「日本人なら信頼できる」海外の厳しい洗礼を受け実感した“ニッポンの価値”
バルセロナで「服が汚れている」と親切を装う集団に気を取られ、財布を盗まれた20代女性の体験談。伝統的なスリ手口「ケチャップ強盗」の対策として、話しかけてくる人を無視する鉄則を伝えます。
イチオシスト
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「汚れている」と指摘されても立ち止まらず、安全な場所まで移動しましょう
【わたしのイチオシ対策】話しかけてくる人は無視して安全な場所へ
自身やご家族が体験した海外旅行でのトラブルとその対策についてアンケートで募集し、【わたしのイチオシ対策】として紹介します。
今回は、バルセロナで「服に何かついている」と声をかけられ、親切に対応されている間に財布を盗まれた20代女性の体験談をお届けします。
旅の始まりと、突然のトラブル
20代のとき、大学時代の友人と2人でスペインのバルセロナへ観光旅行に出かけました。1日目の夕方にエル・プラット空港へ到着し、タクシーでカタルーニャ広場近くのホテルへチェックイン。その夜はグラシア通りのレストランで本場のタパスとパエリアを堪能しました。2日目にはサグラダ・ファミリアを見学し、午後からはグエル公園やカサ・バトリョを観光するなど、バルセロナの素晴らしい芸術に感動しきりの時間を過ごしていました。
予期せぬトラブルに巻き込まれたのは、3日目の午後のことです。午前中に歴史あるゴシック地区を散策し、サン・ジョセップ市場(ボケリア)で楽しい食べ歩きを満喫したあと、カタルーニャ広場付近を歩いていました。すると、親切そうな中年の女性が笑顔で近づいてきて、英語で「あなたの肩に、緑色の液体(ソースのようなもの)が付着しているわよ」と声をかけてきたのです。
驚いて自分の白いコートを確認すると、確かに見覚えのないドロっとした緑色の液体が付着していました。お気に入りの服が汚れてしまったショックと突然の出来事に、私はその場で完全にパニックになってしまいました。
現地での苦労とリアルな気づき
私が焦っていると、声をかけてきた女性と、さらにどこからともなく現れた男性が「大変だから拭いてあげるわ」とティッシュを手に私の肩周りを囲むようにして、とても親切に汚れを拭き取り始めました。私はすっかり彼女たちの優しさを信じ込み、汚れのことばかりに意識が向いてしまいました。一緒にいた友人も、コートの汚れに気を取られて一緒に心配してくれていました。
しかし、彼らが「綺麗になったわよ」と言って立ち去った直後、ふと奇妙な違和感を覚えて自分のショルダーバッグを確認して凍りつきました。バッグのチャックが全開にされており、中に入れていたはずの財布が跡形もなく消え去っていたのです。
せっかくの楽しい旅行が一瞬にして台無しになった絶望感と、彼らの「親切心」がすべて計算された罠だったという悔しさで、その場から一歩も動けなくなり、涙が止まりませんでした。後から調べて知ったのですが、これは「ケチャップ・マスタード泥棒」と呼ばれる、観光客を狙った極めて古典的かつ巧妙な集団スリの手口だったのです。犯人グループがあらかじめターゲットの服にわざと液体をかけ、親切を装って近づき注意を完全に逸らしている間に、別の仲間が荷物を抜き取るという組織的な連携プレーでした。
この手痛い被害を経験したことで、私は日本に当たり前にある環境がいかに特別なものであるかを痛感させられました。スペインのレストランでは、食事中もバッグを常に足で挟んでおかなければならず、移動中も常に背後に気を配る必要があり、精神的に非常に疲れ果ててしまいました。一方で、日本ではカフェで荷物を置いたまま席を外したり、夜道を一人で歩いたりできますが、これは世界的に見れば奇跡のような安全さなのだと初めて気づかされました。他人の持ち物を盗まない、落ちていたら警察に届けるという日本人の誠実さは、言葉が通じなくても「日本人なら信頼できる」という国際的なブランドになっているのだと、海外の厳しい洗礼を受けて改めて誇らしく感じました。
トラブルの解決と、現地の人との温かいやり取り
財布が盗まれたと気づいたあと、私たちはすぐに近くの警察署へと急ぎました。しかし待合室に入ると、そこは自分と同じようにスリや置き引きの被害に遭って顔を青ざめさせている世界中からの観光客で溢れ返っていました。現地での手続きには非常に時間がかかり、異国の言葉が飛び交う不慣れな環境の中でなんと3時間近くも待たされることになりました。それでも、対応してくれた現地の警察官は淡々と手続きを進め、海外旅行保険の請求や手続きに必須となる盗難届を無事に作成してくれました。
警察署を出たあとは急いでホテルへと戻り、これ以上の不正利用を防ぐために持っていたクレジットカードをすべて停止する手続きを行いました。手持ちの現金をすべて失ってしまい途方に暮れましたが、一緒に旅をしていた友人が「私の予備の現金があるから大丈夫だよ」と、優しく手を差し伸べてくれたのです。
友人に旅費を借りることで、なんとか残りの日程を生き延びることができました。4日目の午前中には、お土産を購入する際もバッグを常に胸の前で強く抱きかかえるようにして厳重に警戒し、午後からはモンジュイックの丘からバルセロナの市内を一望して、夜に空港へ移動し無事に帰国することができました。あのとき嫌な顔一つせずにお金を貸し、最後まで一緒に旅を続けてくれた友人の温かい存在には、今でも感謝の言葉しかありません。
この経験から得た「わたしの教訓」
バルセロナをはじめとする世界的な観光地では、親切を装って近づき、観光客の動揺を誘って注意を100%逸らそうとしてくるアプローチが多発しています。「自分は大丈夫」という根拠のない油断を取り払い、話しかけてくる人物には強い警戒心を持つことが最大の防衛策となります。今回の被害から学んだ、確実な教訓と自衛のポイントを以下にまとめます。
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海外の観光地で、見知らぬ人に話しかけられたら「まずはスリだ」と強く疑うこと
鳥のフン、ケチャップ、コインを落とした、アンケートなど、どのような理由であっても向こうから近づいてくる人は泥棒の仲間である可能性が極めて高いです。 -
もし服の汚れを指摘されても、その場で絶対に立ち止まらないこと
親切に拭き取ろうとされてもきっぱりと断り、無視して足早にホテルやお店、トイレなどの個室といった安全な場所へ移動してから自分で確認するのが鉄則です。 -
財布などの最重要貴重品は、カバンの中だけでなく服の下に隠して管理すること
セキュリティーポーチなどを利用し、物理的に他人が触れられない場所に保管することで、万が一バッグのチャックを開けられても致命傷を避けることができます。 -
万が一被害に遭った場合は、速やかに警察署で「Denuncia(盗難届)」を作成してもらうこと
クレジットカードの停止手続きを最優先で行った上で、保険の請求などに必要な書類を現地で確実に揃える冷静な対応が、その後の二次被害を防ぐ鍵となります。
旅先での一瞬の隙が、せっかくの楽しい思い出を一変させてしまいます。「日本とは違う」という高い自衛意識を常に持ち、万全の防犯対策を徹底することが大切と言えます。
編集部まとめ
バルセロナの繁華街で、親切な一般人を装ったスリグループにターゲットにされてしまったトラブルでした。異国の地で手持ちの現金をすべて失う絶望的な状況の中、冷静に警察署で盗難届を貰い、カードを即座に止めた対応は見事です。そして何より、旅を共にしたご友人の温かいサポートが最大の救いとなりました。「向こうから近づいてくる人はまず疑う」という強い自衛意識を胸に、貴重品はセキュリティーポーチで服の下に隠すなど、二重三重の対策で安全な旅をプロデュースしたいですね。
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