「Mリーグ」開幕直前! EARTH JETS・逢川恵夢(あいかわ・めぐむ)「今年Mリーガーになれなきゃ、いつなれるんだ――そんな気持ちでした」
EARTH JETS・逢川恵夢選手。「永世女流雀王」を冠する〝清楚系〟女流雀士が 新規チームで大暴れ!?
麻雀プロリーグ「Mリーグ2025-26シーズン」が9月15日に開幕する。新規チームが参戦し、試合数もマシマシになった今シーズン、目覚ましい活躍を見せるのは誰なのか?
今シーズンから新規参入する「EARTH JETS(アース・ジェッツ)」に指名された、逢川恵夢(あいかわ・めぐむ)選手は、所属する日本プロ麻雀協会の女性トップタイトル「女流雀王」を5度制覇し、「永世位」を獲得した女流きっての実力派雀士だ。
彼女の胸には、団体トップ選手としての責任、そして幼少期に自分を育ててくれた、祖母への思いがある――。
■複雑な家庭環境と麻雀との出合い――逢川選手は、幼少期の家庭環境が複雑だったと聞いています。
逢川恵夢(以下、逢川) 父は無職、母がスーパーのパートタイマーだけで私と弟を含めた一家4人を育ててくれていました。両親の仲はずっと悪くて、子供の頃はよく近所に住むおばあちゃんの家でごはんを食べていましたね。だから私、おばあちゃん子なんですよ。
そこから弟が高校を卒業するタイミングで両親は離婚し、そのときに住んでいた家も売り払って、一家離散となりました。ひとり暮らしをするようになって、最初はパチンコ店で働いていたんです。
でも、もう少し稼ぎたいなと思っていたときに求人雑誌で「週1からOK」というお店を見つけて、それが麻雀店でした。パチンコ店のバイトが休みの日に、麻雀店で働くというサイクルです。
今思うと、もう少し裕福な家庭で育って、一家離散とかもなければ、麻雀に出会うことはなかったかもしれません。
――そこから麻雀にのめり込んだと。
逢川 はい。お店の人に教えてもらっているうちに「楽しいな」と思うようになって、パチンコ店を辞めて麻雀店一本で働くようになりました。
本や実戦で勉強を重ねるうち、周りから「プロに向いているんじゃないか」って言われたんですよ。それに乗せられる形で私もその気になっちゃって。2011年に麻雀プロになりました。
――プロになってすぐ、新人王のタイトルを獲られました。そのときには、現在Mリーグで好成績を残している仲林圭(当時、中林啓)選手を倒したとか。
逢川 そうです! 「あの仲林をやっつけたことがある女」で売り込んでいます(笑)。
■Mリーガーになるために人生をかけた年――今年、日本プロ麻雀協会の女流雀王戦で通算5期目の制覇を果たし、協会では史上初となる、「永世位」を獲得しました。それだけの実績を残したからには、やはりMリーガーになりたい気持ちはありましたか?
逢川 もちろん。それは協会も同じだったんじゃないかな。というのも、協会所属の女流Mリーガーって私が初なんですよ。
3回目の女流雀王になったくらいのときから次のMリーガー候補として私の名前が挙がるようになって、4回目の優勝をしたときに、協会がそれまでなかった「永世位」をつくるよう動いてくれたんです。
私をMリーガーにするための〝箔〟をつけたかった、と言ってしまうとさすがに言いすぎですが。
――そして今回、見事に指名されることになりました。
逢川 「今年(Mリーガーに)なれなきゃ、いつなれるんだ」くらいの気持ちでしたね。今年は絶対に勝たないといけないと思って、人生を変えるつもりで(女流雀王)決定戦に臨みました。
「人生のターニングポイントはいつですか」って言われたら、間違いなく今年の決定戦です。普段は押さないような牌も押して、勝利をもぎ取りました。よく頑張ったと思います。
――協会の女流を代表する選手としてMリーグを戦うことになります。
逢川 協会の後輩からはけっこうプレッシャーをかけられていました。「逢川さんがなれなかったら、私たちの番にならないんだから、早くMリーガーになってくれ」ってケツを叩かれていましたよ(笑)。
でも、実際にそうだと思っていますし、もしMリーグの舞台でふがいない成績しか残せなかったら、後の人の道が途絶えてしまう。勝たなければいけないプレッシャーをすごく感じています。
■大事な人にまだ、伝えていないこと――開幕を控えて、今の心境はいかがですか。
逢川 いつもどおりの麻雀が打てたら十分戦えると思っていますけど、実際に打ってみないとわからないな、というのが正直なところです。先にMリーガーになった方たちの中には、最初は緊張で手が震えた人もいるって聞きます。
Mリーガーになりたい気持ちを長く、強く持っていた分、私もそうなるかも。そしたら、〝いつもどおりの麻雀〟が果たして打てるのか、という不安はあります。
――ただ、アースジェッツのキックオフイベントで「350(個人ポイント)勝つ」とおっしゃっていました。MVPを狙える成績です。
逢川 実は、ちょっとインフレしていまして、今は「500勝つ!」って言っています(笑)。
タレント・インフルエンサー枠ではなく実力派の女流として選ばれた、と自負する逢川選手。Mリーグの舞台でもきっと活躍するはず!
――MVPを獲る!ってことですね。
逢川 そうですね。あとは今シーズンから最多勝のタイトルができたので、それも獲りたいです。だからいっぱい打つ!
――Mリーガーになって、ご家族の反応はいかがですか。
逢川 実は、おばあちゃんにはまだ言っていないんです。今は施設にいるのと、おばあちゃんは昔かたぎの人で、麻雀にあまり良くない印象を持っているので、プロになったことも言えませんでした。
でも、自分の口からちゃんと、おばあちゃんに伝えたいですね。そして、私が打っている姿を見てもらいたい!
――最後に、協会での逢川選手のキャッチコピーは「令和生まれの清純派」ですが、コレ、どうするんですか?
逢川 いやあ、私もどうかと思っていますよ(笑)。ただ、(アースジェッツの)川村(芳範)監督が「清純派」を気に入っていまして......とりあえず私の1戦目を楽しみにしてください。そこで年齢を公開したなら、令和生まれが本当かどうかもわかりますので!
●逢川恵夢(Megumu AIKAWA)
大阪府出身。日本プロ麻雀協会所属のプロ雀士。2025年、同団体の女流の頂点を決める女流雀王戦で、前人未到の通算5期の優勝を果たし、「永世女流雀王」を獲得。その功績などが認められ、Mリーグの新規参入チーム「EARTH JETS」(アース製薬)からドラフト3位で指名を受けた。ちなみに日本プロ協会のホームページの選手紹介の欄には「令和生まれの清純派」と書かれている
■9月15日開幕! Mリーグ2025-26
麻雀プロリーグ「Mリーグ」。8年目を迎える今シーズンは新チーム「EARTH JETS」を加えた計10チームで開催。試合数は昨シーズンの全216試合から全300試合に増加し、また、以前までは1日1卓を使用した2試合の実施だったが、今シーズンから一部期間で、1日2卓を使用し、それぞれ2試合ずつの計4試合が実施される。さらに広がりを見せるMリーグは、全試合を「ABEMA」が独占生中継する
取材・文/東川 亮 撮影/高橋定敬
記事提供元:週プレNEWS
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