“枝豆の王様”だだちゃ豆と仙台名物“ずんだ餅”をアメリカ夫婦が学ぶ:世界!ニッポン行きたい人応援団
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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ニッポンに行きたくてたまらない外国人を世界で大捜索! ニッポン愛がスゴすぎる外国人をご招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」(月曜夜8時)。
今回は、アメリカ人の初来日の様子をお届けします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
紹介するのは、アメリカ在住の「枝豆」を愛するポールさん、シェリーさん夫婦。
初夏から秋にかけてニッポンの食卓を彩る「枝豆」。近年、海外でも日本食ブームやベジタリアン向けのメニューとして人気の食材に。「すし」や「天ぷら」と同じく「EDAMAME」と、日本語のままで愛されています。
枝豆は豆腐の原材料である大豆と同じ豆で、完熟すれば「大豆」、未成熟のまま収穫したものが「枝豆」。江戸時代の浮世絵には枝豆売りの姿が描かれ、枝付きで売られていたことから「枝豆」という名前になったそう。そこから品種改良を重ね、ビールのおつまみとして常に上位にランクされる国民的人気食材に。
ポールさんとシェリーさんは、枝豆Tシャツを自作するほどの枝豆好きで、自家栽培もしています。ポールさんは酪農の仕事の傍ら、シェリーさんが持つ農地の一角に種を蒔き、フルーツと共に枝豆を栽培。その広さはバスケットコート約5面分の600坪! 1カ月後に収穫を迎えます。
枝豆を作り始めたきっかけは、約30年前。栄養士のシェリーさんは、仲間が作ったサラダで枝豆を初めて食べ、衝撃を受けたとか。そこで、美味しい枝豆を毎日でも食べたいと一念発起。大豆の種を購入し、畑で栽培を始めました。
収穫した枝豆は、美味しさを分かち合おうと売ることに。最初は見向きもされませんでしたが、諦めずに毎年作り続けているうちに、現地在住の日本人の口コミで広まったとか。
ニッポンにはまだ一度も行ったことがないというポールさんとシェリーさん。酪農の仕事は年間を通じて忙しく、広大な畑の管理もあって行くことができなかったそう。
そんな中、ポールさんは、種を蒔いても芽が出ない場所があると悩んでいました。「ニッポンの枝豆農家さんから栽培方法の技術を基礎から学びたい」と話します。
シェリーさんは、ニッポンで枝豆がどのような料理として食べられているのか知りたいそうで「ニッポンの枝豆販売事情と枝豆料理のレシピを習いたい」と願っています。
そんなポールさんとシェリーさんを、ニッポンにご招待! 念願の初来日を果たしました。
向かったのは「だだちゃ豆」の産地・山形県鶴岡市。だだちゃ豆とは、鶴岡市周辺の限られた地域のみで生産されるブランドで、独特の甘みと濃厚な風味、希少性から「枝豆の王様」と呼ばれることも。
来日した8月は、まさにだだちゃ豆の収穫期。2人の熱意を伝えたところ、1年で最も忙しい時期にもかかわらず「小池喜左衛門ファーム」の小池貴士さんご一家が快く受け入れてくださいました。
1970年代からだだちゃ豆を作り始めた小池ファーム。鮮度にこだわり、朝収穫して午後までに袋詰めをしただだちゃ豆を、全国の予約購入者へ直送しています。市場に出回らないため「幻の枝豆」と呼ばれることも。鶴岡市のふるさと納税「豆類返礼品」でも堂々の1位!
早速「幻の枝豆」をいただくと、「アメリカの枝豆とは違って、断然風味が濃厚です」とポールさん。シェリーさんも「口の中に香りがいつまでも残って最高ですね」と大絶賛!
極上のだだちゃ豆がどのように作られているのか、見せていただくことに。
翌日、早朝から畑に向かうと、収穫期を迎えただだちゃ豆が! 小池ファームの枝豆畑は、この場所を含めて3カ所。全部合わせると、東京ドーム以上の面積に。
ここでシェリーさんが、収穫のタイミングを質問。貴士さんによると、畑の中に入って豆の厚みを見るそうで、さやの厚みが8ミリ以上になれば収穫できるそう。葉が黄色く色づいてくるのもサインだとか。
だだちゃ豆には品種が8つあり、小池ファームはそのうち6種を栽培。7〜9月の収穫期に6種が被らないよう,種を蒔く時期を少しずつずらしています。
さらに「なぜこの土壌や環境で栽培されるだだちゃ豆は美味しく育つのですか?」という質問も。鶴岡市は日中と夜の寒暖差が大きく、光合成で得た栄養を蓄え、朝露に包まれることで旨みを凝縮させるのだとか。7時半には朝露が消えてしまうため、早朝から作業を始めているのです。
収穫作業を見学させていただくことに。質の悪いものが含まれないよう、枝から外して収穫。独自の規格で厳選し、品質を均一にして袋詰めに。鮮度を大事にするため、収穫にはスピードが要求されます。
2人も収穫をお手伝い。こうなることを想定して国際免許を取得したそうで、コンバインに初挑戦! 農業機械の運転には慣れているようで、すぐにコツをつかめたよう。
次は、ポールさんの「種を蒔いても芽が出ない」という悩みを解決すべく、種蒔きの秘密を教えていただきます。
小池ファームでは、前の年に種用として収穫した豆を、土を敷いたトレーに蒔いて発芽させ、約15センチの大きさになるまでビニールハウスの中で育てます。畑に種を直蒔きするのではなく、苗まで育てて移植するので、ほぼ全てが収穫できるように。
移植の際も、枝豆移植機が苗をつまんで植えつけてくれます。ポールさんは「この機械があれば聞単ですね」と感動!
続いて行うのが「くらかけ」。畑に植えた苗が育つのに伴い、土を盛る作業です。盛った土の中に空気が送り込まれることで、微生物が活性化して根が増える他、溝が雨水の排水効果を生むなど、とても大切な作業です。
このくらかけを、生育期間中に計4回。最終的には30センチほど盛り土をします。土を盛る作業はしていなかったという2人ですが「戻ったら検討したいと思います」とポールさん。
さらに、だだちゃ豆をより美味しくするとっておきの秘訣が。収穫前の豆が一番太る時期に、肥料としてカツオをすりおろしたエキスをかけるのです。アミノ酸を多く含んだカツオエキスを吸収することで、より一層芳醇な味わいになるそう。
作業が終わると、ご自宅へ。貴士さんの母・美保さんから、一番美味しいだだちゃ豆の茹で方を教えていただきます。
まずは、水洗いから。だだちゃ豆のサヤには、茶色いうぶ毛がびっしり。口に含んだ時に残らないよう、うぶ毛を揉んで落とします。
茹でる時の水の量は、ひたひたに。「水が多いと豆の旨い味も全部逃げちゃう」と美保さん。豆に塩味を施すため少し塩をふり、水から強火で茹で始めます。フタをして沸騰してきたら、プシュプシュとさやが開く音が。これが茹で上がりの合図です。
豆の旨みが溶け出さないよう固茹でにしたら、余熱で柔らかくならないよう氷水で締め、美味しい食感をキープ。塩を小さじ2入れると、甘みが一層引き立ちます。
続いて、新聞紙とキッチンペーパーを重ねた上に豆を広げ、扇風機の風を当てます。水っぽくならないように紙で水分を吸収し、風で粗熱をとったら出来上がり。
さらに、枝豆料理のレシピも伝授していただきます。枝豆と玉ねぎのかき揚げは、薄力粉と卵を溶き入れてふんわり混ぜ合わせ、ばらばらにならないように油の中へ。かき揚げは初めてだというシェリーさんも、上手にできました。
だだちゃ豆の炊き込みご飯は、お酒に醤油、塩、砂糖を入れて沸騰させ、冷ましただし汁を使います。お米はもちもちにするため、餅米を1割。シェリーさんは炊飯器を持っていませんが、鍋やフライパンでも炊けるとのこと。
だだちゃ豆を入れ、炊き上がるといい匂いが。試食したシェリーさんは「ご飯とだだちゃ豆の甘さのコンビネーションが素晴らしいです」と感動!
料理の後は、2人の歓迎会。テーブルには、教わった炊き込みご飯やかき揚げの他、だだちゃ豆で作った味噌を使った味噌汁やもろきゅうも。美味しい料理に舌鼓を打ち、皆さんと楽しいひとときを過ごしました。
この日は、収穫しただだちゃ豆の選別をお手伝い。収穫後はすぐに鮮度が落ち始めるため、スピードが勝負!
まずは葉や茎などを取り除き、さやの膨らみが足りないものをはじきます。ぷっくりと成長した豆だけが次の行程へ。
洗浄マシンで泥やうぶ毛が洗い流され、遠心分離機で約1分脱水。以前は水をため、手でかき混ぜて洗っていたそう。
続いて、機械で規格外のものを判別。自動でエアーを噴射し、はじいてくれます。とはいえ量が多く、通過してしまうものもあるので、熟練の目でチェック。2人も選別作業に挑戦します。
美保さんによると、2個入るはずのサヤに1個しか入っていないもの、中の豆が見えるものは除いているそう。他にも、茶色く変色したものや虫食いがあるものなど、商品として見た目の良くないものは目視で取り除きます。「素晴らしい品質管理だと思います」とシェリーさん。
こうして通過しただだちゃ豆の袋詰めにもこだわりが。500グラムと表示はしているものの、10グラム以上はおまけしているそう。
封をする前、さらに検品を。見た目が良くない豆があれば、同じ数だけ正品の豆と入れ替え。袋詰めした後の検品まで徹底して、ようやく商品になるのです。
その後、貴士さんが2人にどうしても食べさせたいと、市内のラーメン店「つるおか家」へ。実はこちらの麺には、だだちゃ豆が入っています。フリーズドライのだだちゃ豆の粉末をミックスし、試行錯設の末に完成させたそう。帰り道は、貴士さんの父・貢さんの農場にもお邪魔し、スイカをいただきました。
別れの時。「一緒に過ごした時間は夢のようでした」(シェリーさん)、「だだちゃ豆の栽培を学ぶことができ、感謝しています」(ポールさん)と思いを伝え、シェリーさんデザインの枝豆Tシャツを渡します。
すると貴士さんから、2人の名前が入っただだちゃ豆のマグカップのプレゼントが! さらに、プリザーブドフラワーと記念写真も。
美保さんからは枝豆ご飯を炊く土鍋をいただき、大喜びのシェリーさん。「枝豆ご飯を炊いたら写真を送ります」と約束しました。
「小池ファーム」の皆さん、本当にありがとうございました!
続いて向かったのは、宮城県仙台市。枝豆を使った伝統的スイーツ“ずんだ”の作り方を学びたいと、やってきました。
宮城県を代表する郷土料理「ずんだ餅」は、枝豆をすり潰し、砂糖と塩を加えた餡を餅に絡めた和菓子。甘い枝豆の風味と味わいがやみつきになると、ずんだ餡を使ったヒット商品も続々誕生しています。
2人を受け入れてくださったのは、創業76年の「エンドー餅店」。名物「づんだ餅」はお菓子の博覧会で農林水産大臣賞を受賞。地産地消にこだわり、枝豆や餅米は全て宮城県産です。お店に入ると、三代目店主の細谷ひろみさん、長女の有希さん、次女ののり子さんが出迎えてくださいました。
お店で一番という「極みづんだ餅」をいただいた2人は、「とても美味しいです!」「素晴らしい味です!」と大絶賛。使っているのは「秘伝豆」という枝豆で、甘み、香り、味わいすべてに優れているそう。東北地方のみで栽培されているため、生産量も少ない極上の枝豆です。
早速、づんだ餅の作り方を、職人歴10年の佐藤祐介さんに教えていただきます。
「極みづんだ」の材料は、秘伝豆のむき豆と塩と砂糖のみ。砂糖は和菓子に合うといわれる上白糖、塩は海水を平釜で煮詰めた石巻産「伊達の旨塩」です。
まずは秘伝豆を8分間せいろで蒸し、薄皮を剥きます。すり潰した時の舌触りを良くするために重要な工程。
皮むきが完了したら、ペースト状になるまで潰します。普段は大型ミキサーで潰しますが、今回はアメリカでも手作りできるように、すりこぎとすり鉢で。粗めにつぶしたところで塩と砂糖を加え、滑らかになるまでおよそ30分。これでずんだ餡が完成。
次は、お餅。餅米は宮城県石巻産「みやこがねもち」。上品な甘みと香り、粘りとコシがあり、“餅米の王様”とも呼ばれています。
蒸したもち米を杵でつき、柔らかいお餅にしたら、ここからが職人の腕の見せ所。あっという間に、一つ20グラムの一口サイズにしていきます。このお餅にずんだ餡を乗せれば、「極みづんだ餅」の出来上がり。「出来立ての新鮮な香りが最高です」とシェリーさん。
さらに、アメリカでも作れるアレンジレシピも。ひろみさんから、春巻きの皮でスライスチーズとずんだ餡を巻いて揚げた「ずんだ春巻」を教えていただきました。
その夜は、次女・のり子さんのお宅で夕食をご馳走に。仙台名物の牛タンや、宮城名産「白石うーめん」を使った“流しうーめん”を楽しみました。
別れの時。「ずんだの体験で枝豆の知識が深まり、アメリカでも広めたいです」とシェリーさん。ポールさんも「全ての素晴らしい体験に感動しました」と伝えます。
最後にひろみさんが、「これでずんだを作ってください」と、すりこぎとすり鉢をプレゼント! ポールさんとシェリーさんは枝豆Tシャツをプレゼントし、喜んでいただきました。
「エンドー餅店」の皆さん、本当にありがとうございました!
枝豆を通じて、様々な出会いがあったニッポン滞在。実はニッポン到着の日、2人は空港内の和食レストランに直行! ビールと“とりあえず枝豆”を楽しんでいました。
帰国後、ポールさんから枝豆収穫の報告が。シェリーさんは、お土産にいただいた土鍋で作った枝豆ご飯を見せてくれました。
最後に2人は「枝豆を作るための体験を楽しめたことは、本当に興奮して一生の思い出になりました」(ポールさん)、「今回招いてくれた方、出会った皆さんと永遠に友達でいられることを願っています」(シェリーさん)と語ってくれました。
続いて紹介するのは、アメリカ在住の「竹垣」を愛するマークさん。
格調高く竹を組み上げ、空間を仕切りながら景色と調和する「竹垣」。複雑なものだと、幅1メートルあたり20万円を超えるものもある、職人技の結晶です。様々な組み方があり、その種類は50以上!
マークさんは20年前、全米竹協会の会長と知り合い、竹の素晴らしさのとりこに。竹垣専門の会社を作り、竹垣職人としてのキャリアは10年。「建仁寺垣」や「御簾垣」などを作ってきました。
しかし、ニッポンで勉強したことがなく「職人さんから正しい知識を教えてもらい、従業員のみんなに教えてあげたいんです」と話します。
そんなマークさんを、ニッポンにご招待! 7年前に初来日を果たしました。
向かったのは、紅葉の京都。実はマークさん、アメリカ・オレゴン州ポートランドの日本庭園で、竹垣の指導をした職人・三木崇司さんにぜひ会いたいと願っていました。その熱意を伝えたところ、会ってくださることに!
三木さんは、創業147年の「三木竹材店」五代目。世界遺産の二条城をはじめ、京都御所など名だたる名所を手がける名工です。
マークさんにぜひ見てもらいたいと案内してくださったのは、真竹の竹林。約600種類が自生するニッポンの竹の中でも、丈夫でしなやかな真竹は竹垣に最も多く使われています。
10年の修行を経て一人前といわれる、竹の伐採。まずは選別から。高さ20メートルになる竹でも、根の深さは地面からわずか30センチほどしかなく、隣同士支えあっていないと倒れてしまうものも。3〜5年目の切り頃であっても、支えとなる竹は切らずに残すのが鉄則です。
竹を選んだら、根本の傾いている方から半分まで刃を入れ、残り半分は逆側から。切った後は、高さ20メートルの竹の下部分を抱え、一直線に走りながら地面に倒します。マークさんは「信じられない迫力です!」とびっくり!
マークさんも、貴重な真竹を特別に切らせていただきます。力技でなんとか倒すことができましたが、「まだまだ練習が必要ですね」とマークさん。
竹は切ったあと、すぐに枝を切り落とす必要が。これは、長い下積みを経て初めて任される作業。通常3年間は先輩が切った竹を運び、刃物を持たせてもらえないとか。
伐採した竹は工場に運び、丁寧に水洗い。その後「菊割り」と呼ばれる専用の道具で割っていきます。菊割りの刃の数や大きさは様々。材料となる竹のサイズに応じて使い分けます。竹の芽の部分に刃を当てると、真っ直ぐに割れるそう。
マークさんも挑戦させていただき、「道具の重さで竹を割るので、竹を曲げずに真っ直ぐに切れるのが素晴らしいです」と感動!
翌日は、三木さんの工房へ。実はマークさんには、長年作りたくても作れなかった憧れの竹垣がありました。
それは、京都の光悦寺の竹垣を原型とし、最高峰の技術が使われている「光悦寺垣」。支柱には1本の竹を割って短冊にしたものを隙間なく合わせ、「肩」と呼ばれる曲線部分はカーブに合わせて竹を幅8ミリに割り、組み直すという精密な構造。江戸時代の芸術家、本阿弥光悦が曲線を描く優美な竹垣を好み、作らせたのがその名の由来です。
竹垣の中でも屈指の難易度だという光悦寺垣を、三木さんが特別にレッスンしてくださることに。すでに半面は三木さんが作ってくださっているため、残りを一緒に作ります。
作るのは、肩巻きの部分と親柱の部分。本来、職人技の詰まった内部の構造は秘密なのですが、今回は特別に見せていただけることに。13年間憧れ続けた光悦寺垣の作り方を、しっかりと目に焼き付けます。
マークさんは、一番難しいカーブの部分に挑戦。少しずつ仮止めしながら、幅8ミリの竹を沿わせていきます。ねじれないようにするコツは「こまめに直すこと」と三木さん。
細かい作業に悪戦苦闘しながらも、3時間かけて完成。長年の夢が叶い、「今までこんなに細部まで美しい竹垣は作ったことがありません」と感動するマークさんでした。
別れの時。マークさんは感謝の気持ちとして、竹垣をデザインしたTシャツや、竹で作った鳥の巣箱などを皆さんに。すると三木さんから、竹垣職人にとって大事な菊割りのプレゼントが。マークさんは「ずっと大事に使わせていただきます」と伝え、三木さんとハグを交わしました。
あれから7年、三木さんのもとへ。実はマークさん、ご招待の後も2度来日。竹の加工のお手伝いをしてくれたそうで、現在も連絡を取り合っているとか。
そんな三木さんですが、2020年1月に火事に見舞われ、作業場以外の自宅と倉庫が全焼。100年以上保管してきた貴重な竹や納品予定のものなど、すべてを失ってしまいました。
加えて火事の直後、世間はコロナ禍に。そんな状況でも竹垣づくりを続けてこられたのは、京都の方々の協力があったからこそ。幸いにも機械や道具は燃えなかったため、竹屋さんから材料を分けていただき、仕事を少しずつ再開。去年7月には、ついに新社屋が完成し、マークさんに「ぜひ遊びに来てください」とメッセージを送りました。
一方、アメリカのマークさんからも報告が。ニッポンでの経験を糧に、竹垣作りが大きく進歩。作れる竹垣の種類も格段に増えたそう。
そして、三木さんから竹垣を学んで技術が向上したことで、大きな仕事が。シアトルの日本庭園で鉄砲垣を作った他、フロリダのディズニーワールドからも発注があったとか。
最後にマークさんは、「三木先生を見習って、これからも竹垣づくりに励みます! またお会いしましょう」とメッセージを送りました。
マークさんをニッポンにご招待したら、竹垣づくりの技術が格段に向上し、アメリカ中に竹垣を広める夢に向け、頑張っていました!
月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
▼“いかめし”愛す南アフリカ人
番組初!南アフリカから“いかめし”作りに情熱を注ぐクレシャンさんをご招待 北海道・森町の駅弁として誕生し京王百貨店新宿店で毎年1月に催される「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」で実演販売個数ランキングで50年連続1位 初の殿堂入りを果たした「元祖いかめし阿部商店」で使うイカの最適サイズやお米の配合、米詰めの具合や煮る方法まで秘伝の作り方を教えてもらう!
▼スルメイカを釣るため大海原へ!
自分で釣ったイカで“いかめし”作りたい!
とイカの街・函館へ。神龍丸船長・木村さんに協力してもらいイカ釣りをすることに! 念願叶い自分で釣ったイカでの“いかめし作り”はできるのか?
▼いかめし作りに最適な鍋が欲しい!
銅板を何万回も叩いて制作する“鎚起銅器”の工房へ。熱伝導率が良く素早く煮える鎚起銅器づくりの職人技を目の当たりに!
今回は、アメリカ人の初来日の様子をお届けします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
だだちゃ豆の生産法とずんだ餅の作り方
紹介するのは、アメリカ在住の「枝豆」を愛するポールさん、シェリーさん夫婦。
初夏から秋にかけてニッポンの食卓を彩る「枝豆」。近年、海外でも日本食ブームやベジタリアン向けのメニューとして人気の食材に。「すし」や「天ぷら」と同じく「EDAMAME」と、日本語のままで愛されています。
枝豆は豆腐の原材料である大豆と同じ豆で、完熟すれば「大豆」、未成熟のまま収穫したものが「枝豆」。江戸時代の浮世絵には枝豆売りの姿が描かれ、枝付きで売られていたことから「枝豆」という名前になったそう。そこから品種改良を重ね、ビールのおつまみとして常に上位にランクされる国民的人気食材に。
ポールさんとシェリーさんは、枝豆Tシャツを自作するほどの枝豆好きで、自家栽培もしています。ポールさんは酪農の仕事の傍ら、シェリーさんが持つ農地の一角に種を蒔き、フルーツと共に枝豆を栽培。その広さはバスケットコート約5面分の600坪! 1カ月後に収穫を迎えます。
枝豆を作り始めたきっかけは、約30年前。栄養士のシェリーさんは、仲間が作ったサラダで枝豆を初めて食べ、衝撃を受けたとか。そこで、美味しい枝豆を毎日でも食べたいと一念発起。大豆の種を購入し、畑で栽培を始めました。
収穫した枝豆は、美味しさを分かち合おうと売ることに。最初は見向きもされませんでしたが、諦めずに毎年作り続けているうちに、現地在住の日本人の口コミで広まったとか。
ニッポンにはまだ一度も行ったことがないというポールさんとシェリーさん。酪農の仕事は年間を通じて忙しく、広大な畑の管理もあって行くことができなかったそう。
そんな中、ポールさんは、種を蒔いても芽が出ない場所があると悩んでいました。「ニッポンの枝豆農家さんから栽培方法の技術を基礎から学びたい」と話します。
シェリーさんは、ニッポンで枝豆がどのような料理として食べられているのか知りたいそうで「ニッポンの枝豆販売事情と枝豆料理のレシピを習いたい」と願っています。
そんなポールさんとシェリーさんを、ニッポンにご招待! 念願の初来日を果たしました。
向かったのは「だだちゃ豆」の産地・山形県鶴岡市。だだちゃ豆とは、鶴岡市周辺の限られた地域のみで生産されるブランドで、独特の甘みと濃厚な風味、希少性から「枝豆の王様」と呼ばれることも。
来日した8月は、まさにだだちゃ豆の収穫期。2人の熱意を伝えたところ、1年で最も忙しい時期にもかかわらず「小池喜左衛門ファーム」の小池貴士さんご一家が快く受け入れてくださいました。
1970年代からだだちゃ豆を作り始めた小池ファーム。鮮度にこだわり、朝収穫して午後までに袋詰めをしただだちゃ豆を、全国の予約購入者へ直送しています。市場に出回らないため「幻の枝豆」と呼ばれることも。鶴岡市のふるさと納税「豆類返礼品」でも堂々の1位!
早速「幻の枝豆」をいただくと、「アメリカの枝豆とは違って、断然風味が濃厚です」とポールさん。シェリーさんも「口の中に香りがいつまでも残って最高ですね」と大絶賛!
極上のだだちゃ豆がどのように作られているのか、見せていただくことに。
翌日、早朝から畑に向かうと、収穫期を迎えただだちゃ豆が! 小池ファームの枝豆畑は、この場所を含めて3カ所。全部合わせると、東京ドーム以上の面積に。
ここでシェリーさんが、収穫のタイミングを質問。貴士さんによると、畑の中に入って豆の厚みを見るそうで、さやの厚みが8ミリ以上になれば収穫できるそう。葉が黄色く色づいてくるのもサインだとか。
だだちゃ豆には品種が8つあり、小池ファームはそのうち6種を栽培。7〜9月の収穫期に6種が被らないよう,種を蒔く時期を少しずつずらしています。
さらに「なぜこの土壌や環境で栽培されるだだちゃ豆は美味しく育つのですか?」という質問も。鶴岡市は日中と夜の寒暖差が大きく、光合成で得た栄養を蓄え、朝露に包まれることで旨みを凝縮させるのだとか。7時半には朝露が消えてしまうため、早朝から作業を始めているのです。
収穫作業を見学させていただくことに。質の悪いものが含まれないよう、枝から外して収穫。独自の規格で厳選し、品質を均一にして袋詰めに。鮮度を大事にするため、収穫にはスピードが要求されます。
2人も収穫をお手伝い。こうなることを想定して国際免許を取得したそうで、コンバインに初挑戦! 農業機械の運転には慣れているようで、すぐにコツをつかめたよう。
次は、ポールさんの「種を蒔いても芽が出ない」という悩みを解決すべく、種蒔きの秘密を教えていただきます。
小池ファームでは、前の年に種用として収穫した豆を、土を敷いたトレーに蒔いて発芽させ、約15センチの大きさになるまでビニールハウスの中で育てます。畑に種を直蒔きするのではなく、苗まで育てて移植するので、ほぼ全てが収穫できるように。
移植の際も、枝豆移植機が苗をつまんで植えつけてくれます。ポールさんは「この機械があれば聞単ですね」と感動!
続いて行うのが「くらかけ」。畑に植えた苗が育つのに伴い、土を盛る作業です。盛った土の中に空気が送り込まれることで、微生物が活性化して根が増える他、溝が雨水の排水効果を生むなど、とても大切な作業です。
このくらかけを、生育期間中に計4回。最終的には30センチほど盛り土をします。土を盛る作業はしていなかったという2人ですが「戻ったら検討したいと思います」とポールさん。
さらに、だだちゃ豆をより美味しくするとっておきの秘訣が。収穫前の豆が一番太る時期に、肥料としてカツオをすりおろしたエキスをかけるのです。アミノ酸を多く含んだカツオエキスを吸収することで、より一層芳醇な味わいになるそう。
作業が終わると、ご自宅へ。貴士さんの母・美保さんから、一番美味しいだだちゃ豆の茹で方を教えていただきます。
まずは、水洗いから。だだちゃ豆のサヤには、茶色いうぶ毛がびっしり。口に含んだ時に残らないよう、うぶ毛を揉んで落とします。
茹でる時の水の量は、ひたひたに。「水が多いと豆の旨い味も全部逃げちゃう」と美保さん。豆に塩味を施すため少し塩をふり、水から強火で茹で始めます。フタをして沸騰してきたら、プシュプシュとさやが開く音が。これが茹で上がりの合図です。
豆の旨みが溶け出さないよう固茹でにしたら、余熱で柔らかくならないよう氷水で締め、美味しい食感をキープ。塩を小さじ2入れると、甘みが一層引き立ちます。
続いて、新聞紙とキッチンペーパーを重ねた上に豆を広げ、扇風機の風を当てます。水っぽくならないように紙で水分を吸収し、風で粗熱をとったら出来上がり。
さらに、枝豆料理のレシピも伝授していただきます。枝豆と玉ねぎのかき揚げは、薄力粉と卵を溶き入れてふんわり混ぜ合わせ、ばらばらにならないように油の中へ。かき揚げは初めてだというシェリーさんも、上手にできました。
だだちゃ豆の炊き込みご飯は、お酒に醤油、塩、砂糖を入れて沸騰させ、冷ましただし汁を使います。お米はもちもちにするため、餅米を1割。シェリーさんは炊飯器を持っていませんが、鍋やフライパンでも炊けるとのこと。
だだちゃ豆を入れ、炊き上がるといい匂いが。試食したシェリーさんは「ご飯とだだちゃ豆の甘さのコンビネーションが素晴らしいです」と感動!
料理の後は、2人の歓迎会。テーブルには、教わった炊き込みご飯やかき揚げの他、だだちゃ豆で作った味噌を使った味噌汁やもろきゅうも。美味しい料理に舌鼓を打ち、皆さんと楽しいひとときを過ごしました。
この日は、収穫しただだちゃ豆の選別をお手伝い。収穫後はすぐに鮮度が落ち始めるため、スピードが勝負!
まずは葉や茎などを取り除き、さやの膨らみが足りないものをはじきます。ぷっくりと成長した豆だけが次の行程へ。
洗浄マシンで泥やうぶ毛が洗い流され、遠心分離機で約1分脱水。以前は水をため、手でかき混ぜて洗っていたそう。
続いて、機械で規格外のものを判別。自動でエアーを噴射し、はじいてくれます。とはいえ量が多く、通過してしまうものもあるので、熟練の目でチェック。2人も選別作業に挑戦します。
美保さんによると、2個入るはずのサヤに1個しか入っていないもの、中の豆が見えるものは除いているそう。他にも、茶色く変色したものや虫食いがあるものなど、商品として見た目の良くないものは目視で取り除きます。「素晴らしい品質管理だと思います」とシェリーさん。
こうして通過しただだちゃ豆の袋詰めにもこだわりが。500グラムと表示はしているものの、10グラム以上はおまけしているそう。
封をする前、さらに検品を。見た目が良くない豆があれば、同じ数だけ正品の豆と入れ替え。袋詰めした後の検品まで徹底して、ようやく商品になるのです。
その後、貴士さんが2人にどうしても食べさせたいと、市内のラーメン店「つるおか家」へ。実はこちらの麺には、だだちゃ豆が入っています。フリーズドライのだだちゃ豆の粉末をミックスし、試行錯設の末に完成させたそう。帰り道は、貴士さんの父・貢さんの農場にもお邪魔し、スイカをいただきました。
別れの時。「一緒に過ごした時間は夢のようでした」(シェリーさん)、「だだちゃ豆の栽培を学ぶことができ、感謝しています」(ポールさん)と思いを伝え、シェリーさんデザインの枝豆Tシャツを渡します。
すると貴士さんから、2人の名前が入っただだちゃ豆のマグカップのプレゼントが! さらに、プリザーブドフラワーと記念写真も。
美保さんからは枝豆ご飯を炊く土鍋をいただき、大喜びのシェリーさん。「枝豆ご飯を炊いたら写真を送ります」と約束しました。
「小池ファーム」の皆さん、本当にありがとうございました!
続いて向かったのは、宮城県仙台市。枝豆を使った伝統的スイーツ“ずんだ”の作り方を学びたいと、やってきました。
宮城県を代表する郷土料理「ずんだ餅」は、枝豆をすり潰し、砂糖と塩を加えた餡を餅に絡めた和菓子。甘い枝豆の風味と味わいがやみつきになると、ずんだ餡を使ったヒット商品も続々誕生しています。
2人を受け入れてくださったのは、創業76年の「エンドー餅店」。名物「づんだ餅」はお菓子の博覧会で農林水産大臣賞を受賞。地産地消にこだわり、枝豆や餅米は全て宮城県産です。お店に入ると、三代目店主の細谷ひろみさん、長女の有希さん、次女ののり子さんが出迎えてくださいました。
お店で一番という「極みづんだ餅」をいただいた2人は、「とても美味しいです!」「素晴らしい味です!」と大絶賛。使っているのは「秘伝豆」という枝豆で、甘み、香り、味わいすべてに優れているそう。東北地方のみで栽培されているため、生産量も少ない極上の枝豆です。
早速、づんだ餅の作り方を、職人歴10年の佐藤祐介さんに教えていただきます。
「極みづんだ」の材料は、秘伝豆のむき豆と塩と砂糖のみ。砂糖は和菓子に合うといわれる上白糖、塩は海水を平釜で煮詰めた石巻産「伊達の旨塩」です。
まずは秘伝豆を8分間せいろで蒸し、薄皮を剥きます。すり潰した時の舌触りを良くするために重要な工程。
皮むきが完了したら、ペースト状になるまで潰します。普段は大型ミキサーで潰しますが、今回はアメリカでも手作りできるように、すりこぎとすり鉢で。粗めにつぶしたところで塩と砂糖を加え、滑らかになるまでおよそ30分。これでずんだ餡が完成。
次は、お餅。餅米は宮城県石巻産「みやこがねもち」。上品な甘みと香り、粘りとコシがあり、“餅米の王様”とも呼ばれています。
蒸したもち米を杵でつき、柔らかいお餅にしたら、ここからが職人の腕の見せ所。あっという間に、一つ20グラムの一口サイズにしていきます。このお餅にずんだ餡を乗せれば、「極みづんだ餅」の出来上がり。「出来立ての新鮮な香りが最高です」とシェリーさん。
さらに、アメリカでも作れるアレンジレシピも。ひろみさんから、春巻きの皮でスライスチーズとずんだ餡を巻いて揚げた「ずんだ春巻」を教えていただきました。
その夜は、次女・のり子さんのお宅で夕食をご馳走に。仙台名物の牛タンや、宮城名産「白石うーめん」を使った“流しうーめん”を楽しみました。
別れの時。「ずんだの体験で枝豆の知識が深まり、アメリカでも広めたいです」とシェリーさん。ポールさんも「全ての素晴らしい体験に感動しました」と伝えます。
最後にひろみさんが、「これでずんだを作ってください」と、すりこぎとすり鉢をプレゼント! ポールさんとシェリーさんは枝豆Tシャツをプレゼントし、喜んでいただきました。
「エンドー餅店」の皆さん、本当にありがとうございました!
枝豆を通じて、様々な出会いがあったニッポン滞在。実はニッポン到着の日、2人は空港内の和食レストランに直行! ビールと“とりあえず枝豆”を楽しんでいました。
帰国後、ポールさんから枝豆収穫の報告が。シェリーさんは、お土産にいただいた土鍋で作った枝豆ご飯を見せてくれました。
最後に2人は「枝豆を作るための体験を楽しめたことは、本当に興奮して一生の思い出になりました」(ポールさん)、「今回招いてくれた方、出会った皆さんと永遠に友達でいられることを願っています」(シェリーさん)と語ってくれました。
京都の名所を手がけた竹垣づくりの匠に弟子入り
続いて紹介するのは、アメリカ在住の「竹垣」を愛するマークさん。
格調高く竹を組み上げ、空間を仕切りながら景色と調和する「竹垣」。複雑なものだと、幅1メートルあたり20万円を超えるものもある、職人技の結晶です。様々な組み方があり、その種類は50以上!
マークさんは20年前、全米竹協会の会長と知り合い、竹の素晴らしさのとりこに。竹垣専門の会社を作り、竹垣職人としてのキャリアは10年。「建仁寺垣」や「御簾垣」などを作ってきました。
しかし、ニッポンで勉強したことがなく「職人さんから正しい知識を教えてもらい、従業員のみんなに教えてあげたいんです」と話します。
そんなマークさんを、ニッポンにご招待! 7年前に初来日を果たしました。
向かったのは、紅葉の京都。実はマークさん、アメリカ・オレゴン州ポートランドの日本庭園で、竹垣の指導をした職人・三木崇司さんにぜひ会いたいと願っていました。その熱意を伝えたところ、会ってくださることに!
三木さんは、創業147年の「三木竹材店」五代目。世界遺産の二条城をはじめ、京都御所など名だたる名所を手がける名工です。
マークさんにぜひ見てもらいたいと案内してくださったのは、真竹の竹林。約600種類が自生するニッポンの竹の中でも、丈夫でしなやかな真竹は竹垣に最も多く使われています。
10年の修行を経て一人前といわれる、竹の伐採。まずは選別から。高さ20メートルになる竹でも、根の深さは地面からわずか30センチほどしかなく、隣同士支えあっていないと倒れてしまうものも。3〜5年目の切り頃であっても、支えとなる竹は切らずに残すのが鉄則です。
竹を選んだら、根本の傾いている方から半分まで刃を入れ、残り半分は逆側から。切った後は、高さ20メートルの竹の下部分を抱え、一直線に走りながら地面に倒します。マークさんは「信じられない迫力です!」とびっくり!
マークさんも、貴重な真竹を特別に切らせていただきます。力技でなんとか倒すことができましたが、「まだまだ練習が必要ですね」とマークさん。
竹は切ったあと、すぐに枝を切り落とす必要が。これは、長い下積みを経て初めて任される作業。通常3年間は先輩が切った竹を運び、刃物を持たせてもらえないとか。
伐採した竹は工場に運び、丁寧に水洗い。その後「菊割り」と呼ばれる専用の道具で割っていきます。菊割りの刃の数や大きさは様々。材料となる竹のサイズに応じて使い分けます。竹の芽の部分に刃を当てると、真っ直ぐに割れるそう。
マークさんも挑戦させていただき、「道具の重さで竹を割るので、竹を曲げずに真っ直ぐに切れるのが素晴らしいです」と感動!
翌日は、三木さんの工房へ。実はマークさんには、長年作りたくても作れなかった憧れの竹垣がありました。
それは、京都の光悦寺の竹垣を原型とし、最高峰の技術が使われている「光悦寺垣」。支柱には1本の竹を割って短冊にしたものを隙間なく合わせ、「肩」と呼ばれる曲線部分はカーブに合わせて竹を幅8ミリに割り、組み直すという精密な構造。江戸時代の芸術家、本阿弥光悦が曲線を描く優美な竹垣を好み、作らせたのがその名の由来です。
竹垣の中でも屈指の難易度だという光悦寺垣を、三木さんが特別にレッスンしてくださることに。すでに半面は三木さんが作ってくださっているため、残りを一緒に作ります。
作るのは、肩巻きの部分と親柱の部分。本来、職人技の詰まった内部の構造は秘密なのですが、今回は特別に見せていただけることに。13年間憧れ続けた光悦寺垣の作り方を、しっかりと目に焼き付けます。
マークさんは、一番難しいカーブの部分に挑戦。少しずつ仮止めしながら、幅8ミリの竹を沿わせていきます。ねじれないようにするコツは「こまめに直すこと」と三木さん。
細かい作業に悪戦苦闘しながらも、3時間かけて完成。長年の夢が叶い、「今までこんなに細部まで美しい竹垣は作ったことがありません」と感動するマークさんでした。
別れの時。マークさんは感謝の気持ちとして、竹垣をデザインしたTシャツや、竹で作った鳥の巣箱などを皆さんに。すると三木さんから、竹垣職人にとって大事な菊割りのプレゼントが。マークさんは「ずっと大事に使わせていただきます」と伝え、三木さんとハグを交わしました。
あれから7年、三木さんのもとへ。実はマークさん、ご招待の後も2度来日。竹の加工のお手伝いをしてくれたそうで、現在も連絡を取り合っているとか。
そんな三木さんですが、2020年1月に火事に見舞われ、作業場以外の自宅と倉庫が全焼。100年以上保管してきた貴重な竹や納品予定のものなど、すべてを失ってしまいました。
加えて火事の直後、世間はコロナ禍に。そんな状況でも竹垣づくりを続けてこられたのは、京都の方々の協力があったからこそ。幸いにも機械や道具は燃えなかったため、竹屋さんから材料を分けていただき、仕事を少しずつ再開。去年7月には、ついに新社屋が完成し、マークさんに「ぜひ遊びに来てください」とメッセージを送りました。
一方、アメリカのマークさんからも報告が。ニッポンでの経験を糧に、竹垣作りが大きく進歩。作れる竹垣の種類も格段に増えたそう。
そして、三木さんから竹垣を学んで技術が向上したことで、大きな仕事が。シアトルの日本庭園で鉄砲垣を作った他、フロリダのディズニーワールドからも発注があったとか。
最後にマークさんは、「三木先生を見習って、これからも竹垣づくりに励みます! またお会いしましょう」とメッセージを送りました。
マークさんをニッポンにご招待したら、竹垣づくりの技術が格段に向上し、アメリカ中に竹垣を広める夢に向け、頑張っていました!
月曜夜8時からは、月曜プレミア8「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
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記事提供元:テレ東プラス
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