「ダルマ」=「法」仏教では大変重要な言葉。インド人が使う「ダルマ」の本来の意味とは?【般若心経】
ここからが二つ目のパートになります。
この部分には「諸法」という言葉が出てきます。覚えておられるでしょうか。「諸法」については、最初の舎利子への呼びかけのところで、少し触れました。「法」は、仏教では大変重要な言葉であり、般若心経でも大切なカギになる言葉です。
幅広い意味を持つ法(ダルマ)という言葉「法」はサンスクリット語では「ダルマ」といいます。ダルマは多様な意味を持つ言葉で、漢訳の示す「法則」や「規範」のほか、「正義、善、教え、性質」など、幅広い意味を持っています。その原意は「保持されるもの」です。また、インドの哲学用語では「存在するもの」を意味します。
「正義」などは、保持されてそこに存在することから生まれた語義です。
ですから、諸法の根本的な意味は、「もろもろの存在するもの」、「存在するものすべて」ということになります。
空相とは「空を特徴としている」という意味です。つまり、この部分は「存在しているすべては、空を特徴としていて」という意味になります。
仏教でいう「法」は、お釈迦様の成道(悟りを開くこと)によって明らかにされた「物事のつながり」という意味でも使われます。それを説くのが説法です。
最初の舎利子への呼びかけのところで述べた「諸法に固執する」とは、この意味での法に固執して実在視することでした。「諸法は空相」は、その人たちへの呼びかけにもなっているのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。
記事提供元:ラブすぽ
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