アイアンシャフトをカーボンに替えるとき、重量と硬さは同じか? 上げるか? 下げるか?【フィッターに聞いた】
アイアンのシャフトをスチールからカーボンに替えるときは重量、硬さに注意。同じ重量、同じフレックスにするととんでもないことになる!? ツアープロのクラブも担当するフィッター兼クラフトマンの吉田智氏が解説する。
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アイアンのシャフトをスチールにするか、カーボンにするかで迷っている人も多いのではないでしょうか。まず、カーボンシャフトのメリット、デメリットを整理しておきましょう。
最大のメリットは、スチールより振動吸収性が優れているので、ケガをしにくいことです。これは私の経験ですが、実は高校時代、野球をやっていて、ヒジの靱帯を2回切っているほか肩もボロボロで、ゴルフを始めた頃はボールを打つたびに痛みを覚えていました。
ところが、カーボンシャフトに替えてから、その痛みが一切なくなり、ボールを打つ恐怖も消えました。私のように古傷はなくても、ゴルフをやっているとヒジや手首、指の付け根などが痛くなることが多いのですが、カーボンはスチールよりもそういう故障をしにくいといえるでしょう。
一方、デメリットは、しなり戻りが早いので、スチールのような粘り感が出にくい点です。特に、110~120gなど重い重量帯になると、カーボンの場合、しなり戻りがさらに強くなってくるので、飛距離は出るけど、ボールをコントロールしにくくなってしまいます。力のある男子の若手プロたちのほとんどがスチールシャフトを手放さないのもこれが理由です。
ただ最近は、そんなデメリットを補ったカーボンシャフトも出始めています。例えば、フジクラの「トラヴィルアイアン」は、中間層にゴムを入れることによって、スチールの粘り感を出しています。“ダルくしなり戻る”(これは私の表現です)。ダイナミックゴールドを使っているけど、スペックダウンをしたいという人には、けっこうハマると思います。
最後に、実はこれがとても大事なのですが、スチールからカーボンシャフトに替えるときのポイントをご紹介します。今使っているスチールシャフトが気持ち良く振れているのなら、同じしなり方をするカーボンを見つけることが大事です。できるだけ振り心地を変えないようにしましょう。また、カーボンシャフトの場合、スチールよりも重く、硬く感じることがあるので、重量、フレックスともに1つ落とすことをオススメします。
例えば、『N.S.PRO 950GH』のフレックスSを使っている場合は、カーボンシャフトは重量85gのSRにするといったような選び方をしましょう。そうしないと、振りづらくなると同時に、体にも負担がかかり、何のためにカーボンに替えたのかが分からなくなってしまいますよ。
■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼されて、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートする。
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最近、世界のトップ女子プロは『ちょい軽アイアンシャフト』を愛用しているらしい。関連記事【古江彩佳やリディア・コら世界のトップ女子プロは『ちょい軽アイアンシャフト』で、高弾道に打っていた!】を読めば、その秘密がわかります。
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