“鬼”が日本に帰ってきた キム・キョンテが2年ぶり国内ツアーへ「一生懸命戦う」
<カシオワールドオープン 事前情報◇20日◇Kochi黒潮カントリークラブ (高知県)◇7350ヤード・パー72>
国内男子ツアー通算14勝を挙げ、その強さから“鬼”と呼ばれた男、キム・キョンテ(韓国)が約2年ぶりに日本に帰ってきた。
2008年から日本ツアーに参戦すると、10年には「日本オープン」を含む年間3勝を挙げ韓国人として初の賞金王に輝き、15年には自己最多となるシーズン5勝をマークし、2度目の賞金王となった。そして、今大会は19年に制しており、その資格を行使して出場する。
日本、韓国、アジアンツアーの共催大会となる「Shinhan Donghae Open」には出場していたものの、“空白”の2年間はどのように過ごしていたのか。右背中の痛みにより練習もままならない状態で「2年間、(ゴルフを)やる気力が無かった」と、まさに満身創痍。痛みを庇いながらのスイングでは、かつての動きとは程遠く「気持ちも落ちてきてしまった」とゴルフと距離を置いてしまった。
去年は、韓国ツアーを主戦場に戦ったものの、出場試合は「半分も出られなかったし、その半分が棄権だった」と戦える状態ではなかった。さらに今季の春先までは「全然ダメだった」と長いトンネルの中にいた。あらゆる治療を施したものの、回復の兆しが見えなかったが、今年の6月になると「体重が戻ったことが1番かな」と、一時は68キロまで落ちた体重も78キロまで増えたことで、体調は回復に向かった。それでも「理由は分からない」と本人も困惑気味だ。
体重が増えると、ヘッドスピードも飛距離もアップ。260ヤードまで落ち込んだ飛距離も280ヤード、振ったら290ヤードまで飛ぶようになった。そうすると必然的に「やる気がでてきた」とゴルフ熱が再燃。さらに、「ショットも良くなってきて、試合に出たいと思っていたところ、そのタイミングでこの試合から連絡が来た。パターの調子は悪いけど、日本のグリーンで練習したら感覚が戻るんじゃないか」と戦いの場として、選んだのは19年大会を制して以来の高知であった。
キョンテは「生涯獲得賞金上位25位以上」の資格を持ち合わせているが、まだ行使はしていない。「来年は使わない。頑張ったら再来年に」と再びの日本ツアー参戦を目指し、まずは今大会が試金石になりそうだ。
火曜日に久しぶりにKochi黒潮CCを回ったが「変わったところは無い」と当時の記憶のまま。ただ、「ほとんど分からない」と、2年離れた間に大きく変わったことは選手の顔ぶれだ。初日は金子駆大、鈴木晃祐との組み合わせ。「ショットメーカーだと聞いたので、楽しみにしています」。20代前半の選手とのラウンドを心待ちにしているようだ。
「Shinhan Donghae Open」の時には「何人か来られていてびっくり。『日本にいつ戻りますか』と言ってくれて、そういうのを大事にしている」と日本人ギャラリーとのたわいもない会話もキョンテにとってはうれしい出来事であった。「一生懸命戦うので、応援よろしくお願いします!」と日本のファンに向けて一言。かつての“鬼”が、復活に向けて再び動き始めた。(文・齊藤啓介)
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