小学3年生の作文が波紋を呼ぶ「将来、僕はギャングになって銃を手に入れる」(南ア)
南アフリカ・ケープタウンの小学校のテストで、ある質問に対する児童の回答がSNSに投稿され、波紋を呼んだ。5つの文章が作成されたものだが、少年の家庭環境や地域社会の崩壊が読み取れ、教育省も個々の状況を調査すると公表した。南アフリカの地元紙『The Daily Voice』などが報じた。
注目を集めたのは、小学校3年生4学期のアフリカーンス語のテストで、「将来やりたいこと、なぜそれをやりたいのかについて、5つの文章を作成する」という問題だった。これに対するある児童の回答がSNSに投稿され、波紋を呼んでいる。この児童は以下のように記述した。
「いつかギャングスターになりたい。銃を手にする。ギャングスターになる。銃をこっそり手に入れる。自分の家に。」
9歳児の書いた5つの短い文章から、ケープタウンのギャング被害地域に住む子供たちが直面する、厳しい現実を反映しているとして話題になった。
この投稿について、西ケープ州教育省のブロナー・ハモンドさん(Bronagh Hammond)は「悲しいことに、これはある小学校の質問に対する回答であると確認されています」と述べた。児童の名前や小学校名は伏せられたが、個々の状況について調査を進めると語った。また、ブロナーさんは、親が子供のために立ち上がる必要があるとして、「多くの場合、子供たちは家庭環境や家族、友人、地域社会から影響を受けます。教育省としては、学習者が生産的で法を遵守する市民になるよう、自信と希望、そして良い価値観を教育の場で与えていくように努めなければなりません」と付け加えた。
ケープタウンでもギャングの抗争などが発生し、治安が悪い地区・ケープフラット(Cape Flat)のアビー・アイザックス(Abie Isaacs)安全フォーラム議長は、同地区について失業、貧困、家庭崩壊といった問題が多々あることを述べ、「子供たちはいい身なりをして大金や高級車を持っているギャングリーダーたちを憧れの対象にしてしまう。ギャングのリーダーからは、人を殺せばお金が入ると教えられる。そういった環境が子供たちの考えを変えてしまっている」と説明した。
元ギャングで現在は牧師をしているレオン・ジェイコブス(Leon Jacobs)さんは、まず問題の根源を特定する必要があるとして、次のように主張した。
「ギャングに憧れる子どもたちは、誤った場所で自己肯定感を得ようとしています。その背景には、自分を認めてもらえないことや、特に父親の不在があると考えられます。」
しかし現在、その考えも時代遅れとなりつつあると指摘されており、レオン牧師は「両親を持つ子供たちですらギャングメンバーに入ってしまう。親は存在していても、義務を放棄していることが要因です」と教育省同様、親の介入を提言している。レオン牧師は対策の一つとして、こういった子どもたちを青少年センターに連れて行き、ギャングに所属している子供たちの末路を見せるべきだとアドバイスした。
ちなみにこの児童の回答に対し、教師は「not ideal(理想的ではない)」と記して、10点満点中4点をつけた。
画像は『Jacaranda FM 「Grade 3 learner: “One day I am going to be a gangster...”」(iStock/romrodinka)』『Cape Town ETC 「‘One day I will be a gangster and have a gun in my hand’, says Grade 3 pupil」(Picture: Social Media)』より
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)
記事提供元:テックインサイト
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