。今が一番チャンス」と話す。
しかしこの日、上村さんが険しい表情で見つめていたのは円安を伝えるニュース。畜産農家の大きな負担となっているのが、経営コストの約4割を占める餌代だ。主な原料のトウモロコシは、ほぼ全てを輸入に頼り、円安の影響で価格が高騰。生産者の収益を圧迫していた。
品質の良い和牛を安く生産するために上村さんが挑んだのは、餌の国産化。米農家に協力してもらい、飼料に使う米の耕作地を増やしている。
さらに、しょう油かすや、焼酎づくりの後に出る芋の搾りかすを使い、20年以上かけて国産飼料を完成させた。
上村さんはこの国産飼料で、安く和牛を育てようとしていた。
10月下旬、上村さんを訪ねてやって来たのは、畜産農家の水迫正一さん、まゆみさん夫妻。借金が膨らみ、農場の経営が立ち行かないという。2人は、「飼料代に持っていかれるので、運転資金が続かない」「月の支払いが40〜50万円増えた感じ」と嘆く。
水迫さんは鹿児島・指宿市で約80頭の黒毛和牛を育てている。物価高の影響で借入金は約1億3000万円に膨らんでいた。廃業して牛舎や牛を処分しても、3000万円の借金が残ってしまうという。
水迫さんのもとを訪れた上村さんは、農場の黒字化に向けて支援を始める。
愛知・稲沢市。この日、上村さんが訪れたのは「アピタ」や「ピアゴ」など約130店のスーパーを展開している、スーパー大手「ユニー」本社。物価高の中、お客に響く商品を探していたユニーに、和牛を売り込む。
「生産者として国産の牛肉をたくさん食べてもらいたい」と熱を込める上村さんに、ユニー側の担当者は「国産牛と輸入牛の価格差がなくなっている状態、仕掛けてきたいと思う」と好感触。カミチク専用の売り場を設け、和牛のセールを開催することが決まった。
実は上村さん、和牛を安くする“さらなる秘策”を打ち出していた――。
鮮度抜群のキンメダイをより安く、安定的に食卓に届ける!
食品価格が高騰する中、「ドン・キホーテ」が力を入れているのが、生鮮食品だ。
千葉・市川市にある「MEGAドン・キホーテ 本八幡店」では、鮮魚売り場に人だかりができていた。店員の掛け声とともに始まったのは、マグロの解体ショー。すぐに切り立てのマグロが売り場に並べられた。
赤身は1柵200グラムで1080円、脂が乗った大トロや中トロも格安で販売。女性客の一人は「今この値段で、この大きさは買えない」と話す。
実はこの売り場は、去年4月にテナントとして入った「サカナタベタイ」という名の鮮魚店。運営しているのは、「金の蔵」や「アカマル屋」など、東京を中心に居酒屋など60店舗を展開する「サンコーマーケティングフーズ」だ。サンコーはコロナ禍の4年前、苦境の居酒屋を大量に閉店し、起死回生をかけて水産業に乗り出した。社員自ら市場で魚を競り落とし、新鮮な魚を安く調達することで、小売業の拡大を狙っている。
10月、「下田市魚市場」(静岡・下田市)を訪れたのは、サンコーの社長、長澤成博さん。居酒屋から水産業への大転換を推し進めた異端児だ。
「相場は結構高い?」。長澤さんが話しかけたのは、サンコーの社員・坂詰敬裕さんで、2人は下田名物の高級魚「キンメダイ」に目を付けていた。
下田のキンメダイは脂の乗りがよく、その多くが首都圏の高級寿司店や料亭に送られる。
長澤さんはこのキンメダイを東京のスーパーで格安で売りたいと考えていたが、魚市場では値段が上がり続けていて手が出せない。どうやって安く手に入れるつもりなのか。
下田市の隣、南伊豆町の港にやってきた長澤さんは、長年キンメダイを獲り続けてきた地元の漁師たちの力を借りようとしていた。「今日の夕食を作るために買ってもらえるようなスーパーでの提案をやっていきたい」。
漁師から直接買い付けることで、キンメダイを安く安定的に手に入れようと考えたのだ。
話を聞いた漁師は「うれしい。魚を獲ってきて、その日のうちにすぐに持って行って。本当に鮮度がいいと思う」と長澤さんに賛同した。
一方、キンメダイを東京のスーパーに卸すプロジェクトを任された坂詰さんは「京王ストア 桜ヶ丘店」(東京・多摩市)を訪れていた。
実は、魚の価格が高騰する中、坂詰さんが売り込みをかけたことで、2週間後にキンメダイの特別セールを開催することが決まったのだ。都内7店舗で販売するため、下田のキンメダイを安く大量に確保しなければならない。
しかし、セールが目前に迫った10月末。台風が発生した影響で、下田の海が荒れ始めていた。果たして、キンメダイ漁に出られるのか…?
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記事提供元:テレ東プラス
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